通常国会開会式での天皇陛下(写真:つのだよしお/アフロ)

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 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 1月22日、関東甲信越地方で大雪警報が出ているなかで通常国会が始まりました。開会式は貴族院だった参議院の本会議場に天皇陛下をお迎えして行われ、衆議院の本会議場で行われたことはありません。

 開会式の30分前には、国会議事堂の正門前に国会議員たちが陛下をお出迎えするために整列します。各委員会の委員長たちは正装で両脇に並び、通常国会の開会式だけは和装で登院する議員も多いので、とても華やかです。そのほかの議員たちは通常のスーツ姿です。

 今年の開会式は、本当に寒かったです。雪が降りしきるなか、陛下がお見えになる際には傘もささずにお迎えします。コート着用も禁止ではありませんが、誰も着ないで並んでいます。

 ちなみに、現職の衆参両院議長と閣僚は議事堂内でお出迎えしますが、外務大臣から自民党の政調会長に就いた岸田文雄議員は外でお出迎えしていました。

 お出迎えする議員たちは、陛下のお車である御料車が門を入ると頭を下げ、敬礼して御料車が通り過ぎるのを待ちます。開会式終了後のお見送りのときも同じような流れです。

 お見送りのとき、いつものように馳浩議員の「気をつけ! 礼!」の号令の下で議員たちが頭を下げようとしたとき、感激した城内実議員が「陛下が窓を開けて、ごあいさつをしてくださっているよ」と口にしました。そうなんです。あの寒さのなかで、陛下は御料車の窓を開けて、お見送りしている議員たちに手を振ってくださっていたのです。

 一方、伊吹文明元衆院議長が馳議員に「号令が早すぎ。陛下のお顔を拝見してから頭を下げたらいいんだよ」と諭していました。開会式の御料車のお見送りでは、いつの間にか馳議員が合図を送るのが恒例になっているのですが、「いつも少し合図が早い」と伊吹元議長がぼやいていました。

 大雪のなかで傘もコートもなしで多くの議員たちが整列して天皇陛下をお出迎えし、お見送りする様子は、ちょっと異様かもしれません。でも、強制ではなく、あくまで自発的に並んでいるのです。もちろん、お出迎えやお見送りをしない議員たちもたくさんいます。

 また、毎年恒例となっている和装振興議員連盟の集合写真は、大雪のため院内での撮影だったようです。華やかな着物姿の議員たちが集う姿は壮観です。永田町の素敵な風物詩だと思います。

●次期自民党総裁選に不穏な空気?

 そういえば、正装について「ベテラン秘書の存在意義」を考えさせられたことがありました。

 ある新人議員が「式典の案内に『軽装でお越しください』と書いてあったからセーターで出席したら、自分以外はみなスーツだったよ」と仲間に話しているのが聞こえてきて驚いたのです。おそらく、周囲にいた秘書たちも心の中で「そう思ったのはお前だけだ!」と総ツッコミ状態だったと思います。

 しかし、「一般的な『軽装』の概念はそうなのかもしれない」とも思いました。洋服のマナーとしての「軽装」とは、「『正装』でなくていいですよ、『平服』(略礼服)でどうぞ」という意味です。つまり、男性の場合であればモーニングやタキシード、燕尾服ではなく、ビジネススーツでもいいということです。

 こういうのは経験してわかることなのかもしれませんが、「やっぱりベテラン秘書の助言は重要だ」と思った瞬間でもありました。その新人議員さん、よく見たら会派の重鎮の意見を聞かず、“お友だち”を秘書にしている議員さんでした。秘書たちも、心の中でツッコミを入れつつ「やっぱりねー」と納得していたのかもしれません。

 余談ですが、通常国会の冒頭で首相が1年の抱負を述べる演説を「施政方針演説」といいます。そのほかの国会では「所信表明演説」といいます。正直、「意味が通じれば、どっちでもいいだろう」と思いますが、これを言い間違うと委員部の職員に毎回直されます。そのため、神澤はいまだに混乱しています。

 今年の安倍晋三首相の施政方針演説にはなんとなく力強さが感じられず、次期自民党総裁選挙に不穏な空気を感じたのは神澤だけでしょうか。世間の関心はすっかり政治から離れてしまっていますが、今国会では波乱が起きそうな予感もあります。活発な議論が行われることを期待しつつ、予算編成に注目していただきたいと思います。
(文=神澤志万/国会議員秘書)