笑顔で質問に答える貴公俊(左)と笑顔で見守る貴乃花親方(撮影・開出牧)

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 日本相撲協会は31日、東京・両国国技館で春場所(3月11日初日、エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議を開き、貴公俊(たかよしとし、20)=貴乃花=らの新十両昇進を決めた。会見には師匠の貴乃花親方(45)=元横綱=が同席。昨年11月、元横綱日馬富士の傷害事件が発覚して以降、公の場でほぼ無言を貫いてきた同親方は満面の笑みを浮かべ、弟子への思いなどを雄弁に語った。貴公俊は、一卵性双生児の十両貴源治(20)の兄で、史上初の双子関取が誕生。貴乃花親方にとって、苦戦が予想される中、出馬を決めた理事候補選挙(2月2日投開票)を前に吉報が届いた。

 入門5年、立派に成長した弟子を貴乃花親方は隣でうれしそうに見守った。「受け答えが、しっかり言っているなあと思って、感心していました」と、満面の笑みを浮かべた。

 2日に理事候補選を控える渦中の人物。当初は会見に欠席予定だったが、この日、急きょ出席を決めた。貴ノ岩、貴景勝、貴源治に続く部屋から4人目の関取。これまで新十両会見時は必ず同席している。祝いの舞台に師匠は欠かせない。

 ましてや史上初の双子関取の誕生。昨年夏場所で弟の貴源治が先に十両に上がったものの、地道に努力を続ける兄の姿を間近で見てきた。

 「兄ですし、悔しい思いもあったと思うんですが、本人も腐ることなく弟と切磋琢磨(せっさたくま)をしてここまでやってきた」。自らも史上初の兄弟横綱だったからこそ分かる気持ちだった。

 元日馬富士の傷害事件以降、公の場ではほぼ沈黙してきたが、相撲道、弟子への愛を語れば止まらなかった。

 「歴代の関取、横綱、大関が関取衆を相手に何十番も一人で1、2時間と稽古をできたあの伝統を今後できるように。私は目指しています。貴公俊には、自然体で何番も稽古を重ねられる力士にと。うちの師匠(元大関貴ノ花)、初代若乃花の親方から学んできた伝統を公俊にはできる」。土俵の鬼と呼ばれた叔父・初代若乃花から続く魂の継承を託した。

 暴行を受け弟子・貴ノ岩は負傷し、2場所全休した。事件に絡み自らは協会への報告を怠った責任を問われ、理事を解任され、2階級降格処分を受けた。

 前日、貴乃花一門の会合で理事選は阿武松親方(元関脇益荒雄)と自身の2人が出馬することが決まった。予想獲得票数では絶対不利が予想される。会見後、理事選出馬について問われ「その話は勘弁して」と話した貴乃花親方。逆風が吹き荒れる中、まな弟子が吉報を届けた。

 前夜の一門会後から吹っ切れたように表情は明るい。「普通にしているとニコニコと言われる」と笑った親方。現役時代、何度も逆境をはね返した大横綱が信念を貫き決戦に臨む。