プログラマティック広告業界では、熱心な支持者でさえ浄化が必要だと考えている。隠れたコストや広告詐欺、それに不透明なオークションモデルのおかげで、マーケターたちがアドテクへの信頼を失っているからだ。

業界情報メディア「アドエクスチェンジャー(AdExchanger)」がニューヨークで1月17〜18日に開催した「インダストリープレビュー(Industry Preview)」イベントでも、同じようなムードが漂っていた。今後は自動化された広告購入が主流になると認めながらも、まだ避けて通れない多くの問題があるというのが、このイベントに参加したマーケター、エージェンシー、ベンダーの率直な意見だった。

自前で運営しはじめたEA



「いまはまだ、信頼に欠ける要素がある」というのは、ビデオゲーム企業のエレクトロニック・アーツ(Electronic Arts)でメディアアクティベーション担当ディレクターを務めるベリンダ・スミス氏だ。彼女は17日にこのイベントのパネルディスカッションに参加した。「率直に言って、私は購入側の手数料を詳しく把握することには関心がない。なぜなら、私がマーケターとしてもっとも関心をもっているのは、オーディエンスの目に触れることだからだ。ただし、(信頼の構築という点について)当社のパートナーは、私が尋ねるどのような質問にも答えられるようになるべきだ」と、スミス氏は語った。

スミス氏によれば、彼女のチームは少し前から自前でプログラマティックを運営しているという。また昨年から、ベンダーとの契約を自社で所有し、テクノロジープロバイダーの料金体系をチェックしはじめたそうだ。契約の所有は、2018年もエレクトロニック・アーツの中心的な取り組みのひとつになると、彼女は付け加えた。

「さまざまな情報をチェックしながら、(プログラマティックの)トリックやヒントを学んでいる」と、スミス氏はいう。「我々は、当社の契約書でどのように料金が定められているのかを評価し、(キャンペーンの)ウィンレートをチェックし、パブリッシャー側と常に話をしている。我々が理解している内容と彼らが理解している内容が一致しておらず、それ以上の調整ができない場合は、そのシステムから予算を引き上げることにしている」。

「史上最悪で唯一の救世主」



このイベントには、米大手銀行バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)の顧客エンゲージメントおよび投資担当バイスプレジデント、ルイス・パスカリス氏も講演者として参加した。同氏はプログラマティックについて、「広告にとっては史上最悪の存在だが、マーケティングの未来にとっては唯一の救世主だ」と述べている。理由は、プログラマティックがもっとも少ないコストでもっとも高い成果を生み出すことを目指したものだからだ。

「私はマーケターとして、広告のコンテキストを知る必要がある。同じ靴の広告が3カ月間表示され続けたら、それは質の低い顧客体験だ」と、パスカリス氏は17日の講演で語った。「広告取引ではなく顧客との関係を最適化してくれるのであれば、プログラマティックはうまくいくだろう」。

世界最大手の広告グループであるインターパブリック・グループ(Interpublic Group)の会長兼CEO、マイケル・ロス氏も17日、このイベントで講演を行った。同氏はプログラマティックを手がけている多くのテクノロジープロバイダーに対し、メディアを効果的に最適化するよう念を押しているという。

アドテクベンダーの動き



アドテクベンダーも動きをみせている。たとえば、アドビシステムズ(Adobe Systems)やアップネクサス(AppNexus)は、隠れたコストを透明化するために提携することを発表した。また、動画エクスチェンジのテラリア(Telaria)は、動画インベントリー(在庫)がブランドセーフティの基準を満たすか上回るようにするために、「フラウドファイター(Fraud Fighter)」という名のプログラムを17日から導入した。さらに、ルビコンプロジェクト(Rubicon Project)も2017年に購入側の手数料率を24%から11%に引き下げたと、同社のCEO、マイケル・バレット氏は述べている。「広告の品質については、2018年にも引き続き重点的に取り組む」。

とはいえ、このイベントに参加した企業幹部の多くが、すべきことはまだたくさんあると考えている。スミス氏とともにパネルディスカッションに参加したアップネクサスの共同創設者兼CEO、ブライアン・オケリー氏は、いまだにモバイル広告詐欺がまん延しているが、詐欺を特定できる適切なテクノロジーはないと指摘している。また、アドビ(Adobe)で広告運用管理プラットフォーム「アドビアドバタイジングクラウド(Adobe Advertising Cloud)」担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるケイス・イーディ氏は、各エクスチェンジが採用しているオークションダイナミクスについて、マーケターはより高い透明性を求めていると語った。

一方、エレクトロニック・アーツのスミス氏の考えはこうだ。透明性を高めることを求めるなら、マーケターはインベントリーの質を高めるためにもっと多くのお金を進んで支払う必要がある。「(価格を)下げる交渉をして料金面で圧力をかけていれば、行き着く先はひとつしかない」と彼女はいう。「そのような場合に、ほかの部分で料金が発生することにショックを受けてはいけない。誰もがお金を稼ぐ必要があるのだ。すべてを安く済ませようとするなら、(プログラマティックは)持続可能なモデルにはならない」とスミス氏は語った。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)