全豪オープンテニス、男子シングルス準々決勝。勝利を喜ぶチョン・ヒョン(2018年1月24日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】韓国選手として史上初の四大大会(グランドスラム)4強入りを決めたチョン・ヒョン(Hyeon Chung)。母国では快進撃を受けて新たなテニスファンが生まれているが、真の「テニスブーム」を巻き起こすためには、ここでその足を止めるわけにはいかない。

 眼鏡がトレードマークの21歳が、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2018)男子シングルス準々決勝で無名のテニス・サングレン(Tennys Sandgren、米国)を倒すと、韓国ではテニス用品の売り上げが2倍になった。

 野球やゴルフが高い人気を誇る韓国では、道具をそろえる費用やコート不足を理由にテニスを始める人が少なく、競技としては後れを取っている。しかし、チョンが勝利した準々決勝の試合は高視聴率を記録し、メディアも同国におけるテニスの歴史を「書き換えている」と彼を称賛した。

 ネット上では「街で話題になっているからテニスの試合を生まれて初めて見たけど、こんなに楽しいスポーツだなんて知らなかった」との声も聞こえるなか、韓国のインターネット通販サイトGmarketでは、ラケットやバッグ、ウエアの売り上げが、チョンの試合後24時間で前年比96パーセントの数字を残したという。

 漢陽大学(Hanyang University)でスポーツマーケティングを担当する教授は、チョンの活躍について「国民は、母国の伏兵が世界トップの選手を倒していく姿を誇りに思っている。ただそれだけのことだ」と話す。

 韓国のスポーツ界では、先駆者の登場からそのスポーツで大きな成功を収めることが多かった。ゴルフは1998年にLPGAツアーで優勝したパク・セリ(Se Ri Pak)さんの活躍をきっかけに火が付き、現在の女子世界ランキングは上位6人のうち4人が韓国選手と圧倒的な力を誇っている。

 さらに、フィギュアスケートでも10代で台頭した金妍児(Yu-Na Kim、キム・ヨナ)さんが2010年のバンクーバー冬季五輪で金メダルを獲得したのを皮切りに、多くの子どもたちがスケートを始め、氷上を滑るようになった。

■「ナンバーワンにならないといけない」

 最初は視力改善を理由にテニスを始めたチョンは、4回戦でグランドスラム通算12勝を誇るノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)にストレート勝ちした試合後、「私が勝つことによって、韓国でテニスブームが起こればいいなと思う」と語った。

 メルボルンで連勝を続けるチョンの快進撃は、大会が行われているオーストラリアの観客の心をつかんでいるが、韓国でテニス人気を確固たるものにするには、さらに勝ち進む必要があると専門家は言う。

 26日の準決勝でグランドスラム通算19勝のロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)と激突するチョンについて、国民大学校(Kookmin University)でスポーツマーケティングを担当するイ・スンファン(Seung-Hwan Lee)教授は、4回戦での金星はジョコビッチが負傷していたことによる「思いがけない幸運」だったと話した。

「準決勝を何度か戦ったからといって、金妍児やパク・セリのような存在にはなれない。韓国国民に覚えられるためには、ナンバーワンにならないといけないんだ」

 4回戦でジョコビッチがけがに苦しんでいたのは確かだが、チョンに素質があることも疑いの余地はない。現在世界ランク58位につけるチョンは、同年代の若手トップ選手が出場する昨年のネクストジェネレーション・ATPファイナル(Next Gen ATP Finals)を制しており、すでに将来有望な選手として高い評価を受けている。

「人気が高くないスポーツでも、大きな大会で韓国選手が活躍すれば、みんなが注目し始める」とイ教授。準々決勝で世界97位のサングレンを下し、韓国選手初の快挙を成し遂げたチョンにとって、次なる究極の目標はアジア男子初となるグランドスラム優勝だ。
【翻訳編集】AFPBB News