トーンモバイルは24日、MVNO「TONE」の発表会を開催し、同社の石田宏樹社長より、提供準備中の2つの新サービスが明らかにされた。

 その1つが、小ロットからカスタマイズ端末を提供する「TONE Factory」で、今春から提供される見込みだ。概要は別記事でお伝えしている。

Google Homeと「TONE m17」

 そしてもう1つが、TONEの見守り機能「TONE ファミリー」と、「IFTTT(イフト)」を連携させる構想だ。「IFTTT」は、さまざまなWebサービスやIoTデバイス同士が企業の垣根を越えて連携するIoTプラットフォームだ。今後、IFTTTを通じて、TONE端末の情報をやりとりするサービスの提供を検討しているという。

スマートスピーカーが子どもの場所をお知らせ

 IFTTT連携のデモンストレーションは、スマーとスピーカー「Google Home」とTONE端末を使って行われた。

 石田氏が「ねえGoogle、太郎君はどこ?」とGoogle Homeに話しかけると、数秒の待ち時間の後、スピーカーから「太郎君はセネガル大使館付近です。立ち止まっています」と応答が帰ってきた。

 この裏では、Google Homeの問いかけに応じて、(太郎君が持ち歩いている)TONEスマートフォン位置情報を取得、緯度経度から近くにあるスポットの名前に変換して、Google Homeのスピーカーから音声で返答するという、一連の動作が行われている。

連携の仕組み

スマートスピーカーから端末へ音声メッセージを送れる

さまざまなWebサービスとの連携も可能

 このうちIFTTTは、Google Homeの問いかけを「太郎君のスマートフォン」の「位置情報を取得」と解釈し、TONEのサービスへ投げ渡す役割を担っている。

 Google HomeとTONEファミリーの連携機能は、Google Homeが声からユーザーを識別する「声紋認証」に対応した後、提供される見込み。

 スマートフォンスピーカーとの連携では、Amazon Alexa搭載スピーカーへの対応も予定。また、IFTTTに登録されているさまざまなWebサービスやデバイスとも連携できるようになる見込みだ。

スマホ内の音楽を直接再生するデモンストレーション

 石田氏は、スマートフォン内に保存された音楽をスマートスピーカーから直接再生する技術デモンストレーションも紹介。スマートフォンで録音した音声を、転送することなくスマートスピーカーで再生するという実演も披露された。

 このデモンストレーションでは、同社の親会社フリービットのアプリ「ServersMan」の技術を活用。これは、Google HomeからIFTTTを経由してTONE端末にアクセス。TONE端末はWebサーバーとして機能し、指定のフォルダ内の音楽ファイルをストリーミングで公開。それを取得してスピーカーから再生しているという。ただし、この実演はあくまで技術のデモンストレーションで、実際にサービス化される予定はないという。

TONEはオープンプラットフォーム化へ

 子ども向けの“夜は使えないスマホ”など、ユニークな独自サービスを提供し、数あるMVNOの中でも異彩を放っている「TONE」。その根本には、遠隔制御技術を備えた独自開発のスマートフォンがある。

 石田氏が「TONE」は次なる構想として掲げたテーマは「TONEのオープンプラットフォーム化」。今回発表された2つの新サービス「TONE Factory」と「IFTTT連携」は、その構想を見据えたものだ。

 「TONE Factory」に関して石田氏が紹介したのは「CMVNO(Custamized MVNO)」という概念。法人のニーズにあわせて、端末や通信サービスを柔軟にカスタマイズするという、独自の付加価値を用意したMVNOを表す言葉だ。

 従来、子どもやシニア層などコンシューマーをターゲットにしていたTONEだが、「TONE Factory」により、法人ユーザーへと拡大していく狙いだ。

 IFTTTとの連携に対応する意図は、ユーザーとTONEのデバイス・サービスとの関わり方を柔軟にするためだという。石田氏は、TONEは「画面をノックして連絡」や「箱に置いて設定」といったユーザーインターフェイス(UI)を開発に取り組んできたと紹介。

 今回、スマートスピーカーという新たなUIに対応した理由は「速いから」とのこと。「子どもの位置の確認」という動作を、スマートフォンの画面で確認するのに比べて、3分の1の時間で行えるという。

声だけで操作できるので、シニア層でも利用できるのもポイント

 石田氏はまた、新技術の発展を見越した先端研究も進めていると紹介。特に、仮想通貨などで実用化されているブロックチェーン技術について研究を進めているという。

フィルタリング義務化「有名無実化するのではないか」

 直近のMVNO市場では、大手キャリアのサブブランド強化、低価格プランに乗りだし、FREETEL(プラスワン・マーケティング)が破綻に追い込まれるなど、MVNOにとって向かい風が吹く状況となっている。

 そんな中、総務省では有識者による「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」を実施している。

 トーンモバイルは1月22日に開催された第3回会合に出席。MVNOとして意見を表明した。その主張は、大手キャリアとの同等条件での競争できる市場環境の確保を求める内容で、同時に「MVNOは独自の付加価値提供が重要」と指摘している。

 また、青少年インターネット環境整備法の改正法が2月1日に施行される見込みだ。これに変更される「フィルタリング義務化」のルールも、課題の1つとなっている。

 改正法では、MVNO事業者を含む通信事業者が、18歳以下の利用者へ通信サービスを提供する際に、スマートフォンをフィルタリング設定した状態で渡すよう、義務づけられることになる。

 TONEは独自端末を通信サービスとセットで販売し、フィルタリングサービスを独自に提供し、この改正法対応への準備を整えてきたという。

 一方、主な販路が通販で、通信サービスだけを提供することもある多くのMVNOにとっては、利用者への確認が課題となっていた。

 ところが、石田氏の説明によると、施行を目前にフィルタリング措置に免除条件が追加され、契約者への説明やフィルタリング利用の確認など、一定の対応を行えば、契約時にフィルタリングを有効化する義務が免除されるようになったという。

 同氏はこの免除措置に対し、「契約者がスマートフォンでフィルタリングを利用しているかチェックするのは、ほとんど不可能。有名無実化するのでは」と懸念を表明している。