グーグルがスポンサーとなって進められてきた民間の月面探査レース「XPRIZE」。しかしファイナリストの5チームいずれも、3月31日までの期限までに打ち上げのめどが立っていないことが明らかになり、レースを主催する財団が23日、レースそのものの企画を終了させると発表した。

 日本代表として活動してきたHAKUTOはどうするのか。同日夕方、緊急会見を開催した袴田武史代表は、XPRIZEの賞金を得る機会が失われたものの「挑戦は続ける」と語った。

 レース主催財団から、レース終了の理由は明らかにされていないが、袴田氏は「グーグル社の判断が入っている。何回も延期を重ねてきたことからグーグル側にとって新たな延期という判断が難しかったのではないか」と語っていた。

袴田氏
「今日未明、XPRIZE財団から3月31日で終了すると発表があった。HAKUTOとしては、渡米して現地で延期の交渉を続けてきた。しかし延期しない決断が下された。その方向性がわかった時点で『XPRIZEが終了するとしても、月面ミッションを実施できるチームはあると思う』としてサポートしてもらえるよう、新しいレースの企画などができるよう依頼してきた。

 今日の発表では、新しいXPRIZEの企画を検討するという意思を表明してくれている。HAKUTOとしては優勝を目指してきた。個人としても非常に残念で、支援してくれた方々に申し訳なく思う。

 今まで非常に多くの方に支援をいただいた。今までの支援に対して、HAKUTOは非常に感謝している。HAKUTOとしてはここでチャレンジが終わったわけではない。民間での月面探査を目指してチャレンジを続ける。チームインダスとともに飛ぶ選択肢、ispaceが示してきた計画などを検討していく。確実性の高い選択肢を検討していく。

 フィールド試験などを国内で行う予定もある。クラウドファンディングでの刻印など、多くの方々の想いがある。確実に月面へ届けていく。

 今後の活動は、まだまだ内部で協議することが多く、発表できることは多くない。決まり次第、報告したい」

技術面は9割クリア、課題は資金調達

 10年かけて進められてきた月面探査レース「XPRIZE」だが、誰も月面へたどり着けないまま、終了を迎えることになった。袴田氏は全てのチームが目標を達成できなかった背景として「2007年発表のレースだが、当初は各チーム、本格的な資金調達ができていなかった。資金調達が早期に進んでいれば、技術的には十分達成できたのではないか」と指摘する。

 また袴田氏は個人的な想いとして「残念。悔しい」としつつ、民間による月面探査は、その後の宇宙開発における民間の参入および市場としての発展の可能性があり、「歩みを止めると全て無駄になる」と自らを奮い立たせるかのように言葉を繋ぐ。

 HAKUTO自身が月面探査を3月31日までに達成できなかった最も大きな要因は、1月に入って明らかになった、チームインダス側のトラブルによるもの。過去の選択肢に“たられば”はないとしつつ、もしHAKUTO自身が着陸船を開発する方針を選んでいれば、リソースが足りず、すぐに挫折していただろうと袴田氏。ローバーのみの開発に集中できたからこそ、ファイナリストに残ることができたという見方だ。仮に相乗り相手としてチームインダス以外を選んでいても、どのチームも打ち上げのめどが立っていない現状からすれば「どこであっても(結果は)同じだった」とも語る。

 3月31日までの月面探査というXPRIZEの掲げた目標には届かなかったが、袴田氏は「チームHAKUTOは2010年9月にスタートした。自分も含め、数名でのボランティアでの始まりだった。仲間が増え、技術が開発され、資金も集まった」と振り返る。

 auをはじめとするスポンサーによる支援もXPRIZEがあったからこそであり、HAKUTOとしての実績は袴田氏が率いる宇宙開発企業のispace社の資金調達にも寄与した、と自らの歩みを評価。HAKUTOとしての取り組みはできるだけ早い時期に実現しつつ、ispaceが目指す月周回・月着陸といったミッションも2019年、2020年に行う方針であることから、「遠い未来ではない。どんどん進めたい」(袴田氏)と意気込んだ。

メインスポンサーのKDDIは

 メインスポンサーであるKDDIは、レースの終了を受けて、HAKUTOと今後について協議していく方針としている。