<エナジードリンクはカラダに悪い>は本当か?(depositphotos.com)

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 ヘルスプレスでは、これまでエナジードリンクに関する情報を提供してきた。いずれも、同飲料の過剰な摂取は、カラダに良からぬ影響を与える可能性があるかもしれないというものだ。

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 では、最近の知見では、どうなのだろうか? 2017年に「エナジードリンクにおける健康効果」という最新論文が米国の雑誌『Frontiers in Public Health』で発表された。今回は、そのアップデートされた内容を元に解説していこう【1】。

研究報告された<エナジードリンクの功罪>

 いくつかの研究は、「一時的な身体的および精神的なパフォーマンスの向上に効果がある」ことを報告している。

 たとえば、2014年に報告された<10代のバスケットボール選手を対象にした研究>ではこうだ。

 筋力や筋持久力、ジャンプ力、競技力などが向上したという報告、また、2010年の心理学系の雑誌に掲載された論文では、エナジードリンクの主成分であるカフェインの効果で、覚醒と疲労感の(短期間での)軽減があると報告している【2】。

 ところが、ポジティブな効果が示された研究報告はこの程度だ。あとは、「エナジードリンクにおける健康被害」に関するものばかりである。

 例を挙げると、ある研究では、エナジードリンクを週に1本以上飲んでいるグループは、喫煙と飲酒の頻度が上昇していると報告している。

 別の研究では、エネジードリンクを習慣的に飲んでいるグループは、ストレス、過度な心配、うつの症状、自殺への願望などが、飲んでいないグループと比べて、高いことも明らかになっている。

 さらに、カナダ人を対象とした研究では、1カ月に1度以上、うつ症状が出現する割合がエナジーグループを飲んでいるグループでは3倍以上だと報告された【3】。

エナジードリンクが及ぼす「心臓」への負担

 心臓も含む循環系の負担も大きいことがわかっている。以前の記事でも紹介したが、短期間での血圧の上昇はすでにいくつかの研究で報告されている。

 たとえば、血圧や心臓の収縮力を上昇させ、脳の覚醒を促す作用があるノルアドレナリンを測定した。その結果、エナジードリンクを飲んだ後のノルアドレナリン値の上昇率(74%)は、模造ドリンク(30%)の2倍以上だ。

 同じく、エナジードリンクを飲んだ後は、血圧値が平均6.4%上昇したのに対し、模造ドリンクでは1%だった――と過去に報告された【4】。

 この報告を含めたエナジードリンクと血圧との関連を研究した15つの論文をまとめた2016年の結果でも、「やはりエナジードリンクを飲むことにより血圧上昇が生じる」と結論づけられている【5】。

 エネジードリンク1缶には、コーヒー5杯分ほどのカフェインを含むといわれる。欧州食品安全機構の定義では、「カフェインは1日に400mgを超えるとカフェイン中毒の症状が起こりうる」とされる。

 コーヒー1杯のカフェイン量は平均80mg。エナジードリンクを1日に2缶以上飲んでいる人は、特に要注意といえるだろう。

代謝機能、歯への影響、悪循環を引き起こす

 エナジードリンクは、カフェイン量の多さだけが注目されがちだが、糖分も多く含まれる。当然、糖分の過剰な摂取にもつながる。

 ご存じのとおり、糖分を撮り過ぎれば、2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの代謝異常性の疾患を引き起こすリスクは高まる。口腔内への悪影響としては、虫歯などにもつながりやすい。

 また、前述のように、多量カフェインを含むエナジードリンクは、睡眠障害を引き起こす可能性がある。睡眠障害が慢性的な疲労を蓄積させ、さらなる健康被害を引き起こす――という悪循環に陥る。

 以上のように、エナジードリンクに関する科学的なデータを客観的に読み解くと、健康という観点からはオススメできないことがわかるだろう。

 <エナジー>の名やイメージからは、「身体によい」「活力が沸く」ような印象を抱きやすい。気軽に購入できるエナジードリンクだからこそ、自らが栄養成分表示を確かめてカフェインや糖分の量を把握し、1日の推奨量に留意しすることは、健康被害を防ぐために大事なことだ。

 そもそも、<エナジードリンク>という名称が誤解の元かもしれない。将来的には、この名称は再考の余地があるだろう。エナジードリンクに限らず、商品のイメージや印象は操作が可能だ。私たちは<真実>を求め、それをきちんと解釈する心構えや知識が必要である。
(文=三木貴弘)


●参考文献
【1】Al-Shaar, L., Vercammen, K., Lu, C., Richardson, S., Tamez, M., & Mattei, J. (2017). Health Effects and Public Health Concerns of Energy Drink Consumption in the United States: A Mini-Review . Frontiers in Public Health . JOUR . Retrieved from https://www.frontiersin.org/article/10.3389/fpubh.2017.00225

【2】Abian-Vicen J, Puente C, Salinero JJ, González-Millán C, Areces F, Muñoz G, et al. A caffeinated energy drink improves jump performance in adolescent basketball players. Amino Acids (2014) 46(5):1333-41. doi:10.1007/s00726-014-1702-6

【3】Howard MA, Marczinski CA. Acute effects of a glucose energy drink on behavioral control. Exp Clin Psychopharmacol (2010) 18(6):553-61. doi:10.1037/a0021740

【4】Holubcikova J, Kolarcik P, Geckova AM, Reijneveld SA, van Dijk JP. Regular energy drink consumption is associated with the risk of health and behavioural problems in adolescents. Eur J Pediatr (2017) 176:599-605. doi:10.1007/s00431-017-2881-4

【5】Park S, Lee Y, Lee JH. Association between energy drink intake, sleep, stress, and suicidality in Korean adolescents: energy drink use in isolation or in combination with junk food consumption. Nutr J (2016) 15(1):87. doi:10.1186/s12937-016-0204-7


三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

三木貴弘(みき・たかひろ)
理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。