日産が試作した完全自動運転技術を搭載したコンセプト車「IMx」(東京モーターショー2017)

写真拡大

 自動運転になれば、車室の快適性が車の特性を左右する大きなポイントになる。車の役割が変化すれば、自動車を構成する部材も変わる。自動車産業を支える部品メーカー群も、部品メーカーの製品も従来の延長線上では30年後には市場に残れない恐れがある。

 天井はほぼ全面ガラス張り、側面は映像を映し出すディスプレー―。日産自動車が試作した完全自動運転技術を搭載したコンセプト車「IMx」は、車体は安全性と意匠性を追求すればよいという概念を崩した。

 IMxは快適かつ有意義に過ごせる空間を演出。ディスプレーは車外の景色を映し出し、車の外と中の関係をたくみに織り交ぜて開放感を与える。

 トヨタ自動車も小売りや宿泊といった目的に合わせて自由自在に車内設備を変えられる電気自動車(EV)の開発に着手した。自動車メーカーは新しい車像を具体化しつつある。

 「知恵をしぼってチャンスをつかみたい」。車用の精密バネやファスナーを供給するパイオラックスの島津幸彦社長は、次世代車に対応した新しい部品の開発を模索する。車の内外装が様変わりし、乗員の快適性向上に役立つ付加価値の高い技術が部品メーカに求められるようになるからだ。

 特に室内空間での快適性に直結するシートは次世代車の中核部品になる可能性が高い。シート世界最大手の米アディエントはエアバッグなどを手がけるスウェーデンのオートリブと組み、安全性の高い新しいシートの開発に乗り出した。トヨタ紡織、テイ・エステックやタチエスといった日本勢も次世代シート開発を強化している。

 車メーカーに部品を供給する従来型のビジネススタイルに加え、サービスの領域に一歩踏み込む部品メーカーも出てきた。車載スイッチを主力とする東海理化はシェアリングサービス向けのワンタイムキー配信システムの開発を始めた。

 一時的な「バーチャルキー」をクラウドから安全に配信し、さまざまなシェアリングサービスをスマートフォンひとつで手軽に利用できるようにする。

 カーナビゲーションシステムや音響機器の製造・販売を主力とするクラリオンも「これからは車を中心に据えたユーザーの生活全体をデザインし、届ける会社を目指す」(川端敦社長)と将来像を掲げる。

 人工知能(AI)を使い乗員に必要な情報やサービスを提供する機能を付加したユーザーインターフェースを開発するなど新しい時代を切り開こうとしている。