マンション評価サイトで執拗な営業攻勢を受けることも

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「自分のマンションがいくらで売れるのだろう?」──マンションを所有していれば、誰もが気になることだ。最近ではネット上にある数あるサイトで個別マンションのおおよその評価額を知ることもできるが、利用の仕方によっては落とし穴も待っている。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、マンション評価サイトの活用術をアドバイスする。

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 自宅マンションの評価額を知る方法はたくさんある。現在のところ、私がもっとも正確だと思う方法は、レインズ(国土交通省が所管する指定流通機構)で、同じマンションの成約事例と現状の売り出し物件を調べることだ。しかし、レインズはなぜか不動産業者しか見ることはできない。

 だから、エンドユーザー(一般消費者のこと、以下「エンド」)がレインズを見ようとすると、どこかの仲介業者に頼むしかない。頼まれた仲介業者は、当然その物件の売買に関わろうとする。あるいは、場合によっては自分で安く買い取ろうとする。

 不動産の仲介業者の中には、行儀のよくない人々も多く混じっている。

 例えば、メールボックスに投げ込まれている「このマンションを買いたい方がいます。いますぐお電話を! 無料査定」というようなことが書かれているチラシにつられて電話をすると、すぐに業者が飛んできて無料で評価を出してくれる。

 それはそれでよいのだが、「そんなんじゃ売らないよ」と断っても、最低2、3度は電話をかけてくる。しつこい場合は、何か月もそれが続く。場合によってはそのうち、他の業者からマンションの売却を勧める電話がかかってきたりする。あなたの電話番号が、いつの間にか他の業者に流出しているのだ。

 そうなると、かなりめんどうくさい。それが原因で、家族の間で不協和音が生じたりすることもありそうだ。

 だから多くのエンドさんはそういう結果を予測して、無闇に「無料査定」には飛びつかない。非常に賢明だと思う。

 最近では仲介業者に頼らなくても、ネット上の評価サイトを利用すれば自分のマンションの資産価値をある程度は知ることができる。しかし、その利用にはある程度注意が必要だ。サイトによっては、チラシの業者に無料査定を依頼したのと同じ結果を招くかもしれなからだ。

 まず、仲介業者からのしつこいアプローチを避けたいのなら、メールアドレス以上の個人情報を伝えなくてもよいサイトを選ぶべきだろう。私が日頃利用している4つのサイトをご紹介する。

(1)マンションレビュー https://www.mansion-review.jp/
(2)イエシル https://www.ieshil.com/
(3)マンションバリュー https://mansionvalue.jp/
(4)家いくら https://www.ieikura.com/

 以上の4サイトは私が試した限り、メールアドレス以上の個人情報を入力する必要がない。必要ならば、メールアドレスもヤフーやグーグルのフリーアドレスを使えばいいだろう。私の場合、これらのサイトに登録してあるメールアドレスに対して、不必要な連絡が来ている様子は今のところ確認できない。

 若干解説してみよう。まず、「マンションレビュー」はおそらく既存マンションのカバー率では最強かと思われる。全国に約630万戸あると言われている分譲マンションのほぼすべてを網羅している。さらに過去の売り出し事例が出ているので、およそ自分の住戸がいくらなのかを推測することができる。

「イエシル」と「家いくら」は、各住戸別の評価額まで出てくる。「○○○○号室」という自宅の部屋番号で評価額を知ることができるので、かなりリアルだ。

 ただ、その評価システムの完成度は、まだ無条件に信頼できるレベルではない。時に「それはないだろう」という評価を出してくる場合もある。しかも、既存マンションのカバー率はさほど高くない。地方の物件や築年数が古いマンションは「登録されていない」というケースもあるようだ。

「マンションバリュー」はマンションの現在価値や値上がり、値下がり率が掲載されている。また、「マンションレビュー」や「マンションコミュニティ」と提携しているようで、マンション偏差値や掲示板も確認できる。

 現在、こういう評価サイトは急速な進化の過程にある。また、ここに取り上げた以外にも新たなサイトが次々に生まれている。

 注意すべきは、そこから「一括評価サイト」への誘導が図られていたり、仲介会社へ個人の連絡先を知らせるような仕組みになっていたりするケースが多いことだ。

 本当に売却を考えているのなら、仲介会社を選定しなければいけないので「一括評価」サイトを利用するのもひとつの方法だ。しかし「自分のマンションの価格が知りたい」という軽い気持ちだけなら、メールアドレス以外に連絡先を打ちこむのは避けたほうがいいだろう。

 不動産の世界はエンドさんと業者間の「情報の非対称性」が強いとされている。業者はレインズで情報武装しているが、エンドはそこに近づけない、というシステム的な構造が大きな原因だ。

 しかし、こういう「評価サイト」が次々と登場してエンドさんの使い勝手が高まることで、非対称性の垣根がどんどん低くなっている。これはエンドさん側にとっては好ましい変化だと思う。ただ、上手に利用しないと仲介業者側からの猛烈な営業攻勢にさらされることになる。