現社長の荻田和宏氏、対立していた山口洋氏が持ち株の大半を売却したことで、投資ファンドが筆頭株主となった(記者撮影)

保育所運営大手で東証1部上場のJPホールディングスのお家騒動に、新たなプレーヤーたちが加わっている。

1月31日、JPホールディングスは大株主であるSSBFコンサルティングサービス(以下SSBF社)とJCテクノロジーの2社から、荻田和宏社長の解任を求め臨時株主総会の招集請求を受けたと発表した。

JPホールディングス側によれば、両者は合計で3%以上の株式を保有しており、荻田社長について「コーポレートガバナンスを担う役員として不適切かつ不適格な人物であるため、即時に当社の取締役から解任されるべきだ」と主張しているという。

基準満たさず、流会のお粗末

東洋経済は再三にわたって、SSBF社とJCテクノロジーに取材を申し込んだが、コメントは得られていない。両者の関係性は公表されていないが、SSBF社の代表者が、代表を務めるFSホールディングスという法人が、JCテクノロジーと同じ住所に登記されているため、関係が深いのは間違いなさそうだ。

両者が臨時株主総会を招集するのは今回で2度目となる。1月15日にも臨時株主総会を請求したが、JPホールディングス側が対応を検討した結果、会社法の要件を満たしていないことが判明した。

株主が株主総会の招集請求をする場合、招集請求が行われたときからさかのぼって6カ月の間、当社の総株主の100分の3以上の議決権を保有している必要があるが、両者はこれを満たしていなかったため、開催は見送りとなった。今回は満を持しての臨時株主総会の請求といえる。

もう1人、新しいプレイヤーがいる。会社側がSSBF社とJCテクノロジーへの対応を検討していた1月18日、創業者で前社長の山口洋氏が保有株の大半を、マザーケアジャパンというファンドに譲渡すると発表。これによってマザーケアジャパンは議決権27.4%を所有し、JPホールディングスの筆頭株主に躍り出た。

マザーケアジャパンは、昨年12月8日設立の投資会社。山口氏と直接的な関係はなく、証券会社から紹介される形で発行済株式総数の27.4%を約81億円で取得した。

これによって山口氏が保有する株は、親族などによる共同保有を合わせても3.35%となり、表面上はJPホールディングスの経営に関与しようとする意思をなくしたように見える。本心はどうなのか、山口氏の代理人は「株を売却したという事実以上のことは言えない」とするにとどめた。


一方、東洋経済の取材に応じたマザーケアジャパンの坂井徹社長はJPホールディングス株取得の狙いを「重要な国策の1つ、保育事業で変革を起こしたいから」だと説明する。

坂井氏が現経営陣に会って伝えた提案は、創業者の山口氏と現経営陣との対立は「ステークホルダー全員にとって不幸せなこと」(坂井氏)。この解決に向けて動いて欲しいということだ。加えて、ビジネスモデルについても言及している。事業の柱となっている保育園運営は、補助金収入で成り立っており、1施設当たりの園児数が決まれば売り上げ上限が決まり、稼働率が低下したら単価を下げるといったようなことはできない。

それでは、待機児童が解消されるだろう2〜3年後、保育園が利用者に選ばれる時代になったときにどうするか。当社ブランドに付加価値を付ける卒園後のサービスを新たに提供することで、「補助金収入ではない新事業をもうひとつの柱に育てるのはどうかと提案している」(坂井氏)。詳細は後日、現経営陣とともに発言したいと話す。

荻田社長はどう出るのか?

2015年に山口氏が「体調不良」を理由に社長を辞任後、同社の現経営陣はこれまで3度の株主総会による防衛戦をかろうじて勝利してきた。

直近では昨年11月、山口氏が招集した臨時株主総会で、山口氏側の提案は「定款変更と取締役の解任」。取締役の任期を2年から1年に即時変更し、取締役の解任方法の規定を定款から削除するという提案を行った。

一方の会社側は取締役の任期短縮は全取締役の即時退任になることから、これを回避するため、現経営陣は取締役の任期短縮を2018年度以降から行うという提案を提出。結果、会社提案も株主提案いずれも3分の2以上の賛成票が集まらず、3議案は承認されなかった。

この時の株主提案を否決するため、現経営陣が繰り出した戦略が第3者委員会の設置だった。山口氏が社長時代に「重大なセクシャル・ハラスメント」を行っていたとして調査を行う第三者委員会を昨年10月に設置。

だがこの調査は、痛み分けの結果となった。山口氏は当社の経営に関与するにはふさわしくないと公表するつもりが、荻田社長にも「セクハラに該当し得る行為が認められる」と指摘され、前任と現任トップ2人の醜聞が表ざたになったからだ。

JPホールディングスは2月1日に2017年4〜12月期(第3四半期)決算を発表、通例であれば今日2月2日の決算説明会で、荻田社長自らが決算の内容を説明する。

臨時株主総会への対応や新株主との対話、そして今年6月の定時株主総会で取締役の任期満了を迎える自身の進退を含め、荻田社長はこの場で何を語るのか。