高収入でイケメン。だがモテる男ほど、おカネに苦労しているかも(写真:chachacha/PIXTA)

今回、私たちファイナンシャル・プランナーの事務所に「おカネの相談」に来たのは、45歳で独身男性のA男さんです。ベンチャー企業の広告代理店に勤務、年収は1500万円と大手に負けないほどです。しかも容姿は「メンズ雑誌」から抜け出たようです。まさに「イケメンを地で行く」のですが「貯蓄がほとんどゼロで、将来が不安で仕方がない」というのです。イケメン過ぎるのが、逆に仇になっているのか? それとも、ただのおカネの使いすぎ? 早速、お話を聞いてみることにしました。

貯められない理由は「離婚」だけではなかった

A男さんはセンスの良い洋服に身を包み、清潔感もバッチリ。誰がみても女性にかなりモテそうなのに独身とは不思議でしたが、話を聞いてみると、過去に3回結婚しており、5人の子供も授かったそうです。

「高収入でイケメン」とくれば、モテるのは当たり前でしょうが、仕事柄、夜の飲み会などのつきあいも多く、華やかな会合に出席する機会も多くなりがち。付加価値の高い仕事をするうえでも、交際費が多いことはある程度、仕方がないところでしょう。

しかし、問題は女性との出会いも多く、「浮気」を繰り返してしまったことです。つまり過去3回の離婚の理由は、A男さんの「浮気」だったのです。そのため離婚のつど、妻たちに「慰謝料」を支払い、貯蓄がどんどん減っていくことに。加えて、A男さんを悩ませているのが、5人の子供たちに支払っている「養育費」。その金額はなんと、月50万円にも及んでいるそうです。

読者の皆さんにとっては、養育費の金額も高いし、そもそも払ったことがなければ、この話は身近に感じられないかもしれません。しかし離婚は今や珍しいことではありません。「離婚だけでなく、養育費も」となったら、どういう形で決まっていくのかも、ぜひ知っていただきたいのです。

では、養育費はどう決まっていくのでしょうか。これは、「現在の子供にかかっている教育費」「今後の子供の教育費」「夫婦の収入状況」「夫婦の資産状況」などを元に、夫婦が話し合って決めるケースがほとんどです。

話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の調停を通して決めることになりますが、A男さんのケースは過去3回とも、裁判所を通さず、話し合いで決めてきたそうです。本人の自覚もあるほど「遊び人」だったA男さんですが、「子供に不自由をかけたくない」という子供への強い思いはありました。また、過去3回のケースとも妻が専業主婦だったことも、養育費がかさんでしまった理由の一つとのことです。

実は、厚生労働省「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査の結果」によれば、シングルマザー世帯の約6割が養育費の取り決めをしておらず、元夫から養育費を受け取っていないケースや、途中で養育費が滞ってしまうケースが多いようです。しかし、A男さんの場合は、養育費について「強制執行認諾約款付の公正証書」を作成することに同意しました。万が一、A男さんが養育費を支払わなかった場合には、裁判のプロセスを踏まずに、ただちに強制執行となります。

養育費を払いつつ、税金を減らしておカネを貯める

つまり、 A男さんの場合、養育費を払うとここまで決めた以上、減額交渉はできるかもしれませんが、基本的に養育費を支払わないという選択肢はありません。しかも日頃の派手な生活がなかなか改められず、毎月の貯蓄はほぼゼロ。「アラフィフ」に差し掛かり、将来も不安になってきたものの、仕事柄なかなか生活を変えられず、「どうしたものか」と悩んでいたのです。もちろん、収入が高いので、生活を大きく変えれば少しは貯蓄できる余裕も出てくるはずです。しかし、そう簡単に生活は変わらないものです。仕事上、交際費がかさむのは、ある程度致し方ありません。

ではどうすればいいでしょうか。真っ先に考えたいのは、A男さんのように高収入なら「節税しつつ貯蓄をすること」です。もちろん、収入自体を増やすために副業するなど、いくつか施策はあります。しかし、副業はすぐには効果が出るとは限りません。聞いてみると、A男さんは「おカネまわり」については無頓着で、「普通預金」や「低金利の貯蓄性保険」にしかおカネを預けていないのがわかりました。

節税しつつ貯蓄をするには、やはりiDeCo(個人型確定拠出年金)を使うのがお勧めです。A男さんの場合、高収入なので課税所得に対する税率は33%、会社には企業年金制度がないので、iDeCoは毎月2万3000円まで掛けることができます。もし、この上限額を毎月拠出して金融商品を運用した場合、年間の掛け金は27万6000円です。

これで、節税できる金額はどれくらいになるでしょうか。所得税だけではなく、住民税(10%)も節約できます。計算式は以下です。

所得税:27万6000円×33%=9万1080円
住民税:27万6000円×10%=2万7600円
合計:11万8680円

このように、iDeCoを活用すれば、将来のために毎年27万6000円を貯蓄しながら、約12万円の税金を取り戻すことができます。A男さんほどの収入があれば、少し家計を見直せば、毎月2万3000円の掛け金なら捻出できるはずです。私と一緒に家計を見直した結果、やはりというべきか、すぐに節約できる金額が、2万3000円どころか、6万円程度あることがわかりました。

なお、節税した金額は、所得税は年末調整で還付、住民税は翌年の支払い額が減るので、来年度からの手取りが増えることになります。還付金額や増えた手取り金額は、使わずに貯蓄すると、確実におカネは貯まります。他にも、会社員が節税できる方法としては、「NISA」(少額投資非課税制度)「つみたてNISA」「不動産投資」など、方法があります。

「4度目の結婚」がうまくいくよう、人生の立て直しを!

実は、A男さんが将来を案じ始めるきっかけになったのは、現在おつきあいしている彼女の存在です。結婚を意識しても、現状の「高額の養育費に、貯蓄ほぼゼロ」では、結婚したとしてもまた失敗するのではないか、と不安になるのはよくわかります。相手の女性だって心配でしょう。A男さんによると「相談に来るまでは、自分がよほど変わらなければ、貯蓄なんて絶対できないと思っていたけれど、意外にも節税という方法でおカネを増やすことできると知ってモチベーションが上がった」とのことでした。

ただし、節税にも限界があります。A男さんの場合、将来を本気で考えるなら浮気癖を直せるのかどうか。これが根本的解決につながるのは言うまでもないでしょう。子供への責任を果たすべく、養育費はそれぞれの子供が成人になるまでしっかり支払い、一方では生活を見直しておカネも貯めていく決意をしたA男さん。「4度目の正直」になることを、願ってやみません。