ビットコインは仮想“通貨”と呼ばれているものの、現実の通貨と同等の機能は持ち合わせておらず、その取引は心理ゲームの様相が強い

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皆がパニックに陥っているなかで
冷静に物事を判断できるか?

 巨大な屋内会場で、何万人もの人を集めたロックコンサートを行っている。そしてそこで突然アクシデントが起こった。何かの理由で、会場セットが壊れて燃え始めた。みるみる間に火の手は広がり、会場には黒煙が充満し始めた――。

 上記の例を想像してほしい。何が起こるか、簡単に予測できるだろう。いくつかある小さな出入口に人々が我先にと殺到し、阿鼻叫喚の様相を呈するに違いない。もし、きちんと整列して順番に避難していたならば、起こらなかったような悲劇が起こる可能性も高い。

 このような状況では、人の行動は極めて単純になる。他人のことなど全く考えずに、自分が被害に遭わぬようにすることを最も重視する。緊急時には、人は熟考などできないため、自己利益を最大化するための単純な行動をとりやすくなるのだ。ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンの言葉を借りれば、ファストシンキングの状態になってしまうのだ。

 物理学や心理学では、こういった緊急時行動のシミュレーションや実験研究が行われてきた。大抵の場合、皆が殺到するよりも、順番に避難したほうが、犠牲者の数は少なくて済むという結果になる。条件にもよるが、冷静になって、人ができるだけ少ない出口を探し、そこで順番を待つのが最適解になることが多い。

 それはつまり、「周りを見て、皆がいかないところに行く」戦略を取るべきということである。そのためには、「皆の取る行動を先読みする」必要がある。

 さて、いま巷を騒がせているビットコインは、これと反対の原理が働く。「皆が買うところを買う」、もっと正確に言えば「皆が買うだろうところを先んじて買う」ことで利益を得る。ただ、「皆の取る行動を先読みする」という点では緊急時行動と全く同じだ。

 一見すると株も同様に思えるかもしれない。だが、株は、会社の業績等によってその会社に価値を見出した人も購入する。「皆が買っているから」という理由だけで、売買がなされるわけではない。

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