介護サービス利用者が増加する中で 老人福祉事業者の倒産件数は過去2番目、負債総額は過去最大

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 介護サービス利用者が増加する中、昨年の老人福祉事業者の倒産件数は過去2番目、負債総額は過去最大を記録した。

 厚生労働省は1月15日、「介護保険事業状況報告 平成29年10月分(暫定)」を公表した。それによると、10月末時点の要介護・要支援認定者数は前年同期比11万9,000人増の641万6,000人で、男性が200万7,000人、女性が440万9,000人だった。

 居宅・介護予防サービス(現物給付8月サービス分、償還給付9月支出決定分 以下同じ)の受給者数は同15万5,000人減の376万7,000人、地域密着型・介護予防サービスの受給者数は同6万2,000人増の82万9,000人だった。施設サービス受給者数は同1万8,000人増の92万3,000人で、そのうち「介護老人福祉施設」が同1万1,000人増の52万3,000人、「介護老人保健施設」が同3,000人増の35万2,000人、「介護療養型医療施設」が同5,000人減の5万人だった。

 また、高額介護(介護予防)サービス費、高額医療合算介護(介護予防)サービス費、特定入所者介護(介護予防)サービス費を含む保険給付費の総額は7,976億円で、同212億円増加した。高齢化が進む中、介護保険給付費も増加傾向にあるようだ。

 一方、帝国データバンクは1月16日、老人福祉事業者の倒産動向調査を発表した。調査における老人福祉事業者は、訪問介護・通所介護サービス、各種老人ホーム、高齢者向け住宅サービス(医療行為を行わないもの)などの高齢者向けサービスを主業としている事業者。

 2017年の老人福祉事業者の倒産は88件で、過去最多となった前年の91件を下回ったものの、負債総額は129億3,400万円で過去最大となった。負債額「1億円未満」の倒産が69件で全体の78.4%を占めたが、2010年から2015年の6年間では2件しか発生していなかった負債10億円以上の倒産が2017年は5件発生するなど、中規模事業者の倒産増加が影響した。

 業態別では「通所介護」が34件、「訪問介護」が32件、「有料老人ホーム」「高齢者専用住宅」がそれぞれ9件、「グループホーム」が3件、「老人センター」が1件で、小規模事業者が大半を占めた。倒産主因では「販売不振」が50件で56.8%を占め、「事業計画や設備投資の失敗」(8件)、「放漫経営」(6件)と続いた。こうした状況について帝国データバンクは、小規模事業者などで当初想定していた利用者や従業員を確保できず、事業継続を断念するケースが目立ったと指摘している。

 介護サービス事業参入の増加や人手不足など、老人福祉事業者が抱える課題は多い。介護サービスは私たちの生活に欠かせないだけに、今後の動向に注目が集まる。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]

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