投資家の強い味方――「ロボットアドバイザー」の実力

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 世界の金融の最先端とされる米ウォール街では、すでにAI(人工知能)がトレーダーやアナリストの職を奪い始めている。人間と違って機械は余計な感情や思い込みと無縁で、常に客観的で合理的な判断を下す。そんなAIによる運用や分析が、急速に普及し始めているのだ。日本でも最先端のAIとまではいかなくても、高度なアルゴリズムを用いたポートフォリオ(運用資産の組み合わせ)の提案がすでに行われている。それがロボットアドバイザーだ。

◆すでに20社超が続々参入し、今が“旬”の金融サービスに!

 サイトやアプリ上でいくつかの簡単な質問に答えると、投資家の目的やリスク許容度などに応じて、その人にとって理想的なポートフォリオが提案されるというサービスだ。すでに20社超がサービスを手がけるが、日本発の独自開発ロボによる資産運用サービスが「THEO」(テオ)。同サービス運用会社である「お金のデザイン」取締役COOの北澤直氏はこう述べる。

「他社が続々と参入してきたのは、むしろ私たちにとって喜ばしいことだと考えています。今は限られたパイの奪い合いではなく、パイを広げていくことが急務。まずはロボットアドバイザーの認知度を高めて、その市場を拡大させていくためにも、さまざまな会社が取り扱ったほうがいい。今まで大半の日本人が資産運用を遠ざけてきたのは、わかりにくくてコストも高かったから。ロボットアドバイザーならそういったハードルを取り払えます」

 そんなTHEOに対し、後発ながら預かり資産と運用者数で国内トップを誇るのが「ウェルスナビ」。同社の代表取締役CEOの柴山和久氏は語る。

「ポートフォリオのコア(中核)に据えるべき運用の基本は、長期のスタンスでグローバルに分散した運用対象に積立投資を継続すること。そうすることで、世界的な経済成長の恩恵が運用成果として分け与えられます。最新のテクノロジーによって、高度な金融アルゴリズムによる資産運用を少額から実現できるようになったのです」

 ここまで読んで、読者の中にはロボットアドバイザーは、投資について考えるのが苦手な人やビギナー向けだと思った人もいるかもしれない。確かに経験や知識がゼロでも、ロボに助言してもらえば、気軽に投資を始められる。しかし、すでに株式投資やFXなどの経験がある人でも、ロボットアドバイザーの提案した運用で安定的に資産を増やすことをベースにしておけば、株式やFXの裁量トレードで損を出してもダメージ軽減が期待できるのだ。

「ロボアドは教科書的なポーフォリオによる運用なので原点に戻るという意味合いで、投資経験者がコアに据えるのに向いています。ただし、算出されるポートフォリオは預貯金などの他の金融資産や負債といった家計全般を見渡したうえではなく、あくまで事前に入力した投資資産が対象。実際の総資産と異なる点は留意すべきでしょう」

 こう指摘するのは、ファイナンシャルリサーチの深野康彦氏だ。また、人気投資ブロガーのあっきん氏もロボアド実践者の一人だ。昨年3月からウェルスナビのリスク許容度がもっとも高いポートフォリオに100万円を投入し、その後は月々3万円の自動積み立てを続けているという。

「8か月後の総投資額124万円に対し、評価額は135万5000円で11万5000円の含み益が出ています。完全放置で10%も増えているのは驚きですね。積極運用タイプでありながらも、株と値動きが違う債券や金などにも分散しているので安心感があります。また、ドル建て運用なのが最大の魅力。私の場合、為替が円安に10円動くだけで12万円分も資産価値が増えます」

 なお、ロボットアドバイザーは「投資一任型」と「助言型」の2タイプがある。前者はポートフォリオの提案から実際の運用までロボに任せて、後者は提案止まりだ。