あなたも職場で苦しめられていませんか?(イラスト:ずんずん)

会社がつらい、辞めたい……。そう思う人は、仕事そのものというより、職場の人間関係で行き詰まっていることも多いかもしれません。自分自身に原因があるとは限りません。会社のあちこちに生息する「困ったおじさん、おばさん」に追い詰められていることも。
そんな恐るべき現場を数多く見てきたのが、元外資系OLでコラムニストのずんずんさん。この連載では、そんな彼らの生態を解き明かし、対策も考えていきます。

若い頃に見た「レオパード」おばさま

こんにちは!ずんずんです。寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

こんな寒い毎日なのに、さらにオフィスに困ったおじさんやおばさんがいると体だけじゃなく心まで冷えてしまいますよね。


ずんずんさんによる新連載。この連載の一覧はこちら

冬の寒い日になると、外資系投資銀行に勤めていた時、いつもヒョウ柄の毛皮を着て出社してきたおばさまのことを思い出します。あの毛皮は本物だったのか……。

今でも謎ではありますが、とりあえずそのおばさまのあだ名が、

レオパード

だったことは今でも忘れません。

ちなみにレオパードってヒョウって意味ですから。ここTOEICに出ますから。

さてはて、このレオパードおばさんではありませんが、会社で長年生き残ってきたおばさまにはなんとな〜くキャラの濃い方が結構いらっしゃいますよね。

男女雇用機会均等法ができた時代からバブル、平成と駆け抜けた歴戦の勇者です。さらに管理職にまで上りつめる人となると、到底、一筋縄ではいきません。中には、とてつもなく強い方もいるんです……。その苛烈さから、社員だけでなく社長にまで恐れられている、そんなおばさんがオフィスにいませんか?

あなたが恐れているそのおばさん……もしかしたら「“私が若い頃は”おばさん」かもしれません。本日は、困ったおじさん、おばさんエントリーナンバー4「“私が若い頃は”おばさん」をご紹介したいと思います。

「“私が若い頃は”おばさん」とは、自分の若かった頃にしたほどの苦労を若手社員がしていないと、若手の惰弱さへの怒りを露わにするおばさんのことです。

このおばさん、特に若手へのあたりが非常に強く、男性社員に対しても慈悲はありません(なお、同じタイプのおじさんもたくさんいます)。

男性社員Bさんもこのおばさんに目をつけられてしまったタイプです。Bさんは、30歳の時に、日系大手メーカーに営業職として転職しました。上司は50代の女性で、化粧っけはあまりなく、その視線はクロコダイルのような鋭さでした。

Bさんは、入社当日、上司に元気にあいさつにいきましたが、なぜか反応がありません。こちらのほうをちらりとも見ず無視されてしまいました。「変な人だな……?」と思っていたBさんですが、ここから悲劇は始まったのです。

上司からBさんに指示があるときは1行メールが送られてくるだけでして、詳細を聞こうとしても無視されてしまいます。そして、指示がないので自分なりに仕事をするのですが、彼女の意に沿わないことをやってしまうと、

「なんでこんなこともできないの?私が若い頃はあなたぐらいの年の時にはこのぐらいできてたわよ!?」

チームの前で大声で叱責されてしまうのです。

なぜBさんを標的に?

そして極めつけは、会議中、最近結婚したBさんの薬指にある指輪がきらりと光ったとき。その上司は、

「まぶしいわね……」

とぽつりとそのクロコダイルの視線でいうのです。さすがにBさんはゾッとしました。

ちなみにこの上司は結婚していて、中学生ぐらいのお子さんもいらっしゃいますので、新婚のBさんを嫉妬する必要はないはずです。もはや前前前世ぐらいで、Bさんは上司の孫娘ぐらいを殺したのかもしれないぐらいの嫌われ方です。きっと殺したのでしょう。

Bさんは、何をしても上司に怒られてしまうので、ヘロヘロでしたが、Bさんは転職したばかりなので、ここでへこたれるわけには行きません。

こんな女上司にもお気に入りの社員はいました。このお気に入り社員はいつも楽しく上司とお話をしていて、怒られているのを見たことがありません。彼はBさんと同年代で、一体自分と何が違うのか不思議に思ったBさんはその同僚を観察することにしました。

すると、気づきたくないことに気がついてしまいました。

同僚は大沢たかお似の細身イケメンだったのです。

正しくはちょっとつぶした感じの大沢たかおですが、それ気づいたとき、Bさんはデスクに自分の顔をたたきつけたくなりました。

すべては顔か……。

と絶望的な気分になったBさんですが、よく観察してみるとその同僚は顔だけでなく、非常に仕事ができる男だったのです。つねに上司の先を読み、怒るポイントを熟知して華麗に回避。出張に行ったときは必ずその上司だけにちょっと高めのお土産を買ってくるなど、気が利きます。

自分はきっとそこが足りないのだ

と気がついたBさんは、この同僚の行動をコピーして、懸命に上司の怒るポイント、喜ぶポイント、そしてモチベーションを分析するようにしました。

特に上司の働くモチベーションを知ることが大切でした。

上司は、自分が若いころにできていたことを部下ができていないと感じた瞬間、烈火のごとく怒るのです。「“私が若い頃は”おばさん」は、ただ単に若い社員にあたりが強いわけではなく、非常に要求レベルが高い人だったのです。

ついに心を開いた!

Bさんはこの上司の下で必死に働きました……。

上司が喜ぶことを把握しようと努め、上司が気に入らない相手は時として蹴落とし、指示を先回りして先手を打つように仕事をしていきました。そして、1年ぐらいたった頃でしょうか。ある日、上司が連休中にした旅行の話をしてきました。

Bさんはびっくりしました。今まで、上司がBさんにプライベートの話などしたことがなかったからです。この時、Bさんは、

上司が心を開いた……!

クララが歩いた時のハイジ並みのテンションでそう思ったそうです。

そして、Bさんは上司の期待とモチベーションに応えるように必死に働いた結果、

1年前よりもずっと仕事ができるようになっている自分

に気づいたのです。

その後、異動になったBさんですが、異動先の上司ととてもうまくやっていけるようになっていました。これも前の上司のおかげかもしれないとBさんは思いましたが、ストレスで5キロ痩せたため、もうあの上司の下では働きたくないとのことです。

「“私が若い頃は”おばさん」はただ単にきついおばさんではありません。部下に圧倒的成長を求めているおばさんでもあるのです。このおばさんのシゴキに耐えられた時、真の仕事人としての道が開かれているのかもしれません……。

といったところで今日は失礼します☆