2017年の春、Amazonはシアトルの本社にエージェンシーの幹部を招き、Amazon Alexaの製品ロードマップについて説明を行った。Amazonとの関係性のため匿名を条件に回答したエージェンシーの幹部によると、1日を通してAmazon Alexaの商品マネージャーらとの複数回のミーティングが行われ、主要なテーマは会話インターフェイスにおけるAmazon Alexa用のアプリである「スキル」の一歩進んだ使い道について、そしてスキルの宣伝における有料モデルについてだったという。

それ以外のエージェンシー幹部3人は、Amazonとの対話において、スキルの見つけやすさが2018年のAmazon関連における最重要事項だと回答している。そのうち2人は、Amazonは、Alexaの収益を広告から得ることも考えているものの、音声環境のユーザー体験を損ねることなく、どうすれば広告を導入できるかを模索中だという。

ユーザー体験が最重要



人工知能(AI)エージェンシーのボーン(Born)の共同創設者でありパートナーのマイケル・ニコラス氏は「Amazonは少なくとも9カ月間、Alexaにおけるスキルの採点と、ペイドメディアのモデル化に取り組んできた」ものの、「問題はペイドメディアをどのように実現するかだ。当然だがAmazonはユーザー体験を非常に重要なものとして捉えている。その点で完璧なものが用意されるまでは、Echoに広告が導入されることはないだろう」と語る。

結果を複数表示するウェブサイトの検索と比べて、音声検索においてペイドメディアの導入が大変なのは、Alexaは結果をひとつずつしか表示できないためだ、とニコラス氏。たとえば、「Alexa、ステーキはどうやって焼けばいい?」と聞いたとしよう。もしAlexaがペイドメディアの検索結果を上位に持ってくると、ペイドメディアばかりが読み上げられることになる。また、ペイドメディアとそうでないものを同時に推奨するようにすると、今度はユーザーにとって使いにくくなってしまう。ニコラス氏は、このようにいずれにしてもAlexaのユーザー体験を損ねてしまうと指摘する。

「最初に必ず出てくる結果がペイドメディアだったら、Alexaを信頼できない。それにペイドメディアの検索結果がもっとも関連性が高いとは限らないから、Alexaに判断を委ねることもできない」と分析する同氏は、「音声検索には音声検索に適したやり方があるのだろうが、私の知る限り、ブランドがAlexaへの広告投資の見返りに求めるものを、Alexaにとって自然な形で落とし込む方法をAmazonはまだ見つけられてはいない」と語った。

Alexaがもたらす価値



エージェンシーのポッシブル(Possible)で新ソリューション部門のバイスプレジデントを務めるトーマス・ステルター氏はこの意見に同意する。「Alexaにとっては難しい綱渡りだ。(広告の)需要は大きいが、消費者からすればマーケターによってユーザー体験が損なわれたくはないだろう」と同氏は指摘する。

Amazonのスポークスパーソンのひとりによると、同社がAlexaに広告を導入することはないという。

Amazon Echoに広告商品を導入するのは時期尚早かもしれないが、エージェンシーの幹部の話によると、Amazonは2018年、スキルの見つけやすさにこれまで以上に力を注いでいくという。現在Alexaには数万のスキルが用意されている。だがブランドは、AlexaのアプリやEchoでスキルを宣伝することも、スキルのインストールを促すこともできない。方法が用意されていないのだ。

デジタルマーケティング会社ヒュージ(Huge)の経営ディレクター、ゲラ・フリッドマン氏は「Amazonは(スキルの)見つけやすさを向上する方法を模索しているが、ペイドメディアのモデル化はすべきではない。Alexaは、広告プラットフォームとしての価値を提案しているわけではない。ブランドと消費者をつなげるための音声アシスタントなはずだ」と語る。

見つけやすくする方法



一方ニコラス氏は、Alexaのスキルを検索広告の形で宣伝して、ユーザーが見つけやすくするのも手だと考えている。たとえば、Amazon EchoのユーザーがAlexaでピザを注文すると、「ドミノ・ピザ(Domino's Pizza)のスキルを使いますか、それともほかのレストランで注文しますか?」と答えるとする。後者を選んだ場合、Alexaはスマートフォンでピザのスキルを選ぶようにユーザーを誘導するというわけだ。

ニコラス氏は、「Amazonと話したなかでは、結局は(検索広告の)多くは電話によるものになるだろうと感じた。(Alexaのアプリは)オーガニックなランキングとペイドメディアのプレースメントが存在するアプリストアのような形に最適化されていくと考えている」と予測している。

Yuyu Chen(原文 / 訳:SI Japan)