ルネサスセの那珂工場ではAI技術を先行活用

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 ルネサスエレクトロニクスが、スマートファクトリーの取り組みを広げる。那珂工場(茨城県ひたちなか市)で行っている人工知能(AI)を活用した生産革新を他の工場にも展開し、2020年までに主力3拠点でAIを適用する。さらにエンジニアのように、データから推論できるAIの開発も進める。「インダストリー4・0(I4・0)」などにより成長が期待される半導体市場で、自社の取り組みをテコに商機をとらえる。

 那珂工場では15年から、AIを使った生産性向上の取り組みを進めている。半導体ウエハーを加工する際に、ウエハーの温度やガス濃度、真空度などのデータを測定。深層学習により、AIが製造装置の異常を判断し検出する。高精度な検知が可能だ。

 これまでエンジニアが行っていた異常検知のための閾値(しきいち)設定の手間を省けるほか、誤って異常と検出してしまう「虚報」の数をゼロにできる。これまでは月に約50回虚報が発生していた。この生産革新により、不良品の発生率は10分の1以下になり、半年で5億円のコスト削減を達成した。この取り組みを西条工場(愛媛県西条市)や川尻工場(熊本市南区)などに1―2年かけて導入し、計3拠点4工場でスマートファクトリー化を進める方針だ。

 加えて今後は、異常発生頻度をAIで学習することで、部品交換や故障のタイミングも判別できる仕組みの構築も視野に入れる。緊急的な部品の取り寄せや、製造装置の停止を防ぐことで、メンテナンス費用を3―4割削減することを目指す。

 ルネサスでは自動車や産業機器用マイコンなど半導体需要の増加を受け、足元の工場の稼働率は高水準を維持している。旧世代の設備を抱える高崎(群馬県高崎市)、滋賀(大津市)、山口(山口県宇部市)の3工場は再編対象ではあるものの、需要状況を見据え、その結論を保留している状態だ。

 今後もI4・0やIoT(モノのインターネット)の普及などにより堅調な需要が続くとみられる一方、現場では熟練技術者の定年増や労働人口の減少が課題となっている。ルネサスはAIを活用して工場のスマート化を進めることで、生産性を高めるだけでなく「技術者の作業レベルの底上げを図り、付加価値型の生産拠点へ転換する」(ルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリングの宮本佳幸社長)方針だ。
[http://biz.nikkan.co.jp/eve/smart-factory/{「スマートファクトリーJapan 2018」【出展者募集中】}]
『スマートファクトリーJapan2018』
 日刊工業新聞社は「スマートファクトリーJapan 2018」を2018年5月30日(水)〜6月1日(金)の日程で、東京ビッグサイトにて開催します。本展示会は、製造工場においてスマートファクトリーを実現するうえで、欠かすことのできない「IoT」や「インダストリー4.0」を搭載した情報管理システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品を展示公開いたします。
 3回目を迎える今回は「スモールスタート支援ツール」の展示分野を設けたほか、また、同時開催の「2018防災産業展in東京」との連動企画として『スマートファクトリーを支える防災産業ゾーン』、昨年開催した「IoT・AI Innovation Forum」を『IoT・AI Innovationゾーン』として、新たに2つの特設ゾーンを設けます。