主軸として期待が掛かる阿部。25日の練習でも積極的に声掛けを行なった。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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 目標は開幕スタメンとU-19代表での活躍だ。
 
 1月2日に行なわれた高校サッカー選手権・2回戦の富山一高戦から約3週間。東福岡高から活躍の場をファジアーノ岡山に移した阿部海大は、プロとしての第一歩を踏み出した。
 
 チームが始動してまだ2週間ほど。それでも、「岡山は走るチームなので、練習から高い強度でトレーニングを行なっている」という言葉からは充実ぶりが窺えた。そして、初々しさが残るプロ1年生は岡山を一時離れ、23日から25日まで東京都内で行なわれたU-19日本代表の合宿にも参加。来年のU-20ワールドカップに向け、同世代の選手たちとともに精力的に汗を流した。

 その立ち居振る舞いはさすが代表の常連。とりわけ、目立ったのが25日に行なわれたトレーニングだ。最後のメニューではルールが設けられたリフティングを各グループでクリアするミッションを課せられ、どの組もかなりの時間を要した。そこで阿部が持ち前のリーダーシップを発揮。鼓舞するだけではなく、的確な声掛けでチームを取りまとめ、初顔が多かった今回の活動で“俺がチームを引っ張る”という気概を随所に感じさせた。
 
 プロ入り早々からクラブでの活動に代表と大忙し。そんな阿部に選手権を終えてから岡山での3週間と今年の目標を聞いてみた。
 
 まず、意外だったのは選手権を終えてからの心境だ。富山一戦はラストプレーの失点で0-1の敗北。あまりにも残酷な終わり方に心の整理が思うようにいかなかったとしても不思議ではないが、すんなりと気持ちを切り替えられたと阿部は言う。

「負けたから悔しさはある。でも、去年のロッカールームはやり残した感があったけど、今年は自分たちがやってきたことを出し切れた感じがあった。志波(芳則)総監督からは毎回言われている言葉ですけど、『試合終了のホイッスルが鳴ったら、次の試合の始まりだ』と言われました。なので、僕は気持ちの切り替えをスムーズにできました」(阿部)。
 
 やり切ったという想いと恩師からの言葉。すぐに新たな目標のために走り出し、岡山へと合流した。新天地では早速手応えを掴んでいるようで、ファジアーノの大ベテラン・赤嶺真吾からは「真吾さんとかには声が出ていないから、もっと出していいよと言われます」と遠慮がちなところを指摘されながらも、攻守の切り替えの速さやフィジカルの強さは十分に通用すると感じている。現在は3バックの右でプレー。レギュラー定着を目標に日々精進を続けており、本人は開幕スタメンを本気で狙っている。

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 開幕スタメンを目指すのはサッカー選手として当たり前の話で、ルーキーであったとしてもそれは当然だろう。ただ、阿部がそう決意するのには、もうひとつ理由がある。それがU-19日本代表の存在だ。

 昨年までは東福岡で出場機会を確保し、代表に呼ばれ続けてきた。しかし、今年からはJリーガー。1年目からポジションを掴むのは容易ではなく、これまでも多くの選手がこの壁にぶつかった。高卒でプロに入ったのと同時に代表から縁遠くなった例は数えきれない。影山雅永監督も所属先で出場機会を得ていることが、代表選考の基準のひとつになると話しており、まずは所属クラブでのレギュラー奪取が、日の丸を背負うために求められる。そこは本人も理解しており、「試合に出ないと、代表に呼ばれたとしてもついていけない」と話す。だからこそ、阿部は誰よりも開幕スタメンにこだわっているのだ。
 
「岡山で試合に出てついていくだけではなく、自分が引っ張る存在にならないとチームも伸びないし、結果もついてこない」という言葉でルーキーイヤーの意気込みを語った阿部。クラブで結果を残せば、自ずと代表での道も切り開けてくる。「来年のU-20ワールドカップに出場すれば世界中で注目される。本当に日本のために戦って勝ちたい」という想いを叶えるべく、まずはクラブでの飛躍を目指す。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)