2017年11月3日に発売されたiPhone Xですが、筆者は予約で少し出遅れ、入手したのは11月9日でした。それから約2カ月間、iPhone Xでワイヤレス充電を毎日使っていて感じたのは、「数千円かけて対応機器揃えてまで使いたいと思うか」ということでした。

毎日使って感じた良い点・微妙な点

現在販売されているiPhoneでは、iPhone8、iPhone8 Plus、iPhone XがQi(チー)規格によるワイヤレス充電に対応しています。もちろんLightning端子を使った有線充電も利用でき、単純な充電速度はワイヤレス充電よりも有線充電の方が速い場合が多いです。
 
iPhoneとしてはiPhone8/8 Plusが初めてワイヤレス充電に対応しましたが、Android端末などでは数年前から対応機種が登場しており、ワイヤレス充電対応は「おサイフケータイ」などとともに、iPhoneに搭載してほしい機能としてユーザーの要望上位にありました。筆者も、充電時にいちいちケーブルを探す手間が省けるのかとその利便性に思いを馳せ、iPhone Xの発表時に購入を決意し、端末入手よりも先にワイヤレス充電器などを準備しました。
 
昨年11月、iPhone Xを入手してから最初の充電はワイヤレス充電器で行いました。机にポンと置く要領で充電器に載せるだけで充電が始まり、手軽さに感動したことを覚えています。それから2カ月半ほど、毎日利用してきましたが、良い点と微妙な点がでてきました。
 
ワイヤレス充電の良い点
・ケーブルを探さなくても、充電器に載せるだけで充電される
・ケーブルの抜き差しが必要ないためコネクタやケーブルの破損などの心配がない
 
ワイヤレス充電の微妙な点
・充電器と端末の位置をしっかり合わせないとうまく充電されない
・充電中は数センチ以上端末を離せない(寝転びながら携帯を触るのが難しい)
・メーカーによって価格や性能の幅がある 高い製品も多い
・充電速度は有線での高速充電よりも遅い
・使用しているケース・カバーの厚みや材質によっては着けたまま充電できない
・複数端末の同時充電に対応している製品が少ない
・ケーブルの削減(使用中のコンセント数の抑制)にはつながらない
 

ワイヤレス充電のメリット

 
ワイヤレス充電の最大の特徴であり、最大のメリットが「充電器に載せるだけで充電できる」ことです。通常の有線充電では、端末に対応する端子のケーブルを準備し、充電時にはコネクタを確認しながら差し込み…といった動作が必要になります。何気なく机に置くように、充電器の上に載せておくだけなので楽です。いつも机にただ置いているだけだったのが、少しずつでも充電されるようになると考えるとメリットといえます。
 
ケーブルを探す手間が省ける、と思いましたが、自宅や職場などいつも自分がいるエリアには充電用ケーブルを挿しっぱなしの方も多いと思いますし、ケーブルケーブル…と思いながらコネクタに挿すのと、充電器充電器…と思いながらワイヤレス充電器に載せるのとでは、探す時間も変わらず、大差はありません。
 
ただケーブルでの有線充電の場合、充電を終えてケーブルを抜く際に根元を持たずにケーブル部分を引っ張ることで、ケーブルが断線する場合があります。また寝転びながら有線充電してiPhoneを触る場合も、ケーブルの根元部分に負担がかかり、やはり断線しやすくなるという懸念があります。ワイヤレス充電の場合はこういったケーブル断線の心配からは解放されます。
 

ワイヤレス充電のデメリット

 
良い点よりも多い微妙な点ですが、まずiPhoneの中心部分をワイヤレス充電器の中心に位置調整しないといけないのがひとつの不満点です。多少のズレなら問題ないのですが、少しでも端に寄ってしまうと充電されておらず、ただ台に載せているだけとなります。
 
次に、就寝前や起床後などで、充電しながら寝転んでiPhoneを触る方も多いと思いますが、ワイヤレス充電を利用する場合は寝転びながら触るというのが物理的に難しくなります。先述したように、ワイヤレス充電器とiPhoneのワイヤレス充電パーツの位置調整がシビアで、数センチ離れると充電されません。ワイヤレス充電器とiPhoneを触れさせたまま手に持つことでワイヤレス充電しながらの寝転び操作が可能ですが、それなら有線充電のほうが手への負担も少なくて良さそうです。
 
ワイヤレス充電器の価格設定はメーカーや製品の性能によっても幅があるのですが、電源アダプタを同梱しないものでも2,000円前後、アダプタ同梱で5Wではなく7.5W対応のものは7,500円前後となっています。純正のLightning充電ケーブルが2,000円〜4,000円ということを考えると、ワイヤレス充電導入のハードルは充電器の価格の高さだと思います。
 
そんな高価な充電器にもかかわらず、充電速度は有線充電のほうが早い場合もあります。iPhone8/8 PlusやiPhone Xでの有線充電は基本的に、iPhone付属の5W、iPad付属の12W、Mac付属の29Wが利用でき、この29Wが高速充電にあたります(有線充電の比較記事)。5Wの有線充電と5Wのワイヤレス充電でも有線充電の方が速度が安定している場合もありますし、12Wや29Wに至っては、7.5Wのワイヤレス充電よりも30分以上早くフル充電できました。
 
導入コストも、5WはiPhone付属ですし、単体購入できる12WとLightningケーブルでも5,000円弱、高速充電ができる29WとUSB-C Lightningケーブルも合わせて8,640円です。7.5W対応のワイヤレス充電器が税込み7,500円程度なので、ワイヤレス充電器を買う予算に少し足して有線の高速充電を利用するほうが良いと筆者は感じました。
 
また、使用しているiPhoneケース・カバーの素材や厚さによっては、ケースを着けたままワイヤレス充電できない場合もあります。この場合は充電のつどにケースを取り外す必要があるので、結果的に不便になる可能性があります。
 
Apple製ワイヤレス充電マットAirPowerや、クラウドファンディングサイトで人気を集めたFunximのワイヤレス充電器など、複数端末の同時充電に対応した製品は今後発売予定です。
 
ですが現状は1つのコンセントにつき1つの充電器、1台の端末を充電という形で、ワイヤレス充電器自体に給電するための電源アダプタ、ケーブルは必要になります。充電器と電源アダプタの接続がUSB端子で、複数ポート搭載のUSB充電器を利用するなら使用コンセント数を抑えられますが、専用電源アダプタを採用している製品も多いです。
 
この点は、複数端末の同時充電に対応したワイヤレス充電器が登場すれば、Apple Watch用のケーブル、iPhone用のケーブル、AirPods用のケーブルといったが1つにまとめられるため、ケーブルも使用コンセント数も削減できるのでメリットになるでしょう。

新規導入するならワイヤレス充電よりも高速充電がオススメ

このように、筆者としてはコストパフォーマンス、充電速度などから惜しいと感じる点が多いのですが、すでに利用しているワイヤレス充電器がある場合など、新しく購入して揃える必要がないなら導入コストはかかりませんし、載せるだけの手軽な充電方法は便利なものです。しかし購入するなら、もう少し予算を拡大して高速充電用の29W電源アダプタとケーブルをオススメします。充電開始から30分でバッテリーが50%回復するのは非常に便利です。
 
今後ワイヤレス技術が進歩して、現在のように充電時の端末の位置調整が必要なくなり、端末が充電器から数メートル離れていても充電できるようになれば、充電速度が有線充電よりも遅くとも利便性を感じますし、そうなってほしいと思います。
 
筆者はFunximのワイヤレス充電器に出資済みで、Appleが発売予定のAirPowerも、おそらく高価だと推測されますが購入予定です。入手した際はレビュー記事としてお届けしたいと思います。
 
 
(asm)

 
iPhone X充電速度検証&レビュー記事

【検証】iPhone X充電速度比較 有線では高速充電が最速!【ワイヤレス充電レビュー】mophie wireless charging base【ワイヤレス充電レビュー】Belkin Boost Up ワイヤレス充電パッド【ワイヤレス充電レビュー】Anker PowerPort Wireless 10