デビュー戦となったヨービル戦では早速、アシストをマークして上々の結果を残したサンチェス。 (C) Getty Images

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 長らく空番となっていた、マンチェスター・ユナイテッド伝統の背番号7が、約2年半ぶりに埋まった。
 
 ジョージ・ベスト、エリック・カントナ、デイビッド・ベッカム、クリスチアーノ・ロナウドなど、錚々たる名手たちが背負ってきたエースナンバーをつけることになったのは、現地1月22日にヘンリク・ムヒタリアンとのトレードでアーセナルから加入したチリ代表FW、アレクシス・サンチェスだ。
 
 サンチェスのこれまでのキャリアとパフォーマンスを見る限り、伝統の7番も決して重荷ではないだろう。

 マンチェスター・U史上初のチリ人プレーヤーは、2011年夏から3シーズンを過ごしたバルセロナ、そして14年夏からこの冬まで在籍したアーセナルでも、ビッグクラブ特有のプレッシャーをものともせず、常にワールドクラスのパフォーマンスを披露してきた。
 
 それでもユナイテッド・サポーターの中には、少なくない不安を感じている者がいる。それは、C・ロナウド以降、7番を背負ってきた選手はいずれも、その期待に見合うだけの活躍ができてこなかったからだ。マイケル・オーウェンやアントニオ・バレンシア、メンフィス・デパイなどがそれに該当する。
 
 現在、チームの絶対的な右SBとして活躍しているバレンシアが、その最たる例だろう。今でこそチームに欠かせない選手となったが、7番をつけていた12-13シーズンは、目も当てられぬパフォーマンスに終始し、サポーターたちを苛立たせた。
 
 サンチェスは多大なプレッシャーとポジティブに向き合えるタイプに見えるが、果たしてどうなるのだろうか。ここで、予想される起用法やエース級の活躍できるかを占っていきたい。
 
 まず、サンチェスの起用ポジションについてだが、おそらく主戦場となるのは、彼が最も得意とする左ウイングになるはずだ。
 
 同ポジションにはアントニー・マルシアルとマーカス・ラッシュフォードが重複しているため、移籍決定当初、英国メディアは右サイドでの起用の可能性を予想していた。しかし、デビュー戦となったFAカップ4回戦のヨービルとの一戦(○4-0)では、ラッシュフォードがCFとして使われ、サンチェスは左サイドで先発出場を飾った。
 
 66分に右サイドのファン・マヌエル・マタとの交代でロメル・ルカクが投入された後も、ルカクがCF、ラッシュフォードが右サイドに移動し、サンチェスのポジションが変動することはなかった。
 
 もちろん、新加入選手を気分良くプレーさせ、チームに馴染ませようというジョゼ・モウリーニョ監督の配慮があっただろうが、1アシストを記録したプレーぶりを見ても、サンチェスはこれからも基本的には左サイドに置かれるはずだ。
 また、サンチェスは今のマンチェスター・Uに足りていないタイプのプレーヤーでもある。というのも、現在のチームには、閉塞した状況下を個で打開できるプレーヤーが少ないのだ。
 
 マルシアルとラッシュフォードもドリブラーではある。だが、前者は引いている相手に対しては、カットインを選択肢しがちで読まれやすく、後者のドリブルはスピード頼みのきらいがあり、使える場面はスペースがある場合に限られてしまっている。
 
 その点、新たに加わったチリ代表FWは、相手の逆をとってカットインするプレーを得意としつつも、相手に身体をぶつけて強引に縦へ突破を図ることもできる。いずれも成功すれば相手のマークにズレが生じるため、攻めあぐねている状態での有効な打開策になるのだ。
 
 また、持ち前のキープ力を活かし、最前線で起点になれるのも、チームにとっては大きなプラスだ。これまで、身体を張ってタメを作ることができるのはロメル・ルカクだけだったため、起点が増えることでマンチェスター・Uの攻撃はより厚みを持つだろう。