フォード「マスタング・ブリット」(画像: フォードの発表資料より)

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■「スティーブ・マックイーンの孫娘」と「ドリキン・土屋圭一」

 しかし、孫娘の運転するフォード・マスタング・ブリットは、素晴らしく制御された現代的な「アメ車」を見せつけている。さわやかでもあり、「物足りない」と感じるのは歳のせいであろう。また、当時のサスペンション・セッティングでは「アンダーステア」が強すぎて、速く走ろうと思えば、FR車の後輪パワースライドを多用するしかなかったのだ。現代の「ドリフト族」につながる出発点である。現在のドリフト族は、マックイーンのパワースライドを知らないであろうが、映画「ブリッド」が原点なのだ。「ドリキン(土屋圭市)」は知っているはずだ。

【前回は】【フォード・マスタング・ブリット(上)】スペシャルティー・カーとカーアクション トヨタ生産方式

■カーデザインの金字塔 「コークボトルライン」「ダックテール」

 デザインの点でも、「コークボトルライン」と呼ばれている「女性のスタイル」をまねた車のスタイリングを確立した象徴的な車で、現在のマツダ各社のデザインテーマとなっている。またテールランプは当時のムスタングの面影を見せているが、そのテールデザインは「ダックテール」と呼ばれる、空気抵抗を減らすデザインとして現代では確立されている。

■コマーシャルの金字塔 本田宗一郎との出会い

 スティーブ・マックイーンは若くしてがんで亡くなったのだが、アメリカの大俳優は“コマーシャルに登場しない”という当時の慣習を破って、「ホンダのバイクコマーシャル」に登場した。これにはホンダの創業者本田宗一郎が直接、マックイーンに出演依頼をしに出掛けたことが知られている。バイク好きの両者はその時盛り上がって、スティーブは宗一郎にOKを出したと言われている。これが、後のマンダムなどのように、現在では大物であってもコマーシャルに登場するきっかけを作っていると言われている。

■男の金字塔 「クールな男らしさ」

 現代のフォード・マスタング・ブリットは475馬力を発揮し、映画「ブリット」出演のムスタングGTと同じくダークハイランドグリーンに塗られているが、やはりデカールやスポイラーなどはなく、マックイーンが当時演じた「クールな男らしい」人間像を表している。これも「現代の男らしさ」とは違い、「羊の皮をかぶった狼」と言われたスカイライン2000GTに影響を与えて、当時の「男らしい人間像」を作り上げていた。

 この車については話は尽きないが、この辺にしておこう。