インタビューに応えてくれた井上領事(米ラスベガスで)

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 グーグル、アップル、フェイスブック、ウーバーなどデジタル企業がひしめく米シリコンバレー。日々勃興するスタートアップ企業がもくろむ破壊的なイノベーションは、電機や自動車産業といった伝統的な産業を巻き込んで拡大している。

 こうした中、シリコンバレーで今起こる変化の本質を伝える日本人の有志活動が注目を集めている。「シリコンバレーD―Lab(Dラボ)」。在サンフランシスコ総領事館、パナソニック、日本貿易振興機構(ジェトロ)、トーマツベンチャーサポートに所属する4人が、シリコンバレーを中心とするキーパーソンに次々とインタビュー。日本企業がイノベーションの中心地で存在感を増し、また将来的に日本でイノベーションを起こすためには何が必要なのか、自問自答しつつメッセージを送り続けている。2017年春に[http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170404002/20170404002-1.pdf{第1弾のレポート}]を発表。これまでに計17万ダウンロードを超えた。1月30日には、日本の経済産業省と連携して同省内で第2弾となるレポートの説明会を開く予定だ。

 ニュースイッチでは、Dラボメンバーの1人である在サンフランシスコ総領事館の井上友貴領事にインタビューした。シリコンバレーの実態をよく知るDラボの活動は、日本企業が今後イノベーションを起こすために行動するためのきっかけを提供してくれている。ロングインタビューでお送りする。

「想像できない変化がすぐ来るかもしれない」
 ―17年春、自動車業界の変化を描いたレポートを発表しました。寄せられた反響と、その後の業界の変化をどう見ていますか。
 「自動車メーカーからの反響は大きかったし、部品メーカーからも新規開拓の相談などが寄せられた。本レポートの根底にある時代の変化、既存事業への危機感といったレベルで、素材会社、製薬会社など異業種からも反応があった。現在は大企業から進出の相談を受けたり、金属加工を手がける中小企業数社のシリコンバレー進出をサポートしたりと、Dラボの活動の幅が広がってきている」

 「シリコンバレーでの自動車関連の動きは非常に早い。IT企業がどんどん入ってきていて、これまでの車を作る人たちが頂点にいる構造が変わり、サービスやITに主導権が移りつつある。産業が変わる転換点を迎えていると感じる。その辺りは自動車会社も相当気付いていて、(1月上旬の米家電・IT見本市「CES」で)トヨタ自動車がe-Paletteというコンセプトやそのサービス用のモビリティーを発表するなどの動きが出てきた。日本企業の動きは確かに速くなっているが、米国や中国企業の動きは驚くほど速い。(日本企業よりも)もっと明確にビジョンを出し、投資し、人を集めている」

 ―Dラボの目的のひとつは、シリコンバレーで感じる危機感を日本国内の人に伝えることです。伝わっていると思いますか?
 「半々だ。納得し、すぐさま行動に移す人もいれば、そんな時代は来ないとタカをくくる人もいる。ただ、現在は想像できないほどの変化がすぐ来るかもしれない時代だ。10年、20年前は技術の進展スピードも今ほどは速くなかった。ただ半導体が出てきた辺りから、一度差が付いたら追いつけず、一気に市場から追い出されるのが当たり前になっている。おそらくこの世界(自動車)も同じだ」

 「自動車メーカーも、すべてを社内でやるのは難しい。技術的にも、事業のスピードでも、いちから作り出そうとするのでは間に合わない。パートナーシップをどう組むかが大切だ。次のモビリティー社会でプレーヤーとして参加するには最低3要素あると思っている。ひとつはハードづくり。ひとつは自動運転のためのAIソフト。あとはサービスだ。この三つが、ひとつのエンティティー(主体)でなくても、アライアンス(連合)として提供しないと、そもそもプレーヤーになれない。競争で勝つか負けるかはその次の段階。これまで当社は素晴らしい部品を、というだけでは不十分で、3つの要素を持ったグループを形成していかなくては、競争への参加資格がない」