【六川亨の日本サッカー見聞録】ブラインドサッカーが国際大会を開催する意義

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▽大相撲のスキャンダルと理事選、さらには大谷翔平の渡米に隠れ、メディアではほとんど取り上げていないが、昨日、ブラインドサッカーの「ワールドグランプリ2018」の開催概要と組み合わせ抽選会がJFA(日本サッカー協会)ハウスで実施された。

▽大会は3月21日から25日にかけて、品川区の天王洲公園で開催される。参加6チームが2グループに分かれてリーグ戦を実施し、各組の順位に応じて1〜2位、3〜4位、5〜6位決定戦を行うというシステムだ。

▽そして1月31日の抽選の結果、日本(世界ランク8位)は、トルコ(同5位)、イングランド(同16位)と同組になった。優勝候補の本命は、グループBで世界ランク2位のアルゼンチン(グループBにはロシアとコートジボワールが同居)。世界ランク1位のブラジル同様、個人技に優れた強豪だが、会見に臨んだキャプテンの川村は「どの国がきても強豪国であることには変わりないので、楽しみです。アルゼンチンとは決勝で対戦できるように、モチベーションも上がっています」と意気込みを述べていた。

▽今大会は新たに味の素と全日空が大会スポンサーとなり、今後3年間は継続して支援するという。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定してから、まさに「追い風」が吹いてブラインドサッカーのスポンサーも急増した。それはそれで、歓迎したい事実である。

▽障がい者サッカーには全盲のブラインドサッカーだけでなく、聾唖者や身体障害者、知的障害者など7団体があり、ブラインドサッカーのようにパラリンピックの種目に入っていないため注目度の低い競技もある。ただ、ようやく昨年、JFAは障がい者サッカーを1つの団体を認可してJFAハウス内に事務局を設けた。

▽過去、障がい者サッカーと言っても、抱える障害の違いで各連盟はなかなか足並みが揃わなかった。そんな中でブラインドサッカーはパラリンピックの種目だけに、スポンサーの獲得に成功して事務所も移転するなど「日の目」を見ている。そんなブラインドサッカーに対し、やっかみの声がないのか松崎事務局長に聞いたところ、逆に「JFAが障がい者サッカーを統括してくれたおかげで、ブラインドサッカーが率先して他団体と交流できるようになった」と成果を教えてくれた。

▽どんなカテゴリーであっても、日本国内で大会を開催することは素晴しいと思う。ブラインドサッカーが少なからず市民権を得たのも、日本でワールドカップとリオ五輪の最終予選を代々木公園で開催し、ブラインドサッカーのサポーターを獲得したからだとに他ならない。大会には小倉JFA名誉顧問や原専務理事(当時)が観戦に訪れていたこともJFAが支援する追い風になったと推察される。

▽ただ、懸念もある。「ワールドグランプリ2018」をスポンサードする上記の2社は3年契約が示すように、東京五輪後はスポンサー離れする可能性が高いことだ。障がい者の支援は半永久的に必要だが、実現は難しいのも事実ではないだろうか。それはブラインドサッカーだけでなく、どの競技団体も痛感しているだろう。

▽そうした現状を変えるためにサッカーファンができることとして、試合会場に足を運び、声援を送ることではないだろうか。感動は、あらゆるサッカーにあると思っている。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。