働き損には気を付けたい

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 今年から「配偶者控除」の制度が大きく変わった。これまで問題となっていたのは、「103万円の壁」だった。妻の年収が103万円以下だと、夫の所得から最大38万円が控除された。

 例えば、夫の年収が600万円の場合、妻の年収が103万円以下だと所得税・住民税を合わせ約7万1000円税負担が軽くなっていたため、多くの妻は年収103万円を超えないよう仕事量を調整してきた。

 この「103万円の壁」が、今年から「150万円の壁」に引き上げられた(夫の収入が1220万円以下の場合)。収入がこの額を超えると控除額は段階的に縮小され、年収201万円を超えると受けられなくなる。

 しかし、これで「妻は『壁』を気にせず150万円まで働ける」と理解するのは間違いだ。気にすべき「壁」が他にもあるのだ。

◆妻の収入は「少しあればいい」夫婦の場合

 都内在住のA氏(50)はメーカーの現役正社員。収入は安定しているが子供の教育費がかさみ、預貯金を少しずつ取り崩しているので妻がパートに出る予定だ。このように妻が働いて収入を得る場合、年収100万円までは非課税になる。

「年収が100万円を超えると住民税、103万円超だと所得税がかかります。ただ、年収104万円の場合を例にとっても住民税、所得税合わせて8500円程度の負担。働いたぶん手取り収入は増えるので、さほど気にする必要はありません」(税理士の落合孝裕氏)

 注意が必要となるのは、その先の「社会保険の壁」だ。妻の年収が一定額を超えると夫の扶養家族を外れ、夫の会社の社会保険(厚生年金、健康保険、介護保険)に加入できなくなる。すると、妻は勤め先の社会保険に加入して、自ら保険料を納めることになる。

 妻が夫の扶養から外れる際の条件は、勤め先の規模などでも異なる。

 従業員501人以上の会社の場合、「106万円の壁」がある。年収106万円(かつ勤務時間が週20時間)以上働くと、社会保険料が給料から天引きされて手取りが減る。

「大手スーパーで働くパートの多くがこの条件に当てはまります。実際に妻の年収が106万円になると、保険料を抜いた手取り額は約90万円。夫の扶養から外れない年収105万円の妻より約14万円も手取りが減ります」(同前)

 妻の勤め先が従業員500人以下であれば、これが「130万円の壁」になる。妻の年収が130万円以上だと国民健康保険、国民年金などに加入する必要が出てくるのだ。このケースでは年収が増え、保険料も増額となり手取りへの影響が大きい。

「妻の年収が129万円の場合、税金を引いた手取りは約124万円ですが、年収130万円だと社会保険料が引かれて手取りは約100万円まで減ってしまう」(同前)

「妻の働き方」を決める際には、こうした“働き損”を考慮する必要がある。

「A氏のように家計を少し楽にする程度の収入を求めている場合、できるだけ『社会保険の壁』を超えずに働くことが有力な選択肢となる」(同前)

※週刊ポスト2018年2月9日号