マイクロソフト、ゲーム運用クラウドサービスのPlayFabを買収。Azureでもゲーム注力を加速
マイクロソフトが、クラウド接続ゲームのバックエンドサービスを提供する企業 PlayFab を買収しました。

PlayFab はログインや課金周り、更新やイベントや分析など、いわゆるサーバ側の諸々をゲーム会社に提供する企業。

マイクロソフトは PlayFab を自社のクラウドプラットフォーム Azure のゲーム向けサービスに組み込むことで、全社的な「クラウドサービスありき」かつ「ゲーム事業に再注力」の戦略を加速する構えです。

PlayFab はゲームコンテンツの製作会社に、「クラウドベース バックエンド as a サービス」を提供する企業。元マイクロソフトのサーバ技術者で、『Bejeweled』のPopCapなどゲーム業界でキャリアを積んできた James Gwertzman 氏らが2014年に創業しました。

近年のゲームは、特に「ネトゲ」やオンラインゲームを謳わないタイトルでも、進行状況の保存や課金周りなど、クラウドサーバに接続することが当たり前になっています。

またスマートフォンが最大のゲームプラットフォームになり、ゲーム専用機もPCもネット接続が前提になったことで、新コンテンツを継続的に提供して発売から年単位で利益をあげつづける「生きた」ゲームも珍しくありません。

その一方で、セキュリティやプライバシー保護に直結するアカウント管理や課金管理、変化するサーバ負荷への対応、運営を続ける上でもっとも重要な各種アナリティクス、さらにはチャット監視やチート対策、マルチプラットフォームにあわせた最適化といったクラウド側の技術まで、ゲームコンテンツを開発する大小の企業が抱えるのは難しくなっています。(無茶をして陰惨なことになった例、最初は回っていたけれどスケールしなくなった例は列挙に暇がありませんが)。

PlayFab はこのような、「サービスとしてのゲーム」のバックエンドを請け負うことに特化したテクノロジー企業です。

顧客はディズニー、カプコン、バンダイナムコ、セガ、アングリーバードのRovio や小規模デベロッパーまで。千万単位のプレーヤーが存在するタイトルも複数あります。

マイクロソフトによる買収の金額など諸条件は現時点で非公開。PlayFab を買収した理由は、簡単にいえば「自社の Azure ゲーミングサービスに組み込むため」。さらには、現CEOナデラ体制になってますます明確なクラウド最重視と、ゲーム事業への全社的な(再)注力に資するため。

ナデラCEOはかつて、ゲーム事業はほかの部門と様々なシナジーが見込めることから大事ではあるものの、マイクロソフトが集中すべき中核事業には含まれないと発言したことがあります。

しかしその後2017年になって、台数争いでは劣勢が明白なXbox部門の責任者フィル・スペンサーを降格どころか大抜擢してCEO直下のシニア経営陣に迎え入れるなど、ゲーミングをマイクロソフトの全社的な戦略に密接にかかわる重要事業として積極推進する新たな方針に変わりつつあります。

(この変化には、フィル・スペンサーがCEO含む経営陣に対しておこなったあるプレゼンテーションが大きな影響を及ぼしたとされています。スベンサーはHaloやForzaなど自社看板ゲームタイトルの開発スタジオを統括する Microsoft Game Studios の責任者だった人物。

ゲーミング事業の責任者としてXbox One の戦略を立案したドン・マトリックが発売前に退社してしまったため、中途で引き継ぎ立て直す役割でトップに就任しました。功績のひとつには、いまやある意味でマイクロソフトの顔になりつつある Minecraft の買収と、その後の拡大を成功させたことが挙げられますが、脱線気味なので割愛)。

今回の PlayFab の買収と Azure ゲーミングの強化は、ゲーム機としてのXbox を ライバルとヘッドトゥヘッドでコンピートさせるというかつての戦略から、Windows / Xbox / モバイル / クラウドプラットフォームを一体として扱い、マイクロソフトのサービスへのタッチポイントとして重視する新たな戦略に基づく動きと考えられます。

なお、PlayFab は「ログイン管理やイベント運営などクラウド対応ゲームのバックエンドサービス」を提供する会社であって、ゲームをサーバサイドで描画し映像としてストリーミングする狭義の「クラウドゲームサービス」を直接運営する会社ではありません。

マイクロソフトがXbox ブランドのストリーミングゲームサービスを検討中であることは、「ゲームにもNetflixが必要」と語るスペンサーも認めるとおり。提供の際にはもちろん Azure 上で動くはずですが、PlayFabの買収ですぐに PlayStation Now のような Xbox Now が始まるというわけではありません。