【原ゆみこのマドリッド】勝っても順位は変わらないけど…

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「ここで休んでおくのも悪くはないのかも」そんな風に私が頷いていたのは月曜日、先週の準々決勝でコパ・デル・レイを敗退したアトレティコの練習が水曜までないと知った時のことでした。いえ、お隣さんも状況は同じで、ここ2週間は週末のリーガしか試合がないんですけどね。どちらも2月の第3週からヨーロッパの大会の決勝トーナメントが始まるとはいえ、レアル・マドリーのPSGとのCL16強対決は14日の1stレグの後、2ndレグが3月6日と間が長く空くのに比べ、ヨーロッパリーグの方は15日にコペンハーゲンとの32強対決1stレグを皮切りに翌週は2ndレグ、次は16強対決の2試合とハードスケジュール。その前に一息つければ、選手たちもリフレッシュできて助かるんじゃないかと思ったから。

▽まあ、そうは言っても少しは期待もあっただけに4月21日、ワンダ・メトロポリターノでの開催が予定されている決勝でまたしてもバルサが優勝、コパ4連覇を達成するシーンを目撃する破目になるのは決してマドリッド市民にとって、喜ばしいとは言えないんですけどね。とはいえ、逃した魚を悔んでいてもキリがなし。せめて今はリーガでいいプレーを見せてくれれば、ファンも決勝は5月と、まだかなり先なヨーロッパ制覇の夢に向けて、少しは前向きでいられるんですが、果たして先週末の試合がどうだったかというと。

▽この21節、先陣を切ったのはマドリーで、メスタジャで3位のバレンシアと対決。偶然にも先週、コパ準々決勝2ndレグをプレーしている相手だったのが、幸いしたか、何せ、あちらはアラベスと延長戦にもつれ込み、PK戦を制してようやく勝ち抜けという苦労をしていますからね。その割にはローテーションした選手もあまり多くなかったのとは真逆で、マドリーはBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)を擁したAチームを投入。Bチームがプレーしたレガネスとのコパ2ndレグから続けて先発したのはナチョだけだったとなれば…え、モントーヤが2回もペナルティを犯さなければ、前半16分と38分にロナウドにPKを決められて、バレンシアが2点ビハインドで折り返すこともなかったんじゃないかって?

▽そうですね、実際、最初にロナウドをエリア内で倒したプレーはともかく、空中戦でベンゼマを押したとされた2度目の方は、後半13分にパレホのCKから、ヘッドでゴールを挙げ、点差を縮めたサンティ・ミナも後で「Si pita un penalti como ese habria que pitar muchos penaltis en todos los partidos/シー・ピタ・ン・ペナルティ・コモ・エセ・アブリア・ケ・ピタール・ムーチョス・ペナルティス・エン・トードース・ロス・パルティードス(ああいうのをペナルティにするんだったら、全ての試合で沢山、ペナルティを取らないと)」と文句を言っていましたけどね。ジャッジにツキがない時はありますって。

▽その後、バレンシアの猛反撃をGKケイロル・ナバスのファインセーブにも助けられ、何とか凌いだマドリーはルーカス・バスケス、アセンシオ、コバチッチの投入が、「終盤、選手たちはそこまでの大きな努力と水曜の試合からの蓄積が堪えた」(マルセリーノ監督)というバレンシアの落ち込みに重なって功奏。38分にはマルセロがアセンシオとのワンツーから、44分にもコバチッチのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)を受けたクロースがゴールを挙げて、最後は1-4で快勝することに。おかげで試合後、モドリッチなどからは、「No me puedo creer que se cuestione al mister despues de todo lo que ha conseguido/ノー・メ・プエド・クレエル・ケ・セ・クエスティオネ・アル・ミステル・デスプエス・デ・トードー・ロ・ケ・ア・コンセギードー(あれだけのことを達成した監督を疑問視するなんて信じられない)」とコパ敗退で昨今、世間からの批判が高まっていたジダン監督を擁護する発言も聞かれたのですが…。

▽いや、だって先週、弟分チームのレガネスに1-2で負け、逆転敗退したのはBチームですからね。いくらジダン監督が「Nosotros fisicamente estamos bien/ノソトロス・フィシカメンテ・エスタモス・ビエン(ウチはフィジカル的にはいい)。良くない時があるのはむしろメンタルのせいで、そっちの方が影響する」と言っても、Aチームはリーガ前節デポルティボ戦でも7-1のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で爆発。すでに問題はなかったはずなんですが、実際、問われているのは、負けたら後のない大事なトーナメント戦でBチームを出すという選択の過ちの方ですからねえ。とはいえ、その控えメンバーの彼らだって、バレンシア戦のように途中出場で貢献することもありますし、大体がして現在、リーガで首位バルサと勝ち点差19という惨状になったのは大方、Aチームの選手たちのせいだったなんてことも考えると、何とも言えませんが、とりあえず、来季CL出場圏の4位をキープして、3位との差も勝ち点2に詰められたのは良かったかと。

▽そんなマドリーは次は土曜、今度もアウェイとなるレバンテ戦でAチームの復調ぶりを見せつけていくことになりますが、翌日曜の私はディゲームのブタルケで、勢いに乗っている時はツキも味方してくれるということを実感することに。ええ、兄貴分を倒して栄えあるsemifinalista(セミフィナリスタ/準決勝進出チーム)となったレガネスが、同じくコパ準々決勝でバルサに1-0と先勝しながら、カンプ・ノウで2-0と負けて逆転敗退したエスパニョールを迎えたんですけどね。戦力的に余裕のある訳ではないにも関わらず、ガリターノ監督が何とも上手に選手たちをローテーションしていたのはお見事。それも兄貴分のカンテーラ(ユース組織))出身のCB、エルモーソの協力があってこそだったんですが、まずは前半11分、オマル・ラモスのシュートがゴールポストに弾かれた後、サルドゥアが撃ち込んだボールに当たってオウンゴールを献上してくれることに。

▽それでも後半4分にはマルク・ナバーロに同点にされてしまったレガネスでしたが、23分にはリーガの先発CF、ゲレロがラウール・ガルシアのクロスを頭で決めて再びリードすると、何と37分には交代出場のアムラバットのクロスをクリアしようとしたエルモーソが2度目のオウンゴール。これで2点差になったから、寒風吹きすさぶ中、キックオフからずっとお祭りムードだったスタンドがどんなに盛り上がったことか。場内を何周もするウェーブまで始まっていましたが、いやあ、ゴールづいた選手ってそういうもんなんですかね。43分、FKをGKクエジェルがパンチングでクリアしたところ、真正面にいたエルモーソの顔に当たり、ようやく自分のチームのために得点していたんですが、時すでに遅し。そのままレガネスが3-2で勝利です。



▽うーん、こんな風に運が味方してくれると、水曜午後9時30分にセビージャを迎えるコパ準決勝1stレグも何とかなりそうな気がするんですけどね。それに輪をかけたのは同じ日曜、サンチェス・ピスファンでそのセビージャと対戦したお隣さん、ヘタフェもツキに恵まれたせいで、後半26分にムリエルに先制点を奪われながら、ロスタイム3分、アントゥネスの蹴ったFKをジャンプしてクリアしたGKセルヒオ・リコにカラがぶつかり、そのこぼれ球をシュートしたアンヘルが同点ゴールをゲット。相手方の抗議も空しく、1-1の引き分けをもぎ取ったとなれば、後半15分には交代していた柴崎岳選手も大いに喜んだのでは?

▽おかげでヘタフェは9位、レガネスは11位ながら、同じ勝ち点28となったため、この日曜正午からの弟分ダービーでは両者、完全に互角な状態でコリセウム・アルフォンソ・ペレスで顔を合わせることになりますが、月曜にはラス・パルマスからFWレミの加入も決まったものの、ヘタフェはヒサの半月板の負傷が治ったベルガラが今度はシーズン前半の柴崎選手のように左足中足骨を骨折。また2カ月程休場になるというハンデが。とはいえ、水曜にコパのあるレガネスの方が大変なのは否定できませんが、まずはエスパニョール戦を打撲でお休みしたシオバスやルーベン・ペレス、風邪を引いたエラソ、エル・ザールらが回復してくれないと。

▽ちなみにセビージャはアトレティコを破ったコパ準々決勝2ndレグから、ヘタフェ戦でもほとんどメンバーを変えておらず、そろそろ疲労が出てきそうですが、MFロケ・メサ(スワンジーシティからレンタル移籍)やSBミゲール・ラユン(同ポルト)など、ガンガン新戦力が加わっているのがちょっと気掛かり。対照的にLEP(スペイン・プロリーガ協会)の肝いりでサウジアラビアから受け入れた9人の選手の1人、MFアル・シェーリ(アル・ナサル・リアドからレンタル移籍)で登録枠がいっぱいになってしまい、必要な補強ができていないレガネスは、エスパニョール戦で唯一、真っ当なゴールを挙げたゲレロなど、「Se ha demostrado que somos una plantilla amplia/セ・ア・デモストラードー・ケ・ソモス・ウナ・プランティージャ・アンプリア(ウチは選手層が厚いことを示した)」と言っていましたけどね。ガリターノ監督は中盤に誰か獲れないか、クラブと方法を探している最中のようですよ。

▽え、それでこのところ、3試合勝っていないアトレティコはラス・パルマス戦で悪い流れを断ち切ったのかって? いやあ、今回はブタルケを出て徒歩20分、Zaraquemada(サラケマダ)駅からセルカニアス(国鉄近郊路線)に乗り、Mendez Alvaro(メンデス・アルバロ)駅でメトロ(地下鉄)にチェンジ。6号線と7号線を乗り継いで、1時間20分程でワンダ・メトロポリターノに着いた私も道中は、前日練習では回復したように見えていたとはいえ、シメオネ監督も2014年の優勝が懸かったリーガ戦やCL決勝の序盤で無念の交代となった黒歴史に懲りたんでしょう。用心のため、ジエゴ・コスタが招集リストに入らなかったこともあり、気が重かったんですけどね。

▽強風でスタジアム前にあるトレードマークの大きなbanndera(バンデラ/旗)がその日はしまわれていたのもあまり幸先良くは思えなかったんですが、いつも通り、彼らは前半を0-0で終えることに。いえ、パコ・ヘメス新監督になって、再び高いポゼッションを目指すようになった相手にガビの1対1のシュートがGKチチソラに弾かれたり、グリーズマンの器用なヒールでのフィニッシュが枠に当たるといったチャンスがなかった訳じゃないんですけどね。相変わらず、パスもようよう続かないサッカーに、トイレに行く時、すれ違ったファンからは「Koke necesita 5 partidos en banquillo/コケ・ネセシータ・シンコ・パルテイードス・エン・バンキージョ(コケは5試合、控えでベンチにいてもらわないと)」という、このところダメダメの一応、チームの司令塔であるはずのMFへ厳しい言葉なども聞こえてきて、私もこっそり頷いたりしていたんですが…いやはや、まさかホントにシメオネ監督がハーフで彼を代えてしまうとは!

▽でもそれが当たったんです。いえ、「Buscabamos mas velocidad/ブスカバモス・マス・ベロシダッド(よりスピードある選手を求めた)」(シメオネ監督)という理由で入ったカラスコの活躍は終盤近くだったんですけどね。「もう1歩前に出て、相手に前半のようにボールを持たせず、攻撃するように言われた」(フアンフラン)という選手たちが早々に敵の守備のほころびを見つけてくれたから、ありがたかったの何のって。ええ、後半16分、フアンフランが自陣から放ったパスを追いかけたグリーズマンがGKのすぐ前で絶妙なチップキックを放ち、先制点を挙げてくれたんです。とはいえ、最近は1点では逃げ切れない傾向のあるアトレティコですから、追加点がなかなか入らないのを不安に思って眺めていたところ、28分、丁度、中盤を固めるべく、トマスがピッチ際で待っていた時のことでした。当日朝の腹痛でガメイロがベンチを外れ、代わって先発していたフェルナンド・トーレスが喉から手がほしかった2点目を入れてくれたんですよ。





▽これもまたカウンターでコレアからパスをもらったトーレスはエリア内で敵をかわして、対角線上にGKの頭の上を超すシュート。やはり年齢からくる衰えは隠せず、今は「Cada partido para mi en el club es especial, porque puede ser el ultimo o el ultimo gol(カーダ・パルティードー・パラ・ミー・エン・エル・クルブ・エス・エスペシアル、ポルケ・セル・エル・ウルティモ・オ・エル・ウルティモ・ゴウ(自分にとって、このクラブでの試合は全て特別だ。最後の試合、最後のゴールかもしれないからね)」という気持ちでやっている当人ですが、やっぱり彼が得点すると、ファンのテンションも一気に上がりますって。更に43分にはボールを持ってエリア内に入ったカラスコがトマスにゴールをプレゼントして、試合は3-0で終了。いえ、夜にはバルサもコパ準々決勝敗退組のアラベスに2-1と逆転勝ちして、結局、勝ち点差は11のままなんですけどね。

▽パコ・ヘメス監督も「Cuando nos hemos equivocado el Atletico ha sido capaz de sacar su mejor cara/クアンドー・ノス・エモス・エキボカードー・エル・アトレエィコ・ア・シードー・カパス・デ・サカール・ス・メホール・カラ(ウチが間違えを犯した時、アトレティコは最良の部分を発揮できた)」と言っていたように、この週末、日曜に彼らがワンダ3連戦最後に迎えるバレンシアもバルサとのコパ準決勝でマドリー戦以上に疲弊してきますしね。せめて3位との差をもっと開くことぐらいは期待していいかと。まあ何にしろ、彼らもヨーロッパの大会の試合が来るまで、今は調子を上げることに専念しているだけですが、ELはお隣さんともバルサとも当たることがなし。それなら優勝できるかもしれないって、ちょっと私は楽観的すぎでしょうか。