長坂寿久氏/一般財団法人国際貿易投資研究所客員研究員、逗子フェアトレードタウンの会代表理事

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「Public」という言葉を、あなたなら何と訳すだろうか? おそらく「公共」「公(おおやけ)」といった訳を当てるだろうが、それらの日本語が指し示すものと、ヨーロッパ、とりわけオランダで用いられる「Public」が意味するものとの間には、実は大きな違いがある──。そう指摘するのは、JETRO(日本貿易振興機構)在職中に長年にわたりニューヨークやオランダ等の海外駐在を経験し、現在もオランダの成熟した市民社会の研究をライフワークとしている長坂寿久氏だ。

「Public」に対する認識の違いは、時として国際社会から「日本はよくわからない国」と困惑のまなざしを向けられる要因ともなりうる。では、なぜこうした認識の違いが生まれたのか? そのことがもたらす影響とは? 長坂氏に詳しく聞いた。

アメリカが主導する
グローバリゼーションの限界

武田 隆(以下、武田) 長坂先生は、JETRO(日本貿易振興機構)にお勤めの時に、ニューヨークに4年半、オランダに4年近く駐在していらしたんですよね。

長坂寿久(以下、長坂) ええ。そしてニューヨークの前はシドニーに4年いました。

武田 各国を見てこられた上で、オランダでの駐在経験を通しての気づきを『オランダモデル』という1冊の本にまとめられた。実は本書は、私に大きな示唆を与えてくれた1冊でした。

 私どもが1998年ごろにオンラインコミュニティの構想を練った際、当初意識していたのはインターネットを生んだアメリカでした。

 しかし実際に自分たちの手でコミュニティを育てていくにつれて、コミュニティが有機的に機能するためには、オンライン上であっても実社会と同じように成熟した市民社会であることが大切だと気づいたのです。これがきっかけで、私たちはヨーロッパに注目するようになりました。

長坂 なるほど。

長坂寿久(ながさか・としひさ)
一般財団法人国際貿易投資研究所客員研究員、逗子フェアトレードタウンの会代表理事。神奈川県逗子市生まれ。明治大学政経学部卒、現日本貿易振興機構入構、シドニー、ニューヨーク、アムステルダム駐在。1999年拓殖大学国際開発学部(現国際学部)教授、国際関係論(NPO・NGO論)、2013年退任。公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン理事、認定NPO法人ACE(児童労働問題)評議員等。神奈川県ボランタリー活動推進基金審査会(会長)、日本フェアトレード・フォーラム認定委員長、等。映画評論家。オランダ関係では、アムステルダム市国際交流表彰(1997年)、蘭日賞(2009年)受賞。主な著書に、『新市民革命入門――社会と関わり「くに」を変えるための公共哲学』(2016年)、『NGO・NPOと「企業協働力」──CSR経営論の本質』(2011年)、『NGO発、「市民社会力」──新しい世界モデルへ』(2007年)、『日本のフェアトレード──世界を変える希望の貿易』(編著、2008)、『世界と日本のフェアトレード市場』(編著、2009年)、『オランダを知るための60章』(2007年)、『映画で読む21世紀』(2002年)[以上明石書店]、その他『オランダモデル』(日本経済新聞社、2000年)、『ユーロ・ビッグバンと日本のゆくえ』(集英社、2000年)『ベビーブーマー』(サイマル出版会、1988年)等多数

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