大翔丸(左)を土俵際に追い詰める竜電

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 「大相撲初場所・12日目」(25日、両国国技館)

 日常生活すら困難だった大けがを乗り越え、竜電が幕内で勝ち越した。立ち合い、鋭く踏み込むと、速攻でもろ手差し。大翔丸を一気に寄り切った。

 支度部屋では「前に出る相撲がうまくはまった。正直うれしい」と喜びをかみしめた。「親方、支えてくれた人がいた。苦しい日々はいい修行だったと思う。あきらめずにやってきた。まだ(明日以降は)あるから」。そう言うと、目頭をタオルで押さえた。

 中卒のたたき上げ。2006年春場所で初土俵後、師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)から厳しく指導され、12年九州場所で新十両に昇進した。しかし、その場所で右股関節を骨折。以降は患部の回復に苦しみ、序ノ口まで番付を下げた。

 治ってもすぐ同じ箇所を骨折。高田川親方は「骨盤の恥骨を3度折った。つながらなかったら普通の生活もできなかった。治っても油断できない。稽古をするしかない。ここまで、よくはい上がった。今から竜電の本当の相撲人生」と言うほど復活は奇跡だった。

 昨年九州場所で十両に返り咲くと、7場所で幕内にたどり着いた。関取経験者が序ノ口陥落後の新入幕は1992年九州場所の琴別府以来、史上2人目。「まだ3日ある。しっかりやっていきたい。喜ぶのは終わってから」。三賞も視界に入れ、2桁勝利に挑む。