この約30年でライフスタイルは大きく変わり、「老後のお金」を取り巻く環境も大きく変化しました。この時代に、どうやって「老後資金」を貯めていればいいのかを考えてみましょう。

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「老後には3000万円必要」などと聞いたことがあるかもしれませんが、この約30年でライフスタイルは大きく変わり、「老後のお金」を取り巻く環境も大きく変化しました。この時代に、どうやって「老後資金」を貯めていればいいのかを考えてみましょう。

30年前とライフスタイルや老後のお金はどう違う?

これからの老後資金の貯め方を考える前に、2017年と32年前の1985年では生活がどう変わったか、確認してみましょう。例えば、婚姻件数や離婚件数、未婚率(厚生労働省 2017年人口動態調査)から今と32年前のライフスタイルの違いを実感できます。

1985年には婚姻件数73万5830組に対し、離婚件数16万6640組、2016年には婚姻件数62万0531件に対し、離婚件数は21万6798組。婚姻が約11万組減っているのに、離婚が5万組も増えています。

離婚すると財産も年金も分割されますし、加給年金や遺族年金も出なくなります。


また、平成28(2016)年度厚生白書によれば、生涯未婚率(50歳まで未婚)では1985年に男性3.9%、女性4.3%に対し、2015年に男性24.5%、女性は14.9%です。離婚や独身が多くなり、高齢者の単身世帯が増えています。


また会社が支給する退職金は、2010(平成20)年に大学卒2250万円に対し、2015(平成25)年には大学卒1941万円と大企業でも5年前より約300万円減っています。退職金制度がない企業も増えており、昔より退職金はあてにならなくなっています。

スマホ、タブレット、携帯電話、PCなどの通信機器の普及で、自宅での仕事や情報収集がしやすい世の中になったことも大きな違いです。こういった変化も踏まえて、老後のお金の貯め方を考えてみましょう。

2018年版、老後のお金はこう考えよう!ポイント5つ

1.老後も元気なら働こう!
希望者に対して65歳までの定年が高年齢者雇用安定法で義務付けられました。これは65歳まで働く権利があるということです。厚生労働省の「平成 26 年就労条件総合調査の概況」によれば、30人以上の会社のうち92.9%に60歳以降も再雇用制度・勤務延長制度があります。

65歳以降に、家賃や住宅ローンがある場合もあるでしょうが、しっかり65歳までは働き、それ以降も元気ならお仕事はぜひ続けましょう。また60歳以降も自営業で働く場合は、老齢年金をもらいながら働いていても年金額が調整されません。

60歳以降も会社勤めで厚生年金・健康保険に入れるなら、60歳未満の配偶者や被扶養者(子供や親等)を扶養に入れると配偶者の社会保険料を支払わなくても済みますね。老齢年金をもらいながら厚生年金に入って働くと年金は調整されますが、退職してからの年金額は増えますよ。

2.家族仲良しだと何かと経済的でお金が貯まる
現役のときの単身赴任や、子供が遠くの学校への通学を理由に一人暮らしするなど、家族が別れて暮らすと何かと出費がかさむものです。「会社の業務命令」や「子供が遠くの学校しか受からなかった」など致し方ない理由を除いては、同じところに住むのが経済的には得策です。「正当な理由のない夫婦の別居」は年金の家族手当「加給年金」(平成29年度で配偶者加給38万9800円)が支給されないので注意か必要です。

3.年金のもらい方には繰上げや繰り下げもあり
老後の年金は厚生年金も国民年金も近い将来65歳支給になります。生活にどうしても必要なら、無理に生活するよりは繰り上げて年金を受け取る手があります。老齢年金の繰上げ支給を受けると、障害年金がもらえないなどデメリットもあります。年金受取りを1カ月早めるごとに0.5%年金額は減ります。

また、仕事の収入が順調なら、年金を繰り下げて受け取ることもできます。加給年金(年金版家族手当)の支給も遅れるのですが、年金受取を66歳以降に1カ月遅らせるごとに0.7%年金額が増えます。

4.老後の年金以外にももらえる!公的給付金はしっかりもらうこと!
60歳過ぎて勤務しているとお給料の下がってしまう会社も多いですが、雇用保険から「高年齢継続給付」が支給されるのをご存知でしたか?

高年齢継続給付とは、60歳以降も職場を続け、60歳後の給与が60歳時点の75%未満に下がった場合、雇用保険から支給される給付金です。給与が下がった割合に応じて60歳でもらっている給与(上限あり)の最高15%が支給されます。

5.確定拠出年金を使って、税金を減らそう!
最後に投資について書いておきます。30代、40代のころからの資産運用はどうしてもしなければならないわけではありません。ただ、老後に向けての資産運用を考えているなら「NISA」(少額投資非課税制度)より「確定拠出年金」の方が税制上有利です。会社で確定拠出年金に加入するか選べる場合は、加入しましょう。退職金が会社の業績で減額されたりしない点も有利です。

以上いくつかの方法を挙げてみましたが、老後に限らず、現役のうちから収入の範囲内で生活すれば、「老後に3000万貯金」に必ずしもこだわる必要はないのではないでしょうか? 幸せな老後を送ることができるように現役のころから知識を身につけておきましょう。
(文:拝野 洋子(マネーガイド))