温冷感センシングシステムなどを使った「車載用居眠り運転防止システム」

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 自動車メーカーが開発に力を注ぐ自動運転車や電気自動車(EV)。その安全性や省エネルギー性を向上するため、さまざまな技術が生まれている。パナソニックの「車載向け温冷感センシングシステム」も運転手の居眠りを防ぎ、少ないエネルギーで快適な車内環境をつくるのに役立つ。

 同社オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社技術本部センシングソリューション開発センターの式井愼一主任技師は「ドライバーに不快感を与えずに覚醒させる技術を目指した」とシステムの狙いを説明する。赤外線センサーを使って運転手が感じる「暑い」「寒い」という温冷感を、身体に触れることなく検知する。明るさ、運転手の表情などの情報と合わせて眠気の予兆を検出。空調を制御して運転手の眠気を抑える。

 開発時の課題は「温冷感という個人差のある感覚を検知すること」(式井主任技師)。そのため採用したのが奈良女子大学と共同実験した温冷感の算出方法。人の表面温度と周囲の温度の差から調べる放熱量を基に温冷感を算出する。個人差が少なく、着衣の影響も受けにくい。

 温度の測定でも低解像度の赤外線センサーを動かし、分解能を12倍にする技術を開発した。安価なセンサーで高精度の熱画像を作成でき、実用のコストを抑えられる。

 眠気の検知・予測や快適な覚醒状態をつくる技術にもめどを付けた。温冷感センシングシステムに環境センサーやカメラを組み合わせ、車載用居眠り防止システムとして開発済み。温冷感の変化、目の瞬きや表情の変化などを総合し、運転手が自覚しない眠気を高精度に推定。「眠くなる前に空調を制御し、さりげなく運転手の眠気を抑制する」(同)。

 車メーカーと仕様を詰め、2018年度以降の採用を目指す。オフィスや学校などで人の「暑い」「寒い」といった感覚に合わせ、効率的な空調システムをつくることもできる。
(大阪・錦織承平)