文系学生は地元製造業に就職するか?常陽銀が常磐大と連携、見学ツアーで成果

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 常陽銀行は茨城県内製造業に就職する地元大学の文系学生を増やす取り組みに力を入れている。常磐大学と連携して「文系学生 製造業見学バスツアー2018」を実施した。県内学生に普段接点の少ない地元製造業の魅力を伝え、地元就職を後押しし、地域経済の活性化につなげるのが狙い。ツアーは2年前に始まり今回で3回目。初回に参加した学生が当時訪問した企業に17年に就職するなど、徐々に成果も出ている。

「印象変わった」
 「日本の産業はモノづくりが支えている。社会に必要な仕事だと感じてもらえたらうれしい」。自動車部品を製造する三五関東(下妻市)の長谷部勲社長は、会社を訪れた学生にこう呼びかけた。ツアーには就職活動を控えた3年生を中心に学生7人が参加し、県内企業2社を訪問。三五関東では工場を見学し、自動車用マフラーなどを製造する上で欠かせない独自のスピニング加工技術などの紹介を受けた。

 ツアーに参加した常磐大コミュニティ振興学部3年の菊地愛莉さんは、サービス業などと違い普段接する機会のない工業系の製造業は「未知の領域だった」と話す。ツアーを振り返り「実際に工場を見ることでイメージが変わった。就職前にどんな勉強をやっておくとよいかなども知ることができた」と手応えを口にした。

溶接現場に就職
 バスツアーの結果、実際に訪問企業に就職する文系学生も誕生した。2年前に開かれた初回ツアーで学生を受け入れた工業用ヒーター製造の新熱工業(ひたちなか市)では17年4月にツアー参加学生の1人が入社。ティグ溶接の資格を取得し、製造部門で日々溶接作業に励む。

 同社の大谷直子社長は「技術面で学ぶことは理系学生より多いが、積極的に他の社員と対話する意欲が強く、ベテラン社員から技術を吸収している」と評価する。文系大学生の新卒入社は初だったが「今後は文系学生でも分け隔てなく採用したい」と力を込める。

県外流出抑える
 常磐大は、卒業生の茨城県内企業への就職率が11年度の88%から16年度は80%に減少。同大キャリア支援センターの木村賢一統括は「人手不足で県外企業からの求人が増え、景気回復により学生も県外に目を向けるようになった」と述べる。特に同大の文系学生のうち製造業に就職する割合は5%程度といい、木村統括は「ツアーを通して就職先の選択肢を広げ、一層地域に貢献する契機としてほしい」と期待する。

 常陽銀地域協創部の白石隆也調査役はツアー実施の背景を「製造業から大学に届く求人票は、専門的な用語などがあると文系学生にはイメージがわきにくい。企業の魅力が伝わらず、就職にもつながらない」と話す。その上で、就職活動に臨む学生に「各企業が社会でどういう役割を果たしているか、ホームページや新聞を通して知ることも大事」と助言する。
(文=茨城・大原翔)