(写真提供=SPORTS KOREA)

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安倍首相の出席や南北合同入場など、平昌五輪にまつわる報道で何かと注目を集めている韓国。その一方で韓国は、長らく抱えてきた“3大問題”を解決すべく、本格的に動き出した。

韓国が抱える3つの問題とは、ずばり「自殺」「交通事故」「労働災害事故」による死亡者数だ。

ヘル(地獄)朝鮮と呼ばれる理由にも

2016年の各数字を見ると、自殺者数は1万3092人、交通事故の死亡者数は4292人、労災による死亡者数は969人となっている。計1万8353人が3つの問題で命を落としており、この数字は「OECD最下位圏」(『聨合ニュース』)だという。

韓国の若者たちは自国を“ヘル朝鮮”と揶揄したりしているが、その理由のひとつにも含まれている。

そんな現状を打開すべく韓国政府は1月23日、「国民の生命を守る3大プロジェクト」を発表。2022年までに自殺者、交通事故死亡者、労災事故死亡者をそれぞれ50%に減らすという目標を掲げた。

自殺対策の予算は日本の40分の1

まず自殺に関しては「自殺予防国家行動計画」を実行し、2012〜2016年の自殺者7万人の自殺原因や地域別傾向などを精密分析。

市民団体などと協力して地域社会に根付いた“自殺予防ゲートキーパー”を100万人養成し、うつ病健診も強化していくという。

たしかに韓国は自殺率が高いことで知られているが、これまで何も対策してこなかったわけではない。

しかし抜本的な改善にはいたらず、自殺予防相談窓口の開設を担当した人が自殺するという皮肉まで起こっている。

それだけの難問だけに韓国は今年、自殺予防事業の予算を162億ウォン(約16億2000万円)と、前年から62.3%も引き上げた。ただ、日本の自殺対策関係予算(2016年、673億円)の40分の1に過ぎず、その少ない予算で日本以上に高い自殺率を改善できるのか、懐疑的な視線もある。

交通事故を減らすために規制

交通事故の死亡者を50%減少させる「交通安全総合対策」も実施するという。

具体的に見ると、都心道路の制限速度を時速60kmから50kmに引き下げ、歩行者優先道路の指定など道路設計を通じて低速運行を誘導するという。また、75歳以上の高齢者の免許更新周期を5年から3年に短縮するとも。

死亡者数だけでなく、韓国はそもそも交通事故が多い。若干数字は古くなってしまうが、2013年の韓国の交通事故件数は111万9280件(韓国道路交通公団)に上る。日本が同年、62万9021件(警察庁交通局)であることを踏まえると、倍近くあることがわかるだろう。

その原因のひとつとしては、韓国成人の半数以上がかかっている“怒り調節障害”などが挙げられている。
(参考記事:もはや風邪のように日常的な病気に…韓国成人の半数以上がかかる“怒り調節障害”とは

実際に、最近は運転中の些細なことでも怒って“報復運転”をする人が増えているだけに、今回の対策には期待したいところだ。

あのサムスンも労働災害が問題に…

3大プロジェクトの最後は「労働災害による死亡事故の減少対策」。

『聨合ニュース』によれば、韓国における労働災害の死亡者の65%は、建設、造船・化学、金属・機械製造などの従業員だ。

今回のプロジェクトでは上記分野に対して、集中管理を推進するという。例えば、移動式クレーンなど建設機械・装備は後方確認装置など安全装置の設置を義務化し、安全管理がなされていない場合の過料も50万ウォン(約5万円)から500万ウォン(約50万円)に修正するそうだ。

企業の支配構造や勤労者への待遇なども改善の必要が出てくるだろう。

あのサムスン電子でさえ、米リサーチ大手のReputation Instituteがまとめた2017年の「CSR(企業の社会的責任)企業ランキング」では、89位という低評価を受けている。

「国民の生命を守る3大プロジェクト」の発表を受けて、韓国ネット民は「暮らしやすい国、幸せな国を作れるのであれば積極的に賛成します」「労災事故の集中管理をお願いします」「3大プロジェクトが定着することを期待します」と、好意的に受け取っている。

はたして、韓国が長らく抱えてきた「自殺」「交通事故」「労働災害事故」の“3大問題”は改善するだろうか。第一歩を踏み出した韓国の取り組みに注目したい。

(文=慎 武宏)