テスラの新型ロードスター。(画像: テスラモーターズの発表資料より)

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 いよいよテスラの資金調達は「錬金術」のようになってきたようだ。新型ロードスターの予約には全額前金で約2800万円が必要だ。EVトラックの予約金も約2200万円だ。引き渡しはEVトラックが2019年以降とされ、新型ロードスターは2020年以降だ。

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 しかも、電池性能は現在の20倍とも考えられ、充電時間も1/10と考えられており、実現可能な性能なのかも疑われている。また、電池価格も現在の価格で推計すると、車両価格の90%に相当するのではと見られている。現在発表されているコストを実現できるかも危ぶまれる始末だ。

 テスラは、決算においてこれまで赤字が続いており、赤字補填と設備投資資金は増資と社債で賄ってきている。つまり、外部からの資金調達で賄っているのが実態だが、限界が見えてきている。予約金で資金を調達するのは新しい錬金術とみられる。2017年9月時点で35憶ドルの手元資金があると思われるが、負債額は約100憶ドルと見られ、返済が続くのでどこまで資金繰りが追いつくのか注意が必要だ。

 この危機を脱するには、「モデル3」の生産を軌道に乗せ、黒字体質とするしかないであろう。しかし、これでも予約が入ったり、社債が発行出来たりと、常識的な価値観では理解不能であるのが実感だ。イーロン・マスクは宇宙産業や、電池産業にも手を伸ばしており、この窮地をしのぐことができるであろうか?

 Bloombergの記事によると、テスラは「株価動向と利益に厳格に連動する最高経営責任者(CEO)向けの新たな報酬契約の下で、イーロン・マスクCEOが今後も長期にわたり同社を率いる」と発表した。これは「報酬はストックオプションの10年間付与という形で、12回に分けて受け取る」としている。給料やボーナスは受け取らないようだ。これで「株価と利益に連動させる」のだろう。信用をつなぎ留め、資金調達が続くことを狙っている。

 それよりも、「モデル3」の生産遅延を解消する手立てを急がねばならないはずだが、それについての情報は乏しい。やはり関心は「ファイナンスのみ」にあり、生産技術・品質管理などは、イーロン・マスク「自身のタスクではない」と考えているように見える。これまで、このような経営姿勢は「マネーゲームと揶揄してきた状態」だが、勝算はあるのであろうか?天才イーロン・マスクには興味が尽きない。