YouTubeで弱小チャンネルは生き残れるのか? パートナープログラムの変更の影響と懸念点

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YouTubeは1月16日、YouTubeに投稿した動画で収益化を図れる「YouTubeパートナープログラム」(以下、YPP)の資格要件を発表した。




その資格要件は、
・チャンネルの過去12か月間の「総再生回数が4,000時間」
・チャンネルの登録者数が「1,000人」
であり、2018年2月20日までに新しい基準に満たない場合は、YPPからチャンネル削除となる。

数年前までのYPP は、比較的審査が緩かった。
YPPの存在を知らないユーザーでも、ある程度の再生回数があれば、YouTube側からオファーがあったのだ。

ところが投稿動画の質の低下や、投稿動画による事件が起きるなどしたため資格要件を厳格にせざるを得ない状況となった。昨年4月には、視聴回数が10,000回未満のチャンネルは広告表示を行わない措置がとられるようになっている。

YouTubeとしては、違法動画や不適切な動画をなくすこと、そしてそれらの動画に対して広告を表示させないという狙いがある。その背景には、広告主に対して投稿動画の質の向上をアピールし、広告の出稿を増やしたいという思惑もあるのだろう。

さて、昨年改定された資格要件である視聴回数10,000回という条件だが抜け道も多く、動画の再生数を稼ぐために危険な行為や迷惑行為を行うユーザーが多く、なにかと悪目立ちする方が話題となった印象だ。

この10,000回という視聴回数が意図するものは、こうした動画をふるいにかけるためのものであった筈だ。しかし実際は、クオリティは二の次で、とにかく動画を多数投稿することで視聴回数が稼ぐという状況となり逆効果である。

そこで新たな資格要件の実施となるわけだ。
まずは
・チャンネル登録者数が1,000人
有名人なら別だが、普通は地道に有益なコンテンツを投稿し続けない限りチャンネル登録者1,000人は容易に実現できる数字ではない。
ただし、登録者数稼ぎのための不正行為を行う可能性の懸念もある。

そこで、もうひとつの資格要件が、
・過去12か月間の総再生時間を4,000時間
としている点だ。
12か月で4,000時間というものは、単純計算で1日の再生時間が約11時間となる。5分の動画なら1日あたり132回の再生が”毎日”必要であり、チャンネル登録者数が多くないと達成は難しく、意外と高いハードルだ。
しかしながら、この4,000時間コンテンツは、作り方次第でそれほど悲観する数字ではないように思う。

やはり、2つの条件を比べると、チャンネル登録者数1,000人が高いハードルだといえよう。
そのため、チャンネル登録者の獲得のため不正行為などが発生する可能性は大きな懸念点である。もし不正行為が横行するようになれば、さらに資格要件のハードルを上げることになりかねない。
さらに資格条件が引き上げられるようなことがあれば、まじめに動画を投稿しているクリエイターにはとって迷惑な話だ。

こうしてYPPの資格を得たとしても、YouTubeの利用規約やGoogle AdSenseのプログラムポリシーに違反が見られた場合はYouTubeから削除するとしている。

なんとか資格要件をクリアしても、コンテンツが不適切であればアカウントの削除もあり得るのだ。

アカウント削除された場合、再度アカウントを作成しても、資格要件のハードルが上がっているため、収益までの時間がかりすぎるため割に合わないとなるだろう。これは悪目立ちしたり、不適切な動画で収益を得ようとしたりすること自体が間違いであり、結果として資格要件を自ら上げることになった。まさに自業自得であるとも言える。

今回の資格要件の変更は、YouTubeクリエイターと広告主の関係を正常化し、適切な広告配信と収益の分配を目指すものだ。しかし、その結果、弱小チャンネルが一斉に淘汰されることになる。

現実的に自分は「YouTubeは儲かる」を実現できないと認識しながらもユーチューバーになりたいというユーザーも多くいる。今回の資格要件の変更は、こうしたユーチューバーが収入を得ることは難しくなったのかもしれない。

一部の勝ち組ユーチューバーとの格差がさらに開くのか?
健全になったことで多くのユーザーの収入が増えるのか?
今後どうなるのか気になるところだ。

なお、YouTubeではクリエイター向けのクリエイターアカデミーやヘルプセンターを設けて支援を行っており、資格要件をクリアできなかったユーザーは諦めずに継続して欲しい。


執筆  mi2_303