route134 / PIXTA(ピクスタ)

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 1月7日に日経新聞が報じた「早大、リスク資産に投資 未公開株などに1億ドル」というニュースを知った筆者は、まず「大丈夫???」と思ってしまった。批判ではなく、感想である。

 記事によれば、早稲田大学は、2018年から4〜5年で運用資産の1割に相当する計1億ドル(約113億円)を海外の未公開株などリスク性の高い金融商品での資産運用を拡大するという。換金性が低い代わりに高めの収益が見込める金融商品を選ぶ方針で、インフラ投資や不動産などにも順次、投資先を広げる考えだともいう。

 日経の報道からわかることは、現在の早稲田大学のポートフォリオは株式5%、債券60%であること、2016年度に23億円の運用収入を獲得したこと、それが事業活動収入の2%を占めることであり、筆者が知りたいものの記事からは不明なのは株式、債券以外のポートフォリオの構成比および現在のパフォーマンスである。

 筆者が「大丈夫???」という感想を持った理由は、

1:公開株や投信、ETFではなく、なぜいきなり海外の未公開株なのか?
2:単に米国の大学基金のポートフォリオを真似しているだけではないのか?
3:未公開株などにも投資する米国の大学基金のパフォーマンスは本当に優れているか?

という観点からである。

 以下に、上記の疑問について筆者の考え方を記していこうと思う。

◆なぜいきなり海外の未公開株なのか?

 まず、筆者から見て、株式5%、債券60%から、運用全体のパフォーマンスを上げるために期待リターンの高い株式の構成比を高めていこうとするのは、ごく自然な流れであると思われるが、公開株や投信、ETFではなく、なぜいきなり海外の未公開株なのかは「謎」と言えよう。

 未公開株という流動性が低い株式のパフォーマンスが、非流動性であるが故に、公開株よりも優れるという仮説があると思われるが、本当にそうなのか?

◆単に米国の大学基金のポートフォリオを真似しているだけではないのか?

 米国の大学基金を代表するイェール大学のポートフォリオでは、ベンチャーキャピタル、ヘッジファンドなどオルターナティブへの投資が大半を占めるのは事実である。1985年、イェール大学のポートフォリオの90%は伝統的な株式、債券などで構成された。しかし、現在は、米国国内の株式の構成比は10%に留まり、90%は不動産、未公開株、ヘッジファンド、米国国外の株式などで構成されている。(参照:Yale’s Strategy)

 イェール大学は、2018年のポートフォリオの目標を以下のように設定している。(参照:Investment return of 11.3% brings Yale endowment value to $27.2 billion)

絶対収益(ヘッジファンド):25.0%
ベンチャーキャピタル:17.0%
米国以外の株式:15.5%
レバレッジド・バイアウト(企業買収の手法の一種):14.0%
不動産:10.0%
債券および現金:7.5%
天然資源:7.0%
米国内の株式:4.0%

 また、ハーバード大学は、2017年6月期に年間+8.1%のリターンを上げた。数十年続けてきた投資戦略を現在転換中であり(参照:Message from the CEO )、現在のポートフォリオの詳細は公表されていないが、投資戦略を転換する前の目標ポートフォリオは以下の通りであった。(参照:September 2016 Annual Endowment Report)

米国内の株式:10.5%
米国以外の株式:7.0%
新興国株式:11.5%
未公開株:20.0%
絶対収益:14.0%
不動産:14.5%
天然資源:10.0%
米国内の債券:9.0%
米国以外の債券:1.0%
インフレーション連動債:2.0%
ハイイールド債:0.5%

 ハーバード大学もイェール大学と同様に、多様なアセットクラスに分散投資しており、未公開株や絶対収益型ヘッジファンド、不動産なども投資対象としている。