WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 ジョン・ラーム(スペイン)が、キャリアビルダー・チャレンジ(1月18日〜21日/カリフォルニア州)で今季ツアー初優勝を飾った。

 米PGAツアーでは昨年のファーマーズ・インシュアランス・オープンで初勝利を挙げて以来、通算2勝目。今年の同大会(1月25日〜28日/カリフォルニア州)にはディフェンディングチャンピオンとして、最高の形で迎えていた(結果は29位タイ)。


今季、メジャー制覇が期待されるジョン・ラーム(左)と松山英樹

 まだ23歳と若いラームだが、今季は年明け初戦のセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ(1月4日〜7日/ハワイ州)を2位でフィニッシュ。そして、先週のキャリアビルダー・チャレンジで優勝したことによって、世界ランキングは2位に浮上した。

 ラームの活躍はPGAツアーだけにとどまらず、昨季は欧州ツアーでも2勝をマークしている。7月にロリー・マキロイ(北アイルランド)のファウンデーションが主催するアイリッシュ・オープンで欧州ツアー初勝利を挙げると、11月のツアー最終戦、ドバイで開催されたDPワールド・ツアー選手権を制覇。欧州ツアー2勝目もビッグタイトルで飾り、今まさに乗りに乗っている選手だ。

 ラームは、スペイン・バスク地方のバリカという美しい街で生まれた。大学進学で渡米を決めると、フィル・ミケルソン(アメリカ)、ポール・ケーシー(アメリカ)らの出身校である名門アリゾナ州立大へと進学。同大に在籍中、カレッジゴルフでは通算11勝を挙げた。

 その間、世界アマチュアランキング1位となり、60週間その座に就いていた。それは、パトリック・カントレー(アメリカ)の55週間を抜いて、同ランキング導入後の史上最長記録となる。

 そうした状況のなか、ラームは2016年、オークモントCCで開催された全米オープンのあと、プロに転向した。つまり、ラームはプロになってまだ2年にも満たない”新星”という身でありながら、世界2位へと到達したことになる。

 身長188cm、体重101kg。その恵まれた体格から放たれるショットは圧巻だ。平均飛距離は305ヤードで、ツアー20位。無論、この記録にはフェアウェーウッドやアイアンでのティーショットも含まれているため、ドライバーによる実際の飛距離はさらに伸びる。

 現にキャリアビルダー・チャレンジでは、アンドリュー・ランドリー(アメリカ)と4ホールに及ぶプレーオフを演じたが、その際にラームが3番ウッドで放った飛距離と、ランドリーのドライバーショットによる飛距離はまったく同じだった。

 見事にツアー2勝目を挙げたラームが語る。

「スペインから出てきた僕が、世界2位なんて信じられない。ずっと世界で戦うことを夢見てきて、このランキングを達成できたことは、僕だけじゃなくて、母国スペインにとっても本当に大きいことだと思う」

 18歳で渡米した当時、ラームはまったく英語が話せなかった。それが今では、流暢な英語で自らの思いを発信する。

 ところで、ラームはプレー中に感情を激しく表に出す選手として知られていた。ミスをすると、クラブを叩きつけるなどして、怒りを露(あら)わにすることが頻繁にあった。

 その激しさは、いつだったか、同組でプレーした松山英樹が「怖かった……」と漏らしたこともあるほどだ。昨年も予選落ちした全米オープンで、その荒々しい行動がテレビに映し出されて問題視されることがあった。

 しかし、今回のキャリアビルダー・チャレンジでプレーオフを戦っているときは、惜しくもパットが入らずに悔しがる場面はあったものの、怒りを爆発させるような場面はほとんど見られなかった。逆に、対戦するランドリーと談笑する姿がそこにはあった。

 はからずも、今度はそれがちょっとした論争になっている。テレビ解説を務めていたカーチス・ストレンジ(アメリカ)が、その姿を見て「プレーオフ中に(対戦相手と)仲良く話をするなんて信じられない。冗談じゃない」とツイートしたからだ。

 ストレンジは30年前の1988年、全米オープンでニック・ファルドと18ホールのプレーオフを戦って勝利した。その間、ストレンジはファルドとは「ひと言も口をきいていない」という。

 怒りを露わにすれば問題視され、にこやかにプレーしていても「フレンドリーすぎる」と非難される。なんだか、ラームが気の毒な気がする。

 ともあれ、感情をコントロールできるようになり、ラームは結果を出し続けている。本人にしてみれば、それは喜ばしいことである。

 ラームは今年、松山英樹とともにメジャー制覇に最も近い選手と言われている。

「今年は(今回の優勝の他)、初戦のセントリー・トーナメントでスーパーマン(ダスティン・ジョンソン/アメリカ)に負けて2位になっただけ。すごくいい年明けになった。メジャーはこれからだし、まだまだたくさん試合が残されている。(それぞれの試合に)リラックスして臨んでいきたい」

 最後にそう穏やかに語ったラーム。松山にとって、手強い存在になることは間違いない。

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