家具大手イケア創業者のイングバル・カンプラード氏(写真:Shutterstock/アフロ)

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 世界的な家具大手イケア創業者のイングバル・カンプラード氏が死去しました。堅実な経営者として知られていましたが、カンプラード氏はどのような人物だったのでしょうか。

 カンプラード氏は根っからの商売人です。1926年にスウェーデン南部のスモーランド地方で生まれました。両親は農場の所有者でしたから、カンプラード氏は広い農場で育ちました。幼い頃からビジネスへの関心が高く、5歳の時には、マッチなどを大量に安く仕入れ、小分けにして近所の人に販売するなど商才を発揮しています。やがて彼はクリスマスカードや植物の種を販売するなど、本格的なビジネスをスタートさせました。17歳になった時にはかなりの規模に成長しており、自分の会社を設立しています。

 これだけの商才があると、農場主を継ぐという選択肢がカンプラード氏になかったのは当然のことかもしれません。流通や販売、価格戦略など、ビジネスの基礎を学ぶと、いよいよ本格的に企業経営に乗り出します。

 当初は商社のような形であらゆる商品を扱っており、家具はその中のひとつに過ぎませんでした。しかし、競争が激しくなり、質のよくない安い家具を大量に販売したことから顧客からクレームが相次ぎ、カンプラード氏は価格と品質について真剣に考えるようになります。その結果として編み出されたのが、カタログで顧客に商品を知らせ、ショールームに来店してもらい、実際に商品に触れることで品質を実感してもらうという手法でした。これが現在のイケアの原型となったわけです。

 今となっては当たり前に思えるかもしれませんが、当時、こうした考え方はとても斬新で、ショールームは長蛇の列となり、そこからイケアの快進撃が始まりました。

 カンプラード氏は質実剛健な性格として知られており、生活も質素だと喧伝されてきました。そのせいか、広大なワイナリーや高級車を所有していることが報じられた時には、一部の人は少しがっかりしてしまったようです。しかしながらカンプラード氏はリスクに挑む起業家であり世界屈指の資産家ですから、稼いだお金をそれなりに消費することは、当たり前のことでしょう。一時、ナチズムに傾倒していたと報じられたことがありましたが、これについてカンプラード氏は若気の至りだったと説明しています。2013年には完全に引退しており、静かに息を引き取ったそうです。91歳でした。

(The Capital Tribune Japan)