町工場の技術者と看護師がアイデアの創出で連携(ワークショップ)

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 富士通と大田区産業振興協会(東京都大田区)は、町工場12社と看護師との医工連携を支援し新市場の開拓に乗り出す。大田区の町工場が強みとする匠(たくみ)の技術を用いて、医療現場が抱える課題を解決する。東京工科大学看護学科や東京北医療センター(同北区)の看護師らと共同で創出したアイデアを基に、次世代ナースコールなどを試作し2月1日に一般公開する。医師主導ではなく、看護師に焦点を当てた医工連携は珍しい。これを先駆モデルとして大田区の町工場の活性化につなげる。

 第1弾として次世代ナースコールと、ペットボトル用の新型ストローの2種を試作した。次世代ナースコールは無線技術とソフトウエアを駆使し、緊急度合いをボタンで選択できるようにした。一方、新型ストローは誤嚥(ごえん)を考慮し、ベッドに横たわった状態でも吸わずに飲めるよう工夫した。いずれも特許を出願中。試作品を公開した後、改良を重ねて2018年度中に製品化する予定。

 一般的に医師が主導する医工連携では専門性が高く、製品化までのサイクルが長い。加えて医療関連の法規制もあり、製品開発や製造・販売については許認可が必要となる。「町工場にとっては市場参入のハードルが高い」(大田区産業振興協会)という。

 今回は看護現場のニーズに絞り込み、一般企業が製造・販売可能な「医療用雑貨」に焦点を当て、町工場の技術力を発揮しやすいように市場参入のハードルを下げた。看護師の数は全国で約114万人と、医師の4倍近くに上る。准看護師や療養士などを含めると約247万人と数が多く「潜在的な市場が大きく、商売しやすい」(同)という。

 アイデア創出のワークショップでは排せつを検知するオムツ用センサーや電子氷嚢(ひょうのう)、高齢者の徘徊(はいかい)に対処可能な支援ツールなど計五つのテーマを検討。順次、製品化する予定。

 大田区の町工場は最盛期の80年代には9000社を超えたが、現在は3500社程度。町工場は下請けが多く、生活者の声を聞く機会は少ないが、オープンイノベーションによる共創プロジェクトを市場活性化の突破口とする考え。