中国の地方都市にもOPPOブランドの実店舗(中国・琿春市)

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 中国の携帯電話メーカー「広東欧珀移動通信」は日本に参入すると発表した。「OPPOブランド」でカメラを強化したスマートフォン(スマホ)をカメラフォンとして展開し、アジアを中心に急成長を遂げた。ついに、そんなメーカーが日本に上陸する。

◆短期間でアジア1位へと成長した原動力

 広東欧珀移動通信は中国の広東省東莞市に本社を置き、スマホの出荷台数を大幅に伸ばしている。メーカー別の出荷台数では2017年第3四半期にアジアで1位、世界では4位を記録した。世界の20以上の国や地域に参入し、その中ではアジアが多い状況だが、大洋州、中東、欧州、アフリカにも進出している。

 アジアでは中国は言うまでもなく、ほかの東南アジアや南アジアの国々でも存在感を高め、街を歩けばOPPOブランドの広告を見ない方が難しいくらいで、国際空港に降り立てばOPPOブランドの広告に出迎えられることもあるほどだ。

 OPPOブランドのスマホは若年層を中心に高い支持を得たが、その背景にはカメラ、オフライン、価格設定などが挙げられる。

 カメラを強化してキャッチコピーを「OPPO カメラフォン」として売り込んだ。中国や東南アジアなどでは自撮りの需要が高く、当初は前面のカメラを強化した。前面に高画素のカメラを搭載し、カメラアプリには美顔モードを取り入れた。画素数だけで画質が決まるわけではないが、一般消費者には分かりやすい指標となった。

 また、美顔モードはさまざまな種類の追加や改良を重ね、「盛れる写真」を撮れるスマホに仕上げた。背面のカメラも強化しており、ソニーの完全子会社・ソニーセミコンダクタソリューションズと共同でイメージセンサを開発し、流行のデュアルカメラも採用するなど、カメラフォンのブランドとして地位を築いた。

 オフラインの重視も急成長の要因である。

 オフラインには実店舗の展開や広告の出稿が含まれる。スマホの購入は依然としてオンラインよりオフラインのほうが多い。そこで、洗練されたデザインのOPPOブランドの実店舗を拡充して知名度やブランド・エクイティを向上させたほか、サポートの安心感まで与えた。首都の一等地から辺鄙な地方都市まで広くOPPOブランドの実店舗を出店している。

 また、代理店に対する販売奨励金の支給や表彰を用意して販売意欲を高め、東南アジアの一部の国では携帯電話事業者の直営店に説明員を派遣するなど、積極的に販売促進の活動に取り組んだ。実店舗と同様に広告も一等地から地方都市まで大々的に出稿し、知名度の向上を後押しした。

 価格設定も成功の要因である。中価格帯のスマホが中心であるが、必要以上に安く販売してブランド・エクイティを下げることはせず、決して安くはないものの新興国の若年層でも手が届く価格で、むしろブランド・エクイティを高める絶妙な価格設定と言える。

◆日本上陸、その勝算は?

 アジアで1位に成長した広東欧珀移動通信がついに日本へ参入する。東京都内に日本法人としてOPPO Japanを設立し、OPPO Japanを通じて日本国内の事業を行う。

 日本では第一弾として「OPPO R11s」を発売することが明らかにされている。OPPO R11sは広東欧珀移動通信が旗艦機種として展開するスマホで、日本ではそれを第一弾として投入することになる。ディスプレイは鮮やかな約6.01インチの有機ELを搭載し、全画面に近いデザインに仕上げている。背面には約2000万画素と約1600万画素のデュアルカメラ、前面には約2000万画素のカメラを備えており、日本でもカメラフォンとして展開する。全体的な性能は他社の高価格帯のスマホと比べると低いが、一般的な利用環境では問題なく使えるだろう。

 ただ、広東欧珀移動通信が参入する国は多くが新興国で、経済協力開発機構や国際通貨基金の基準で判断すれば、先進国は豪州、ニュージーランド、そして日本の3か国にとどまる。

 しかも、2017年に参入したばかりのニュージーランドは仕方ないとして、2014年に参入した豪州では苦戦を強いられている。販売契約を締結した家電量販店が経営破綻で閉店する災難もあったが、その後はすべての携帯電話事業者が取り扱い、豪州全土で販売チャネルを確保するものの存在感はない。あらゆる費用が高い豪州だけに費用対効果の問題もあるが、豪州ではオフラインの展開が低調で知名度も低い。新興国では歩けば目にするOPPOブランドも、豪州では家電量販店の奥でようやく探し当てたくらいだ。

 豪州のスマホ市場は米国のAppleと韓国のサムスン電子が圧倒的に強く、特にAppleの人気は極めて高い。広東欧珀移動通信も豪州で出荷台数が伸びたとはいえ、2強の牙城を崩せておらず、脅威となるには程遠い。高所得で有名な豪州だけにスマホは高価格帯が主流で、カメラなど全体的な性能やブランド力の高さで選ばれており、AppleのiPhoneシリーズやサムスン電子のGalaxy Sシリーズが人気だ。

 また、スマホの販売形態も新興国とは異なり、携帯電話事業者の取扱店でポストペイド契約を伴う販売が多い。そのため、メーカーの実店舗を広く展開する戦略は難しく、それも考慮して実店舗の展開に積極的ではないのだろう。とにかく、勢いがあるメーカーとはいえ、先進国の豪州では新興国での武器が通用していない。

 日本のスマホ市場は新興国のそれより豪州のほうが近く、Appleが強い中でそう簡単には攻略できないはずだ。ただ、さらなる成長には先進国の攻略は避けられず、日本での取り組みは注目に値するだろう。

<取材・文・撮影/田村和輝>
たむらかずてる●国内外の移動体通信及び端末に関する最新情報に精通。端末や電波を求めて海外にも足を運ぶ