インスタグラムは、急速にナイキ(Nike)のお気に入りのSNSになりつつある。マーケティングエージェンシーのシェアクリエイティブ(Share Creative)によると、ナイキが2017年、SNSにアップロードしたコンテンツの内訳は、インスタグラムのグローバルアカウント(@nike)および英国アカウント(@nikelondon)が3分の1以上、Twitterが半分以上を占め、Facebookは13%だった。ナイキのアカウントがアクティブであろうがなかろうが、インスタグラム上ではナイキが言及されている。たとえば2017年の英国のデータを見ると、ファンからナイキへのメンションの過半数(55%)がインスタグラム上のものだった。前述の通り、ナイキが2つのアカウント @nike と @nikelondon にアップロードしたコンテンツの割合は、SNS全体の35%しかないにも関わらずだ。

Source: Share Creative

シェアクリエイティブのアナリスト、ローラ・ダニエルズ氏によると、ナイキがSNSで話題になるのは、ナイキ自身の投稿とはあまり関係ない。「ファンは自分のブランド愛をシェアしたがっていて、ナイキ自身のアクティビティとは関係ない」。

「#fitness」に注力

ファンに愛されているナイキは、インスタグラムで「いいね!」の多いブランドランキングにおいて、世界16位につけている。だが近頃、消費者の情熱は少なくともインスタグラム上では薄れつつある。ソーシャルマーケティング企業のソーシャルベーカーズ(Socialbakers)によると、2016年5月から12月のあいだ、ナイキのアカウントへの月間平均「いいね!」、およびコメント獲得数は約240万だったが、2017年の同時期は130万まで落ち込んでいる。

Source: Sociabakers

シェアクリエイティブによると、英国のソーシャルメディアユーザーがナイキとハッシュタグ「#fitness」をメンションした投稿は、ほぼすべて(95%)がインスタグラムのものだった。フィットネス関連のコンテンツは、ナイキ自身のソーシャルコンテンツとしても重要な役割を担っている。同社のグローバルアカウントでは、新記録を打ち出した有名スポーツ選手をフィーチャーした投稿がもっとも反響が大きいが、英国アカウントではポジティブさ、強さ、エンパワーメント、スタイルを前面に押し出し、(グローバルアカウントで起用しているような)成功したセレブよりも身近な人物を起用すると反応が良い。2017年、インスタグラムにおけるナイキへの反響が、フィットネス以外のカテゴリーであまり見られなかった理由として、ナイキが全体の投稿数を減らし、フィットネス関連の投稿により力を入れたことがあげられる。ソーシャルベーカーズによると、2016年の5月から12月のあいだのグローバルアカウントへの投稿数は50回だったが、2017年の同時期は39回だった。

猛追するアディダス

調査企業ユーガブ(YouGov)が提供する、ブランド認知調査サービスのブランドインデックス(BrandIndex)によると、アディダス(Adidas)はインプレッションスコア(特定のブランドに対し、消費者がポジティブ/ネガティブどちらの印象をもっているかの指標)において、ナイキを僅差でリードしている。英国では、アディダスが37ポイント、対するナイキは36ポイントだ。ブランド間の差がここまで小さい場合、商品選択は消費者個人がプロダクトの品質や価値をどう認識しているかに左右されると、ユーガブのデータプロダクト責任者、アメリア・ブロフィー氏はいう。もちろん、プロダクトによって指標の値は異なるだろうが、価格の面においては、一般的にアディダスの方が財布に優しいと考えられていると、ブロフィー氏は指摘する。若者世代に特化したエージェンシーのリビティ(Livity)でストラテジストを務めるアラン・ブライアント氏によると、ナイキは「ユースカルチャーを取りこぼした」ため、いくつかの分野でソーシャルエンゲージメントが伸び悩んでいるという。スニーカーだけでなく、「ユースカルチャー全体で、ナイキはかつて支配していた部分をアディダスに奪われている」と、ブライアント氏は指摘する。ナイキのグローバルアカウントで、2017年5月〜12月にエンゲージメントが高かった上位6位の投稿を見ると、インフルエンサーを起用したスニーカーのプロモーションはひとつだけだ。この投稿は、ラッパーのケンドリック・ラマーをフィーチャーした、レトロな定番モデル「コルテッツ(Cortez)」の再販告知だった。だが、ラマーを起用したにも関わらず、この投稿のエンゲージメントは、サッカー選手クリスティアーノ・ロナウドのプロモーション投稿の半分でしかなかった。

「2018年に大きな動き」

米国では、ナイキは依然としてマーケットシェアの約半分を握っている。しかし2017年9月に、アディダスがナイキの「エアジョーダン(Air Jordan)」ブランドを抜き、シューズブランドとしてナイキに次ぐシェアを獲得した。米国におけるインプレッションスコアはというと、ナイキはまだアディダスをリードしており、ユーガブのブランドインデックスによると、前者は47ポイントで後者は41ポイントだ。18歳〜34歳の層ではさらにスコアが高いが、ここでもナイキ(56ポイント)はアディダス(51ポイント)を上回っている。ナイキがソーシャルメディア戦略に失敗したと考えるのは誤りだと主張するのは、動画パブリッシャーのカイラTV(Kyra TV)共同創業者デブラン・カラカ氏だ。同社はナイキの子会社コンバース(Converse)と提携関係にある。「2017年、ナイキが(デザイナーの)バージル・アブロー氏と組んだ『オフホワイト(Off-White)Xナイキ・ザ・テン(Nike The Ten)』シリーズのインパクトは、おそらく2017年に発売されたスニーカーのなかでもっともインパクトが大きく、今後のコラボ製品や、ポストモダン的なデザインの可能性を大きく広げた」と、彼はいう。「2017年のナイキが控えめだったというなら、おそらく2018年は大きな動きがあるはずだ」。Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)