『スター・ウォーズ』レイア姫の3Dプロジェクション実現へ

写真拡大

 レーザー光を使って何もない空中に3次元(3D)のカラーイメージを描画する技術を米ブリガムヤング大学の研究チームが開発した。いわゆるホログラム(ホログラフィック・ディスプレー)と違い、周囲のどの位置からでも3Dイメージを見ることができる。表示のための透明な囲いや特殊なヘッドセットを必要とせず、見る人が動きまわったり見る角度を変えたり自然な形で観察できることから、さまざまな分野での応用が期待される。

 同大で電機・コンピューター工学を専攻するダニエル・スモーリー教授らが開発したのは、実際の立体空間にイメージを再現する「ボリューメトリック・ディスプレー」の一種。

 これまでのボリューメトリック・ディスプレーが2次元平面に描画したイメージを平行移動させたり、回転させたりすることで立体的なイメージを作り出していたのに対し、今回の技術ではレーザー光で空間にプリズムや大学のロゴのほか、動く蝶々やリングなどカラーイメージを直接描画することに成功している。成果は25日付の英科学誌ネイチャーに掲載された。
 
 映画『スター・ウォーズ』(1977)では、レイア姫が空中に浮かぶ自身の3D映像を通じてオビ=ワン・ケノービに助けを求めるシーンがある。

 それにちなんで「レイア姫プロジェクト」と名付けられたこの研究では、イメージの描画に光トラッピングの原理を利用。空中に浮かぶ直径5~100マイクロメートルのセルロース粒子に目に見えないレーザー光を当て、光の屈折率の違いで生じる微小な力で粒子を捕捉する。こうすることで微粒子を不均一に加熱しながら、空中を高速で動かすことができる。

 さらに、その粒子に別の可視光レーザーで赤・緑・青という光の3原色を照射。粒子の空中での動きが高速だと、光で輝く粒子の軌跡が、人間の目には夜空の花火のようにつながった線に見える。イメージ自体を高速で変化させると、物体が動いているようにも見える。

 ただ、この方式で表示できる物体はまだ小さくミリメートルサイズ。しかもシンプルな線画にすぎない。リアルで複雑な画像かつ大きなイメージを空中に描画するには、レーザーの動きをさらに高速にし、複数の粒子を同時に操る技術開発が求められる。スモーリー教授らはこうした課題に対処するためのアイデアも温めているという。

 ほかに3D画像を表示する技術としてはホログラフィック・ディスプレーが知られている。ホログラムでは人間と等身大の大きさやフルカラーのものが開発されているが、そもそも2次元表面に光を投射し、光の回折現象や干渉を使い、人間の目に画像が深さを持っているように認識させる方式のため、見る位置がずれると画像が見えなくなる難点がある。また、表示も静止画に限られていた。

レーザーで空中に再現した蝶々のイメージ。下に見えるのは指先(Daniel Smalley Lab Nate Edwards/BYU)