1月22日の関東の雪「典型的な南岸低気圧」低気圧の急発達と下層の冷気で大雪

2018/01/27 14:25 ウェザーニュース

 2018年1月22日から23日未明にかけて、本州の南海上を低気圧が通過し、2014年2月以来、4年ぶりに東京で20cmを超える積雪を観測するなど、関東地方を中心に大雪となりました。 ウェザーニュースでは、当時の状況を振り返り、今回の大雪をもたらしたメカニズムについて分析しました。交通インフラへ影響大 高速道路では通行止めが相次ぎ、東京都内では雪の影響とみられる交通事故が800件以上発生しました。また、鉄道のダイヤ乱れや特急列車の運休が発生し、帰宅時間帯には混乱が見られました。空の便については、22日から23日の2日間で成田・羽田空港を中心に国内線の400便以上が欠航となり、成田空港では滑走路が閉鎖して約9,900人が空港で一晩を過ごすなど大きな影響が出ました。〔関連記事〕大雪影響調査 約半数が会社を早退

積雪状況

 1月22日、ウェザーニュースには合計24,346通のウェザーリポートが寄せられました。そのおよそ半分を占める10,945通が関東地方から、約1/4にあたる6,413通が東京都から届きました。 ウェザーニュースでは、積雪を定量的に把握するため、22日14時から23日24時にかけて「積雪の深さは?」と問いかけ、全国8,085人に定規で測っていただきました。アメダス東京の積雪深が20cmを上回った時間の積雪分布を見ると、東京湾の沿岸では5cmから15cm積雪したところが多く、沿岸から約10km以上内陸側になると15cmや20cmを超える積雪になっている様子がわかります(図左)。このように、ウェザーリポーターの報告から、都心周辺での積雪を詳細に把握することができました。 このウェザーリポーターからの報告とアメダスやレーダーの観測データを合わせて積雪を解析したところ、関東平野では西部の内陸部を中心に20cmを超える積雪となったことがわかりました(図右)。 アメダスによる日最深積雪は関東地方の都市部の多くの地点で記録を更新しました。東京の積雪は平成に入ってから2番目に多い23cmとなり、その他の都市でも10cm以上の積雪を記録しました。▼1月22日の日最深積雪と平成元年以降の順位 東京  23cm 2位 熊谷  19cm 5位 秩父  17cm 12位 横浜  18cm 5位 千葉  10cm 6位 前橋  29cm 3位  宇都宮 27cm 3位  つくば 15cm 6位  水戸  19cm 2位  東京で20cmを超える積雪を観測したのは、27cmを記録した2014年2月15日以来、約4年ぶりのことです。2014年2月は、8日と14〜15日の2度にわたって南岸低気圧の影響で大雪となっており、関東地方の内陸部の熊谷で62cm、秩父で98cmという積雪を記録しました。

南岸低気圧の特徴

 1月21日に中国大陸で発生した低気圧は、ゆっくりと発達しながら東シナ海から九州・四国地方の南海上を東へ進みました。22日21時には関東地方の南の八丈島付近に達し、中心気圧は996hPaとなりました。21日21時には1016hPaでしたので、24時間で20hPa降下し、爆弾低気圧に近いような急速な発達となりました。この低気圧は、発達しながら八丈島付近を通過するルートを通り、関東地方に大雪をもたらす典型的な南岸低気圧であったと言えます。 2014年2月の大雪の時は、今回に比べて熊谷や秩父などの内陸部を中心に積雪が大幅に多くなりました。日降水量も今回とは大きく異なり、熊谷では今回は12.5mmでしたが、2014年2月15日には114.0mmにもなりました。低気圧のコースを比較すると、2014年2月の2つの低気圧の方が今回の低気圧より南で発生し、関東甲信地方へより接近していることがわかります。このため、より多くの水蒸気が関東地方に流れ込み、結果としてより多くの降水、そして積雪をもたらしたと推測されます。

大雪の推移

 関東地方では22日6時頃から埼玉県や東京都を中心に弱い雨や雪が降り始めました。雨や雪の範囲は昼頃にかけて広がり、次第に強さも増していきました。12時には茨城県の中央から千葉北西部、東京23区、神奈川の沿岸部にかけてを境目に、内陸側では雪、海側では雨となりました。この境界線は、地上気温が約1〜2℃の場所と対応しています。南岸低気圧の接近とともに寒気が南下し、22日18時には関東のほぼ全域が雪になりました。 積雪23cmとなった東京では、22日早朝から弱い雨や雪が降り出し、8〜9時には雨や雪の報告が東京都のウェザーリポートの過半数を占めるまで増加しました。

 それとともに、22日早朝には約4℃であった気温が下がり始めました。気温の低下と同時に湿度が上昇していることから、この気温低下は主に、雨の蒸発や雪の融解・昇華によって空気中の熱が奪われたことによると考えられます。12時には気温が1℃となり、雨は次第に雪に変わりました。その後、深夜にかけて降水が続き、24時間降水量は24mmとなりました。積雪も1時間に2〜3cmの速さで増加し、最深積雪は23cmに達しました。

 関東の南海上には22日の朝から局地的な前線が形成されていました(図左)。8時頃から関東地方で降り出した弱い雨や雪は、この局地的な前線に伴うものと思われます。12時頃にかけて降水により拡大した関東地方の冷気は、低気圧の接近に伴って北寄りの風が強まることでさらに南下し(図中)、18時には高度約250mで0℃以下の冷気が関東の南岸に達しました(図右)。 この地上付近の北寄りの風の強まりは、東京都調布市に設置した独自気象レーダー「WITHレーダー」の観測でも捉えることができました。

 12時00分には地上付近の北寄りの風の層は厚さ1000m程度でしたが、18時01分には2000m程度まで厚くなり、風速もより大きくなりました(図下)。また、18時01分には高度2000mから6000mにかけて鉛直方向に伸びた雪雲が見られました。これは、低気圧に伴う温暖前線の北側の層状雲の上層に見られる「生成セル(generating cell)」と呼ばれる雲と思われます。生成セルは雪粒子の急速な成長をもたらすことから、この時間帯の強い降雪に寄与していた可能性があります(図右の黄点線)。まとめ 1月22日、南岸低気圧の通過に伴い、東京都、埼玉県、群馬県を中心に広い範囲で20cm以上積雪し、関東地方では2014年2月以来、4年ぶりの大雪となりました。この大雪の要因としては、2014年2月の南岸低気圧と同様に急速に発達したことで、東京で24時間に24mmのまとまった降水をもたらしたこと、また、低気圧接近前からの局地的な前線に伴う降水や接近した低気圧による寒気の南への引き込みにより、関東地方のほぼ全域が1〜2℃以下の冷気に覆われたことが考えられます。これらは関東地方に大雪をもたらす南岸低気圧に共通した特徴であり、今回の低気圧もその典型的な南岸低気圧であったと言えます。 なお、南岸低気圧による大雪は例年、1月から2月にかけて多く発生します。1月25日には平成で1番の最強寒波が襲来するなど関東地方は平年より寒く、南岸低気圧が接近すると雪が降る可能性が高いため注意が必要です。 今回の大雪では、ウェザーニュースや気象庁が事前に大雪を伝えていましたが、帰宅時間帯に交通の混乱が見られました。雪に不慣れな関東地方では、一人ひとりの事前対策が非常に重要になります。ウェザーニュースでは、帰宅実態調査を通して知りえた情報をふまえて、次の雪に備えてできることをウェザーリポーターとともに模索してゆきます。〔リンク〕この先の天候 長期見解〔リンク〕天気予報・週間予報

この記事は、株式会社ウェザーニューズのニュースリリースをもとに作成しています。