飼い主に捨てられた犬を警察官が射殺(画像は『Metro 2018年1月23日付「Police in northern England shoot abandoned dog tied to telegraph pole」(Picture: Evening Gazette)』のスクリーンショット)

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心無い飼い主によって捨てられた犬が、無残にも警察官に射殺されてしまった。英ダラム州で起こった出来事に、ソーシャルメディアでは「全く持って不必要な処置」と怒りの声が噴出した。英メディア『The Independent』『Metro』『The Sun』などが伝えている。

1月21日の朝、ダラム州ハートリプールで雪が舞う寒い中、電柱のそばで1頭の犬が発見された。犬は飼い主に遺棄されたと見えて、通報を受けたクリーブランド警察がFacebookアカウントにこのように投稿した。

「今朝10時7分に老いたジャーマンシェパードらしき犬が電柱にくくり付けられた状態であるとの連絡を受けました。現在、飼い主を追跡中です。この犬の飼い主を知っているという方がいたら至急999へ通報してください。」

どれほどの時間、犬が電柱に縛り付けられていたのかは定かではないが、恐怖と寒さで犬も気がたっていたのだろう、近寄ろうとする人には攻撃的な態度を見せており、警察も投稿の中で犬には近寄らないようにと市民に呼び掛けていた。

警察はRSPCA(英国王立動物虐待防止協会)と協力し、6時間ほどこの犬の飼い主の居所を突き止めようと奔走。また、犬に新しい飼い主を見つけることの考慮や、獣医にアドバイスを得るなどなんとかして犬を死に至らせないようにと全力を尽くした。しかし時間が経つにつれてますます攻撃性を増す犬を鎮静させる術はなく、逃げ出して誰かに危害を加える危険性もあることを恐れた警察らは、犬を射殺するという決断を下した。RSPCAのジェイソン・ハーウィン巡査部長は、この苦渋の決断についてこのように話している。

「動物の死を目にすることは我々にとって常に悲しいものです。犬を射殺するということは慈善団体、獣医などの動物福祉専門家との合同の決断によるもので、致し方ないことでした。獣医にもアドバイスを試みましたが、たとえ犬を保護することに成功しても、攻撃的な性格ゆえ新たな飼い主を見つけることは困難であり、飼い主が見つからないままであれば安楽死ということになってしまいます。警察は麻酔銃キットを持ち合わせておらず、獣医が鎮静剤を使おうとしたものの、近付くことすらできなかったのです。誰も望んでいない悲劇の結果になってしまったことは、非常に辛いことです。我々は、こんなふうに犬を遺棄することは許し難い行為だと思っています。」

しかし犬を射殺したことで、ソーシャルメディアでは警察やRSPCAに対して抗議が殺到した。

「チャンスも与えられずに殺されるなんて酷すぎる。」
「恐怖に慄いているんだから、攻撃的になって当然だ。」
「麻酔銃を使って安全な場所に連れて行くぐらいのことはできたはず。」
「寒い中、飼い主に捨てられて殺されるなんてあまりにも犬がかわいそう過ぎる。」
「警察もRSPCAも恥を知れ!」

『Gazette Live』によると、今回の件に怒りを感じた人たちが、今後は飼い主に捨てられた他の犬が警察に射殺されないようにと署名運動を開始し、「残酷で不必要な対応をすべきではない」として世界各地から11万人以上の署名が集まっている。

画像は『Metro 2018年1月23日付「Police in northern England shoot abandoned dog tied to telegraph pole」(Picture: Evening Gazette)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)