グローバルのモバイル市場において、ここ数年、急速にシェアを拡大している中国の端末メーカー。日本市場ではまだ見ぬメーカーがいくつもあるが、その内のひとつ「OPPO(オッポ)」がいよいよ日本市場へ参入することになった。

OPPO「R11s」、約155.1mm(高さ)×75.5mm(幅)×7.1mm(厚さ)、約153g(重量)、レッド(写真)、シャンパーニュ、ブラック

 その第一弾の端末としてリリースされたのが同社のフラッグシップ「R11s」だ。ひと足早く実機を試すことができたので、レビューをお送りしよう。

アジアNo.1、グローバル4位の端末メーカー

 スマートフォンをはじめとする通信機能を持つデバイスは、国と地域によって、周波数帯などの通信仕様が異なる。その上、SIMロックフリー端末を中心としたオープン市場に製品を投入するか、それぞれの地域の携帯電話事業者やMVNO各社に供給するか、販売戦略の違いもあって、グローバル市場で実績を持ちながら、国と地域によって、参入していないメーカーも数多くある。

 日本市場において、そんなまだ見ぬメーカーのひとつが中国の「OPPO」だ。OPPOは2004年に中国で設立された電器メーカーで、2008年からフィーチャーフォンで携帯電話事業に参入し、2011年からスマートフォンを手がけている。アジア各国に旅行や出張などで出かけたことがある人なら、OPPOの広告を見かけたことがあるかもしれない。筆者自身も過去に何度となく、駅などに掲げられた広告やショッピングモールなどで行なわれているプロモーションなどを目にした。

 中国には、すでに日本市場に参入しているメーカーも含め、数多くの端末メーカーが存在するが、OPPOは2016年に「カメラフォン」のビジョンを発表するなど、モバイルカメラの技術に注力してきたことで知られる。出荷台数についてもCounterpoint社に調査によれば、2017年第3四半期に、アジアで1位、グローバルで4位のポジションに付けるなど、着実にシェアを拡大している。

 そして、いよいよ今年1月、OPPOがいよいよ日本市場に参入することが発表された。昨年、日本法人が設立されたことが一部で話題になり、まもなく参入するだろうと予想されていたが、1月22日、正式に発表され、1月31日には新製品発表会で第一弾端末「R11s」がお披露目された。

 今回、日本向けでモデルとして発表された「R11s」は、同社のフラッグシップに位置付けられるモデルになる。グローバル向けではディスプレイがもうひと回り大きい6.43インチディスプレイを搭載した「R11s Plus」も販売されているが、日本向けは「R11s」の1機種のみからスタートすることになった。ちなみに、OPPOではRシリーズのほかに、FシリーズやAシリーズ、Nシリーズなど、仕様や価格帯の異なるモデルを数多く展開しており、日本市場の反響次第では、今後、これらのモデルも投入されることになるかもしれない。

 また、今回発売されるR11sは、今のところ、家電量販店などを通じて販売される予定で、MVNO各社での採用などは原稿執筆時点で明らかにされていない。ただ、日本市場に新たに参入するという話題性もあるだけに、今後、MVNO各社などからも販売されることがあるかもしれない。

美しくスリムなメタルボディ

 まず、外観からチェックしてみよう。ボディはメタル製で、薄さ7.1mm、幅75.5mmと、スリムに仕上げられている。実際のサイズ感としては、iPhone 8 Plusよりもわずかにボディ幅が狭い印象だが、背面側が左右側面部分へ向かって緩やかな曲線を仕上げられていることもあり、手に持った印象はよりスリムに感じられる。

背面は左右側面へ向けて、ラウンドさせた形状。左上にデュアルカメラ、ロゴの真上に指紋センサーを備える

 本体右側面には電源キー、ピンで取り出すタイプのトレイ式のSIMカード&microSDメモリーカードスロット、左側面には音量キー、下面側にはmicroUSB外部接続端子と3.5mmイヤホンマイク端子、内蔵スピーカーが備えられる。

左側面は音量キーを備える。側面は左右共に少し突起があり、机などに置いたときにも持ち上げやすい形状

右側面には電源キー、ピンによる取り出しが可能なSIMカードトレイを備える。デュアルカメラの部分は飛び出ているので、カバーの装着がおすすめ

 全体を見ただけでは少しわかりにくいが、ボディ周りで特徴的なのは、両側面にわずかな突起が付けられ、机などに置いたときに持ち上げやすくしていること、上面と下面はわずかな凹みをつけていることが挙げられる。下面の凹みはゲームなどを楽しむ際、端末を横にして、両側から挟むように持った場合でも内蔵スピーカーを塞がないようにするための配慮だという。背面側の上下もアンテナ部分が内蔵されていると思われる樹脂製パーツが組み合わせられている。全体的に見て、メタルパーツの質感や仕上がりも非常に良く、美しいデザインに仕上げられた端末という印象だ。

下部にはmicroUSB外部接続端子、3.5mmイヤホンマイク端子を備える。右側はスピーカーが内蔵される

下部の端子付近は「クレッセントアーク」と呼ばれる三日月状の凹みがデザインされている

 ディスプレイは2160×1080ドット表示が可能な6.01インチAMOLED(有機EL)を搭載し、保護ガラスにはCorning社製Gorilla Glass 5を採用する。解像度の縦横比率は18:9で、本体前面の画面占有率は85.8%に達する。こうした大画面ディスプレイを採用したのは、写真などを美しく、大きく表示できることに加え、動画コンテンツの視聴に適していることを考慮したという。実際に、いくつかの動画を再生してみたが、有機ELディスプレイの発色や反応の良さなどとも相まって、非常に快適にコンテンツを視聴することができた。

 本体には3205mAhのリチウムポリマーバッテリーを内蔵する。充電は下面のmicroUSB外部接続端子を利用するが、付属のACアダプターは「VOOC」と呼ばれるOPPO独自の高速充電技術を採用しており、約5分の充電で約2時間の通話、30分の充電でバッテリー残量を約75%まで充電できる。

指紋認証のほか、顔認証でもロック解除が可能だが、セキュアな環境を求める場合は指紋認証が推奨される

 背面には指紋センサーを搭載しており、指紋認証によるロック解除ができるほか、アプリロックやファイル保護(ファイルセーフ)にも利用できる。指紋センサーの位置も端末を持ったときの人さし指が当たる自然な位置にあり、操作しやすい。また、フロントカメラを利用した独自の顔認証にも対応しており、あらかじめ顔を登録しておけば、瞬時にロックを解除できる。OPPOによれば、「正確には0.08秒」とのことだったが、実際に試用したところ、iPhone Xの顔認証や他機種の虹彩認証などよりもすばやくロックを解除することができた。暗いところでの認識も問題なかった。ただし、この顔認証は顔写真でもロックの解除ができてしまうとのことで、よりセキュアに利用したいときは指紋認証が推奨される。SNSやネット上に顔写真が掲載されているようなユーザー(たとえば、筆者のように)は、指紋認証を利用したほうが確実だろう。

デュアルSIMに対応し、国内主要3社のLTE及に接続が可能で、VoLTEにも対応。画面上段のSIMカード名は筆者自身が入力したもの

 ハードウェアのスペックとしてはチップセットにQualcomm製Snapdragon 660を採用し、4GB RAMと64GB ROMを搭載する。外部メモリーとしては最大256GBのmicroSDメモリーカードが利用できる。SIMカードはnanoSIMカードを採用し、DSDS(Dual SIM/Dual Standby)に対応するが、2枚目のSIMカードはmicroSDメモリーカードとの排他利用になる。2枚のSIMカードを挿したときの動作については、今回試用した範囲ではLTEと3Gの切り替え利用のみ確認できており、DSDV(Dual SIM/Dual VoLTE)では利用できなかった。

SIMカードトレイはnanoSIMカードを2枚装着可能なデュアルSIM

今回試用したモデルでは出荷時に3つのAPNが設定されていた。au系MVNOのSIMカードはUQモバイル、ソフトバンク系はワイモバイルのAPNのみが表示された

SIMカードを抜き差しすると、必ず再起動される仕様

 通信方式及び周波数帯域(バンド)の対応については本誌記事、もしくはスペック表をご覧いただきたいが、国内各携帯電話会社への対応は相互接続試験などを行なっていないものの、NTTドコモ、au、ソフトバンクの各ネットワークに接続できるように設計されているとのことだ。今回、MVNOを含む3社のネットワークに対応したSIMカードで試したところ、いずれもVoLTEでの動作を確認できている。NTTドコモとソフトバンクについては、SIMカードのメニュー内でVoLTEのON/OFFが切り替えられるのに対し、auはVoLTE対応SIMカードを挿しても表示に変化がないものの、VoLTEで通話ができているという状況だった。ただし、いずれも正式な対応ではなく、最終的な出荷版で仕様変更される可能性があることはお断りしておく。

パッケージには急速充電対応ACアダプタ、ステレオイヤホン、ケース、USBケーブルなどが同梱される

Android 7.1ベースのColor OS 3.2を搭載

文字入力はGoogle日本語入力を採用:

 プラットフォームについてはAndroid 7.1をベースにしたColor OS 3.2を搭載する。プラットフォームの基本構成は、既存のAndroidプラットフォームと同じで、GmailやGoogleカレンダー、マップなども標準でインストールされており、アプリもPlayストアからダウンロードするため、何も変わらないような印象を受けるが、ユーザーインターフェイスや操作方法は少し違っており、使いはじめは少し慣れが必要になるかもしれない。

ホーム画面にはアプリ一覧、Google検索ボックスが表示される仕様。最下段のDockはホーム画面のページを切り替えても固定的に表示される

ホーム画面にウィジェットを設定することもできる

最上段から下方向にスワイプすると、通知が表示される

 まず、起動時に表示されるホーム画面には、最上段にGoogle検索ボックス、下段にページ切り替え時に同じアプリが表示されるDockがあり、中央部分にはアプリが並ぶ。ホーム画面はアプリなどをフォルダにまとめたり、ページを追加したり、ウィジェットを配置することもできる。Dockの下には[戻る][ホーム][履歴]のナビゲーションキーが表示され、設定を変更すれば、[戻る]と[履歴]を入れ替えることができるほか、「ナビゲーションジェスチャー」に切り替えれば、画面右下から上方向のスワイプで[戻る]、画面中央下からのスワイプで[ホーム]などの機能を利用することもできる。Dockには出荷時に[電話][メッセージ][ブラウザ][カメラ]が並んでいるが、これらはホーム画面上のアプリのアイコンをドラッグして、入れ替えることも可能。

画面最下段から上方向にスワイプすると、コントロールセンターが表示される。Wi-FiのON/OFFなどがワンタッチで操作可能

ナビゲーションキーの配列は2パターンから選ぶことができる。

画面下段の説明のように、ナビゲーションキーをスワイプなどのジェスチャーで操作する設定も選べる

 既存のAndroidプラットフォームと少し違うのは、通知やコントロールセンターの表示だ。画面上段から下方向にスワイプすると、メールなどの通知のみが表示され、Wi-Fiなどを切り替える通知パネルは標示されない。Color OSでは通知パネルが「コントロールセンター」と呼ばれ、画面下段から上方向にスワイプすると、表示される。日本語入力についてはGoogle日本語入力が標準で搭載されている。

 これらの構成からもわかるように、Color OSは全体的にiOSを強く意識したユーザビリティとなっており、iPhoneからの乗り換えユーザーを意識した構成と言えそうだ。

セキュリティ機能も細かく設定できる

着信拒否は非通知やワンギリなども設定できる

スマート通話では着信時の動作で着信音の鳴動や応答などをコントロールできる

指定した番号や不明な番号の通話を録音する機能も備える。

画面OFF時のジェスチャーで、端末の操作ができる。

より快適にゲームを楽しむための「ゲームアクセラレーション機能」を搭載。動きをなめらかにしたり、バックグラウンドのアプリの動作を制御できる

業界最高クラスのデュアルカメラ&フロントカメラを搭載

 OPPOがさまざまな国と地域でシェアを拡大してきた背景には、早くからカメラに注力してきたことが挙げられる。「R11s」も他製品にはない業界最高クラスのハイスペックカメラが搭載されている。

デュアルカメラは画素数や仕様(画素ピッチやデュアルピクセル)が異なる2つのイメージセンサーで構成される

 背面にはデュアルカメラが搭載されているが、2000万画素と1600万画素のイメージセンサーに、F1.7のレンズを組み合わせている。デュアルカメラはメーカーによって、さまざまな手法で構成されているが、R11sのデュアルカメラは2つのセンサーの感度と仕様の違いを活かし、撮影する環境の明るさによって、カメラを切り替えるというユニークな手法を採用している。1600万画素のカメラは昼間など、明るい環境での撮影に利用され、F1.7の明るい大口径レンズとソフトウェア処理により、ボケ味のある写真を撮ることができる。これに対し、2000万画素のセンサーは高感度という特性を活かし、夜間など、暗いところでの撮影に利用される。このとき、複数の画素をインテリジェントに結合し、受光有効面積を4倍に拡大し、被写体の顔周辺の光量を高感度で処理することで、必要に応じて、明るく撮影できるようにしているという。しくみとしては非常にユニークだが、実際の撮影では自動的にカメラが切り替わるため、まったく意識することなく、撮影することが可能だ。

カメラのファインダー画面。非常にシンプルな構成で、設定する項目が少ない。[1x]をタップすると、2倍ズームに切り替えられる

デジタル2倍ズームのファインダー画面。[2x]をロングタップすると、さらにズームすることが可能

カメラを細かく設定するときは[エキスパート]モードで撮影する

メインのデュアルカメラで撮影したサンプル。メインの被写体はクッキリとして、左奥の椅子などがうまくぼけている

 一方、さらにユニークなのが2000万画素のイメージセンサーに、F2.0のレンズを組み合わせたフロントカメラだ。フロントカメラは当然のことながら、自分撮りのために利用するが、通常の撮影モードのほかに、「ビューティー」モードによる撮影に対応している。このR11sのビューティーモードは年齢、性別、人種などを区別し、254箇所のデータをインテリジェントに集めることで構築したAIの技術が活かされており、今までにない自然で美しいセルフィーを撮影できるようにしている。たとえば、女性は眼の明るさ、唇の色合い、鼻の影、皮膚の自然な肌表現などを調整し、男性は眉毛の色を澄んだ仕上がりにして、皮膚は女性に比べて、白化を抑え、ヒゲも細部を見えるような処理をしているという。被写体に応じて、200万を超える美肌データからAIが分析した結果を提案し、撮影しているそうだ。

「法林岳之のケータイしようぜ!」でおなじみの菅谷はつ乃さんにセルフィーを撮ってもらった。本人もこの仕上がりにはかなり満足かつ驚いていた

 背面のデュアルカメラ、フロントカメラ共に、いくつかのシチュエーションで撮影してみたが、いずれも非常に自然で美しい写真を撮ることができた。暗いところでの撮影もかなりきれいに撮れている印象だが、今ひとつクッキリ感が足りないような写真もあった。このあたりはユーザー自身が何度か撮ってみて、実際にどんな写真が撮影できるのかに慣れていく必要がありそうだ。

夜のイルミネーションを撮影。明暗がしっかりと撮影され、遠景の建物の窓の明かりもしっかりと捉えている

いつもの薄暗いバーでの撮影。この暗さでも十分な撮影が可能だが、もう一歩、明るく写って欲しいところ

 フロントカメラについては、やはり、ビューティーモードでの撮影が面白く、これまでの他機種のビューティーモードとはまた少し違ったテイストの仕上がりになるようだ。これも好みの部分があるので、店頭のデモ機などで試す機会があれば、ぜひフロントカメラで自撮りを試してみて欲しい。カメラ周りで少し気になるのは、ユーザーインターフェイスがかなりシンプルである点だ。わかりやすいというメリットがある半面、エキスパートモードに切り替えないと、ほとんど設定の変更ができないのは、他のAndroidスマートフォンを利用してきたユーザーは戸惑うかもしれない。

スマートフォンのカメラの新しい体験を楽しめる「R11s」

 この10年、国内のモバイル市場はケータイからスマートフォンに移行したことで、グローバル市場向けの魅力的な端末が数多く登場するようになった一方、古くからのメーカーが撤退したり、買収されたりしたことで、ややメーカーが少なくなってしまった感もあった。特に、国内市場は各携帯電話事業者の影響力が強いうえ、SIMロックフリー端末を中心としたオープンマーケットの規模があまり大きくないため、海外の端末メーカーにしてみると、やや参入しにくい面があったとも言われている。

 そんな国内市場に、新規参入することになったOPPOは、第一弾端末として、同社のフラッグシップ「R11s」を投入してきた。本稿で説明してきたように、グローバル市場で4位、アジアで1位という実績を裏付けるだけの完成度の高さだが、Color OSのユーザービリティなども含め、他製品にはない個性も持ち合わせている。

 なかでも同社が注力するカメラは、背面のデュアルカメラのユニークな構成とソフトウェア処理、AI技術を活かしたフロントカメラのビューティーモードなど、非常に高いレベルで仕上げられているという印象だ。同様の機能は他メーカーの製品でも見かけることがあるが、撮影した写真の仕上がりはR11sならではのテイストがあり、他機種とは違った新しい写真を楽しむことができそうだ。まもなく販売も開始されるようなので、ぜひ店頭のデモ機などで、R11s新しいカメラ体験を試していただきたい。

パッケージに同梱されたカバーを装着。標準でこうしたカバー類が付属するのはうれしい

同梱のカバーを装着したときの背面側。指紋センサーも操作しやすく、デュアルカメラの突起もカバーされるので、使いやすい