一朝一夕で弱点は改善できるものではなく、相手に弱みを見せない戦い方が必要になる。監督の責任が大きいのは間違いないが、実際に戦っているのは選手である。苦しければ、そこから逃れる方法を自ら考えて実行できる意思や力が必要だろう。写真はウズベキスタン戦。 (C) Getty Images

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  昨年12月に行なわれたE-1選手権で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は不可解にも、相手の土俵に立つような戦いを選んでいる。

「中盤で繋ぐな! ボールを持ったら、縦に蹴れ!」
 
 ボールプレーに長じ、コンタクトプレーで劣るにもかかわらず、自ら墓穴を掘る戦いだった。果たせるかな、北朝鮮、中国には勝ったものの、内容は惨憺たる有様。韓国には、こてんぱんにされた。
 
 図らずも明らかになったのは、「対人プレーでは、格下と思われる相手に対しても分が悪い」という日本サッカーの現実だった。とりわけ、韓国戦では単純なハイボールに苦しみ、その混乱が失点に繋がっている。プレーインテンシティーの低さを露呈した。
 
 日本のプレー強度の問題は、ハリルホジッチだけでなく、ハビエル・アギーレ、アルベルト・ザッケローニなど、過去の代表監督も指摘していた点である。
 
 欧州や南米の選手は、プレスの時にそのまま突っ込み、挟み込むような勢いで、決して止まることがない。ボールを奪いに、ほとんど本能的に食らいつく。その強度の連続があるだけに、日頃から鍛えられている部分もある。そこで、乱戦、肉弾戦において差が出るのだ。
 
 日本人の“脆さ”は、流れのなかでの適切なプレーを選べないという、「試合運びの拙さ」に拍車をかけている。
 
 今月19日、U-23アジア選手権中国大会の準々決勝が行なわれたが、U-21日本代表はU-23ウズベキスタンと対戦し、0-4という大差で敗れた。
 
「ウズベキスタンの方が、総合力で上だった。個人の判断、局面の強さ、チームの成熟度……。立ち上がったばかりのチームなので、これからより良いチームに、良い選手になっていくように――」
 
 チームを率いる森保一監督は試合後にこう語ったが、年齢差はあるとはいえ、完敗であり、0-5、0-6になってもおかしくはなかった。日本はほとんど、何もできずに終わっている。
 
 まず、クロスの対応に苦しんだ。しっかりクリアできない。放り込む攻撃に慣れていないせいもあるだろう。先制点も、空中でクリアしきれず、ペナルティーエリア内での球際にも敗れ、エリアの少し外側から叩き込まれた。
 また、バックラインからビルドアップしようとしたものの、想像以上の相手のプレスのキツさに面食らった。2失点目は、横パス気味のバックパスをエリア内で受けた選手が、そのボールを相手に背を向けたまま持ち運ぼうとしたところ、猛然と寄せられて刈り取られた。目を覆うような場面だった。
 
 3-4-2-1というシステムに不慣れな選手もいただろう。しかし、90分間を戦いのなかで、何ひとつ改善できなかった。相手のプレーに対応し、やり方を変えられない。デジャブのような失敗を繰り返した。体格で劣る試合でのマネジメント、あるいは適応力という点で、これは深刻な問題だろう。
 
「この経験を活かしたい」
 
 選手たちは試合後に、こう語っている。糧にする。それは日本人の長所だろう。さもなくば、日本サッカーは厳しい現実と直面するはずだ。
 
 E-1選手権で、不利な戦術を選び、敗因を作ったのはハリルホジッチ監督だった。では、ワールドカップのピッチに立つ選手たちは、どのように戦うのだろうか?
 
 日本人選手の「試合を戦う力」が試される。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。