「中小企業でも年収が高い会社」ランキングTOP10

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全上場企業でも年収トップのGCAの本社。東京駅からほど近い、パシフィックセンチュリープレイスのビルにある (撮影:梅谷秀司)

大学の期末試験が終わると、就活生にとっては、活動に本腰を入れる時期となる。すでに、冬のインターンシップに参加したり、一部企業で始まっている選考に臨んだりと、忙しく過ごしている就活生も多いだろう。ただ、企業がエントリー受付を始めるのは、あくまでも3月。残り1カ月の時間を有効活用し、企業研究を進めてほしい。

その企業研究では、ぜひ、”少数精鋭の中小企業”にこそ、目を向けてもらいたい。大手企業に比べて、地方企業や中堅・中小企業は、売上高が小さい分、待遇や給与面も劣るイメージを持っている人が多いかもしれない。しかし、実際には従業員が少なくても、大手並み、いやむしろ大手より、年収がずっと高い企業は多数存在する。

そうした企業は、少ない従業員数で大きな利益を稼ぎ出しており、機動力や柔軟性に優れた組織作りに成功していることが多い。大企業ならではの堅実さ、安定感も魅力だが、入社後の働きやすさの面では、中堅・中小企業の方に分があるケースもあるのだ。

大手企業よりも好待遇の中小企業は多い


『就職四季報 優良・中堅企業版2019年版』は、有名な大企業が多く掲載さている『総合版』とは異なり、有力な中堅・中小企業や、全国各地の優良企業約5000社の情報を収録している。個別企業ごとの採用動向や働きやすさを表す指標について、アンケートベースで調査を行い、企業の特色や近況はもちろん、採用窓口をはじめエントリーや選考時期についても掲載しているので、ぜひ企業研究の参考にしてほしい。

近年上場したばかりのベンチャー企業や、地方の有力企業といった、採用情報を手に入れにくい企業も多数調査しているので、Uターン、Iターンを志望する就活生の情報収集にも活用できるだろう。

今回は『就職四季報 優良・中堅企業版2019年版』より、一般的に中小企業の定義とされている、従業員300人以下の中小規模の会社に絞った「平均年収が高い」上位200社を紹介していきたい。

集計対象は『就職四季報 優良・中堅企業版2019年版』掲載の4761社のうち、「平均年収」に有効回答があり、従業員数が300人以下だった1384社だ。また、グループ企業の従業員数を含めると1000人以上になる企業は、除外した。

調査時点は原則2017年9〜10月(一部は2017年2月時点)のため、その時点で終了した決算期の平均年収であることを了承いただきたい。また、総合職のみの平均年収や組合員のみの平均年収といった、回答に条件がある企業の場合は、ページ下部の注釈欄に記した。

注目される平均年収1位は、昨年の当ランキングに引き続き、M&Aアドバイザリーを中心としたコンサルティング業のGCA(東京都、平均年収2139万円)だ。2018年1月3日の配信記事「平均年収『トップ500社』最新ランキング」でも、全上場企業で唯一2000万円台となっている。従業員139人で平均年齢も37.2歳と若いため、若手〜中堅社員でも能力次第で十分に稼げる企業であるといえそう。初任給も37.5万円と、今回の調査の中で、2番目に高い金額だった。有給付与日数も、法定の20日より多い25日と、非常に好待遇である。

コンサルや地方のマスコミが上位に

コンサルティング業からは、企業IR(投資家情報)とSR(株主情報)のコンサルティングに特化したアイ・アールジャパンホールディングス(東京都、1089万円)が、ホールディングス社員7人の数字ではあるが5位で、大企業向け戦略コンサルとVB投資・育成を手掛けるドリームインキュベータ(東京都、1066万円)が6位と、トップ10に3社がランクインしている。コンサルティング業は、給与も待遇もいい会社が多い一方、採用数は少なく、入社するだけでも厳しい競争になる。

2位は九州朝日放送(福岡県、1313万円)で、昨年より1つ順位を上げた。8位の東北放送(宮城県、1016万円)や、18位の新潟放送(新潟県、882万円)など、上位には地方のテレビ局の名前が目立つ。狭き門ではあるものの、27位に入った秋田魁新報社(秋田県、830万円)といった地方新聞社も含め、地方のマスコミ関連企業は給与が高い傾向だ。時事問題や論作文問題など、難易度の高い筆記試験が課される傾向があるものの、各地域で重要な地位を占める名門企業が多いので、Iターン就職やUターン就職を考える就活生には狙い目だろう。

また、3位に入ったベンチャーキャピタル国内最大手のジャフコ(東京都、1110万円)、や、4位の不動産ファンド運営のケネディクス(東京都、1099万円)など、証券・投資関連企業が上位にランクインしている。

そんな中で注目したいのが、7位に入ったレーザーテック(神奈川県、1048万円)だ。X線テレビの開発で創業した後、顕微鏡の自動焦点装置を発明、現在では半導体検査装置であるマスクブランクス検査装置で世界シェア100%を誇る。まさに高い技術力を駆使し、ニッチな事業領域で世界に羽ばたく、優良中小企業の代表格といえるだろう。優良・中堅企業版には、こういったグローバルニッチトップ企業を多数掲載しているので、ぜひ詳細に読み込んで企業研究に役立ててほしい。

なお、今回集計した従業員300人以下で有効回答があった1384社を見ると、平均年収は539万円、平均年齢は39.7歳。平均年収1000万円を超える企業は9社となった。