4月1日付でヤフーの代表取締役社長CEOに就任する川邊健太郎氏

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 4月1日付で新たにヤフーの代表取締役社長CEOに就任する川邊健太郎氏。1974年生まれの44歳だ。社長交代と同時に、CEOとCOOを統合した執行体制に変更。若返りを図り、ワントップで迅速な意思決定体制で新たな挑戦と事業の拡大に取り組む。
h2>●「スマホの会社」に「データの会社」を加える

 川邊新社長に与えられたミッションは、現社長の宮坂学氏が取り組み、成功を収めた「スマートフォンの会社」に「データの会社」を加えること。1月24日に開催した記者会見で川邊氏は、「21年間、Yahoo!のサービスを通じて蓄積してきた膨大なデータを解き放っていきたい」と語った。

 既存のサービスや事業は、蓄積したデータを使って便利で効率のいいものに改善していく。一例として「広告事業で広告主から見た効果をデータで最大化すること」を挙げた。

 同時に、川邊氏が「解き放つ」と語った言葉が示すように、新規事業では蓄積したデータをほかの企業でも適応できるサービスの展開を示唆した。

 「『データの会社』は宮坂氏ではできなかったのか」という記者からの質問に対して、現社長の宮坂氏は「誰の指揮下でやるかは複数の選択肢があった」と明かした。

 「自分が引き続き執行するオプションもあったが、組織は生き物なので放っておくと年をとる。悩みがゼロだったかといえばうそになるが、迷ったときは若い人を選ぶと言ってきた。前社長(昨年4月に交通事故で死去した故・井上雅博氏)が50年代生まれ、私が60年代生まれ、川邊さんが70年代生まれ。私が社長に就任したのは44歳なので、43歳の川邊さんは1歳だが時計の針を進めることができた。今後のヤフーもそういうカルチャーであってほしい」と語り、データ会社の実現を次の世代に託した。

●課題はテックジャイアントへの対抗策



 ただ、川邊氏が進めようとする「データの会社」の競争環境は厳しい。「片方は気鋭の若手ベンチャーから突き上げられて、片方ではグローバルな(GoogleやAmazonなどの)テックジャイアントからの両ばさみのなか、われわれがどう対処していくかが課題だ」と厳しさを認識する。

 ベンチャーに対しては、孫氏、井上氏、宮坂氏が築いた大企業としての資金力や組織力を使い、テックジャイアントに対しては、圧倒的に多く蓄積された日本のユーザーベースによるデータ活用で差異化を図っていく。また、6000人の社員の半分がエンジニアという点で、既存事業でITやAI(人工知能)によって自動化できる部分は自動化を進めていき、空いたリソースを新規事業などに振り向けていく戦略も明かした。

 「データの会社」の実現に向けて大きく立ちはだかるテックジャイアントとの競争を、いかに乗り越えていくかが経営の大きな課題になる。「インターネットを心底愛している。ネットに育てられたし、産業や社会を変える力があると信じているので、その可能性を実現させていきたい」と、若きリーダーはヤフーの次元をさらに引き上げるために情熱をぶつけていく。(BCN・細田 立圭志)

 1974年10月19日生まれ。98年に青山学院大学法学部卒業、95年11月に在学中に電脳隊を設立、99年9月社長に就任。同年12月ピー・アイ・エム設立、取締役就任。2000年8月にヤフー入社。09年5月にGyaO(現GYAO)社長、12年4月ヤフーCOO執行役員兼メディア事業統括本部長、12年7月副社長COO兼メディアサービスカンパニー長、14年6月副社長COO常務執行役員、15年6月副社長執行役員COO、17年4月副社長執行役員COO兼コマースグループ長(現任)。趣味は釣り、害獣駆除のハンディング、読書