「タッチでアプリ」の利用イメージ(ジュピターショップチャンネル提供)

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使いやすい設計
 テレビ通販最大手のジュピターショップチャンネル(東京都中央区、田中惠次社長、03・5541・6550)は、顧客の電子商取引(EC)シフトに力を注ぐ。特に、スマートフォン操作に慣れていない高齢者らが使いやすい商品注文アプリ(応用ソフト)を強化している。注文手段を多様化し、顧客の利便性を高める。EC利用者は従来の電話注文に比べて、商品の購入単価が高まる傾向がある。そうした効果を取り込み、企業成長を持続する狙いだ。

 「コンセプトは“タップ縛り”」。ジュピターショップチャンネルの中馬和彦執行役員は、昨夏に提供を始めた商品注文アプリ「タッチでアプリ」をそう紹介する。アプリの利用者は、通販番組で紹介している商品などについて、スマホ画面に触れるタップ操作だけで簡単に購入できる。

 同アプリは、高齢者層などのスマホ初心者がターゲット。スマホの表示画面を、上下や左右に移動させるスワイプ操作などは使わず、タップ操作だけで商品購入が完結する。画面に表示する情報量もなるべく少なくした。ショップチャンネルの顧客は50―60代が多い。そうした顧客が使いやすい設計を徹底した。

顧客単価を拡大
 ショップチャンネルは12年ごろからECを強化している。スマホで番組を視聴しながら商品を注文できるアプリ「ショップチャンネルアプリ」などを投入してきた。

 この背景にはテレビ通販市場の成熟とEC市場の拡大がある。新規顧客の獲得数が鈍化する中で、企業成長の持続に向けてECに活路を求めた。ECは電話注文に比べて簡易に注文できるほか、利用者にそれぞれの購入履歴などを踏まえた商品紹介ができるため、利用者の購入頻度や利用者が一度に購入する商品点数が増える傾向がある。ECによる注文受け付け手段を用意することで、顧客の利便性を高めると同時に、顧客単価の拡大につなげられるというわけだ。実際にEC利用者は電話注文の顧客に比べ、顧客単価が3割程度高まったという。

音声操作導入も
 ただ、「ショップチャンネルアプリ」などは高齢者にとって操作が難しく、継続的に利用されない課題が残った。アプリ利用者向けにクーポンを発行して初めての利用を促してもその後は離脱し、電話注文に戻る顧客が多かった。そこで開発したアプリが「タッチでアプリ」だ。簡易な操作性などが奏功し、リピート率は8割以上になった。中馬執行役員は「継続利用が飛躍的に向上し、EC利用の定着が見えてきた」と手応えを強調する。

 今後は「タッチでアプリ」のトップ画面に表示している女性アナウンサーのアバターの活用を模索する。アバターが商品を紹介する仕組みなどを導入し、利用者の購入単価を高める。音声操作の導入も検討していく。中馬執行役員は「我々の顧客は元々電話で注文していたため、タップ操作よりも音声操作の方が親和性は高いと思う」と見込む。アバターと会話しながら商品を注文できる機能の構築などを構想している。
(文=葭本隆太)