関根嘉香教授

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なぜか自分の周囲の人が、咳やくしゃみとなどのアレルギーに似た症状を引き起こす。そんな状況に自己嫌悪して辛くなる――。昨年12月、こうした症状「PATM(パトム)」に関する研究発表をした東海大学理学部の関根嘉香教授に話を聞いた。(ダイヤモンド・オンライン編集部 松野友美)

自分が周囲の人のアレルギー源に!?
精神的に落ち込み、ひきこもる人も

 花粉の季節でもないのに、なぜか自分のそばにいる人が咳き込んだり、鼻をしきりにこすったり、皮膚の発疹、かゆみ、吐き気などを引き起こす。同じことが何度も重なると、自分の体から強いニオイや刺激物質を発しているのではないかと心配したり、自分のせいで周囲の人が苦しんでいるのではないかと悩み始める。

 やがて“加害者意識”が生まれて精神的に落ち込み、人と交流をしたくなくって仕事を辞めたり、家に引きこもったりしてしまう人も少なくない。しかし、自分では原因が思い当たらない。化学工場に勤務していたり、薬を服用していたりするわけではなく、ごく普通に生活しているだけだからだ。病院を受診しても原因が分からず、嗅覚障害の一つである自臭症を疑われて精神科を紹介されるケースも多いという。

 こうした症状を訴える人々は、自分たちのことをPATM (パトム、People(are)Allergic To Me)と呼び、インターネット上でコミュニティを作ったり、ブログやtwitterで悩みを綴っている。学術研究が進んでいないため、悩んでいる人の数や周囲に与える影響などは定かでないが、少なくとも日本では2002年にインターネット掲示板に悩みの投稿があり、米国の医療情報掲示板でも08年に投稿が始まっている。

 しかし、最近、PATMに悩む人たちに一筋の光明が見えてきた。始まりは昨年の春、東海大学理学部化学科の関根嘉香教授のもとにPATMの研究を持ちかける話が舞い込んできたことだった。

「知り合いの微生物学の研究者がパトムの方を紹介してきたのがきっかけでした。それまでは聞いたこともなかった」(関根教授)

 関根教授は長年、室内環境を研究している。建築材料に含まれる化学物質やカビが原因で空気が汚染され、人体に悪影響を及ぼすシックハウス症候群にも詳しい。そのため微生物の研究者は、PATMが化学物質に関係する疾病ではないかと考え、関根教授に声を掛けてきたという。

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