米地元紙の複合企業デジタルファーストメディア(Digital First Media)は2018年、電子メールに焦点を絞り、コロラド州デンバーやサンフランシスコのベイエリア以外の市場へ向けて、電子ニュースレターを発行する予定でいる。この計画は、トラフィックの5分の1をソーシャルから、そしてその多くをFacebookから得ているデジタルファーストが、Facebookというプラットフォームから離れてトラフィック源を多様化するのに役立つだろう。

Facebookがパブリッシャーページのコンテンツよりユーザーのコンテンツを優先するようになったいま、そこからの脱却は、より緊急性の高い課題となる。検索や電子メールのような馴染み深い方法に戻るものもいれば、違うプラットフォーム製品により多くのリソースを振り向けるものもいる。たとえば、コンデナスト(Condé Nast)で調査分析ならびにオーディエンス開発担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるステファニー・フライド氏は、現在社内でFacebook担当になっている人間のうちの何人かを「インスタグラムストーリーズ(Instagram Stories)」に振り分けることになるだろうと話す。

多くの場合、目標とするのは、Facebookが時折もたらす一過性のトラフィックを追い求めることではなく、パブリッシャーのコンテンツに対して持続的なエンゲージメントを確立することだ。デジタルファーストメディアのオーディエンス開発担当デジタルディレクターであるダン・ペティー氏は、「我々は、エンゲージメントや会話にもっと焦点を絞る必要がある。月に2〜3回ほど訪問してくる人を、同月内に4回、5回、6回と訪問させるには、どうすればよいのだろうか?」と語る。

「ゲームプレイのようなもの」



パブリッシャーにとってFacebookはもはや、参照元トラフィックのトップソースではないが、特に広告に支えられたライフスタイルをテーマにしたパブリッシャーにとっては、それは最優先のものだった。場合によっては参照元トラフィックの70〜80%、90%がFacebookから来ていたこともあった。Facebookが多くのトラフィックをもたらし、注目をひいていたので、パブリッシャーは社内にFacebook専属チームを設けなければならなかった。

「ソーシャルは、ブランドがひとつのチャンネルに焦点を絞るべき唯一の場所だ。でも、それも変わるかもしれない」と、コンデナストのフライド氏は話す。

Facebookが注目を集める理由のひとつは、このプラットフォームが優先するものが常に変化していることにある。シェア、リアクション、動画、友達と家族、ライブ動画へとシフトするなかで、オーディエンスチームは、自分たちが集めたオーディエンスと関係を築くより、Facebookの暗号を解読することにより集中するようになっていった。

身元は伏せたままで取材に応じた、あるオーディエンス開発担当の幹部はこう話す。「我々はゲームのルールを覚えてプレイしているだけだ。(Facebookは)ロイヤリティーを獲得するうえでは優れてはいなかった。我々の時間を吸い上げて、チープなトラフィックをもたらしただけだった」。

先取りしていた企業も



デジタルパブリッシャーのあいだでは、新年早々Facebookのニュースの話で持ちきりだったが、彼らの多くは、発表より前から、自社のオーディエンス開発チームの使い方を変えはじめていた。

たとえば英経済誌「エコノミスト(The Economist)」は2017年夏に、サイトでの滞在時間のようなパフォーマンス指標を改良し、モバイルアプリの利用数を増やすために、オーディエンス、製品、編集の各チームをまとめて、いわゆる「部族(トライブ)」を作った。

「テキサス・トリビューン(The Texas Tribune)」紙は、会員売り上げの増加を狙って、主要メトリックスとしてページビューより会員数の増加に着目するようになった。2017年6月にはオーディエンスチームのなかに会員チームを組み込み、1000ドル(約11万円)以下の寄付を募っている。

「実は、ホッとしている」



Facebookはパブリッシャーに向けて、同プラットフォームへの依存度を下げるようにというシグナルを出したわけだが、その発表の本当の影響がわかるまでにはまだ数週間かかると、パブリッシャーたちはいう。Facebookがパブリッシャーと距離を置くことは、短期的には痛みを伴うが、長い目で見れば良いことだろうと感じているものは多い。

世界的パブリッシャーでオーディエンス部門を率いる人物は、匿名を条件に、「公私の両方で、人々はホッとしているように見える。我々はかなり長いあいだ、Facebookに人質を取られているような気がしていた」と語った。

Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)